「尖ってる女は痛々しい」に蛙亭・岩倉の叫び「私はお前らより絶対に面白い!」(てれびのスキマ)


昨日観た番組とそこで得た気づき、今日観たい番組などを毎日更新で綴る、てれびのスキマによる2020年のテレビ鑑賞記録。


『ゴッドタン』

「マジ歌ルーキーオーディション」後編。

蛙亭・岩倉は「芸歴9年の間で自分が経験してきたこと、感じたこと」を歌にしたという。同期のトニーフランクのギターに乗せて、MOROHA風に語り上げる。放送作家から言われた「女にしてはおもしろい」「尖ってる女は痛々しい」などの言葉を「全部ヘラヘラして乗り越えてきた」と歌う岩倉。

「耐えられた理由はただ一つ 私は……私はお前らより絶対に面白い! 面白くない奴に見下されても全然悔しくない 面白い人は性別で笑いを判断しない そこにある ただ面白いか面白くないか ただそれだけ それだけが紛れもない真実」

そのエモーショナルな語りに、劇団ひとりは「ピンちゃんね、今、鳥肌立ってる!」「とんでもねえメッセージぶち込んできたな、刺さったぜ!」と絶賛。前編に登場したヒコロヒー、ラランド・サーヤを含めて「戦う女たち」のマジ歌が素晴らしかった。

昨年、『キングオブコント』準優勝のうるとらブギーズ・佐々木崇博は「TAKAHIRO」として“音楽活動”も行い、持ち歌はコントより多い204曲だという。そんな彼は、学生時代の親友とのラブソング「LOVE3.5」を披露。「3.5軍のスクールライフ」として、“1軍の女の子”を見ているだけで殴られたエピソードが歌われていく。

「3.5軍の俺の青春 気を許せる仲間は1人だけ」

その仲間は、1軍の悪ノリで生徒会長にさせられたという。

「俺たちは誓った いつか見返してやろうと 飛び込んだお笑いの世界」
「そして僕らは勝ち取った キングオブコント ファイナリスト 僕と会長 それぞれのコンビで」

そう歌うと、その“会長”こそ、『キングオブコント』ファイナリストのラブレターズ塚本だという驚きの事実が明かされ、塚本が登場。「お前が卒業文集に書いたやつ、俺一生覚えてるよ」と塚本。「無言」と題されたその文章を元にした歌詞をふたりで歌いあげる。

「周りの人がすべて敵に見えた この押しつぶされそうな空間から切り抜けよう」
「奇跡は待っていても起こらない もっと羽ばたけ もっともがけ 自分に拍手を贈れるまで」

そして最後に佐々木が締める。

「この文 俺からのラブレターだったよ」

鬱屈した学生時代をすごした同級生ふたりがコンビを組んで人気者になるというストーリーでもグッとくるところ、コンビを別々に組んで、それぞれが『キングオブコント』の決勝の舞台に立つなんて本当にすごすぎる。

「どういうストーリーぶっこんでくるんだよ!」と矢作が言うと、塚本は「あの……泣きそうです」。佐々木も「本当に泣きそうです」と漏らす。涙を落とす塚本「ツラかったんですよ……それが……こんな明るい未来待ってると思わないから……!」。

『発表!全美少女戦士セーラームーンアニメ大投票』(BSプレミアム)

“セーラームーン命”の妻とのチャンネル権に敗れ、『IPPONグランプリ』を後回しにしてリアルタイムで視聴。この『大投票』シリーズでは異例の9割が女性票だったそう。MCの西川貴教を除き、ゲストの中川翔子、ヒャダイン、進行役のアナウンサーまでどっぷりと『セーラームーン』大好きの面々がそろう。

「人生の、宇宙のど真ん中」「革命」だったと中川翔子。「ピアス、リボン、星、宇宙、猫、宝石……カワイイとキレイとカッコいいがすべて詰まってる。女の子が前に出て戦っていいんだ、女の子に生まれて良かったんだ!って。世界ってこんなにキラキラしてるの!?って思わせてくれた。『セーラームーン』を見ればなんとかなる!」とその愛を熱弁。

「タキシード仮面はヒロイン」とヒャダインが言うように、「女性は守られるもの」という価値観を覆した、カワイイとカッコいいが同居した「戦う女性たち」のアニメだったというのがよくわかる番組だった。

最後は、ゲストの三石琴乃が『セーラームーン』最終回を生アテレコ。実は最終回の月野うさぎの声は三石ではなく代役。彼女が体調を崩してしまっていたため、のちに“ちびうさ”を演じることになる荒木香衣が声を当てていた。

そのため、ファンの間では三石の声で最終回を観たいという声が多くあった。のちに発売されたカセットテープ(時代!)などでは、それが一応実現はしていたが、映像つきで三石が最終回のセリフをアテレコし、テレビで放送されるのはおそらく初めて。それを見てMCを除く出演者全員が泣くという事態に。あまりにも貴重な映像だった。


『勇者ああああ』

アスキーグリップ、『鉄騎』専用コントローラ、スーパーファミコンマウスなど、これまで発売されたゲームの周辺機器を使って遊ぶ企画。「ただそれだけだとテレビにならないんで、一番高いのを当てるっていう申し訳程度のクイズ要素も乗っかってます」とナレーション。これに約1年ぶりの出演となるザコシショウらがゲストとして挑戦。

今回も全開で誇張モノマネを披露しつつ、理路整然とした予想でクイズの正解にも導く。この番組ではザコシショウのハチャメチャなお笑い部分はもちろん、マニアックな部分の博識っぷりや頭のよさも観られて、本当に合っている。もっと頻繁に出てほしい。 

今日観たい番組:『THE MANZAI 2020』に人気芸人が勢ぞろい

『THE MANZAI 2020マスターズ』(フジ)、出演はアンタッチャブル、ウーマンラッシュアワー、 海原やすよ・ともこ、おぎやはぎ、かまいたち、銀シャリ、サンドウィッチマン、霜降り明星、タカアンドトシ、千鳥、テンダラー、とろサーモン、ナイツ、中川家、NON STYLE、博多華丸・大吉、爆笑問題、パンクブーブー、ブラックマヨネーズ、ミルクボーイ、和牛、笑い飯。

『有吉ぃぃeeeee!』(テレ東)は「桃太郎電鉄」。ゲストは 狩野英孝、高橋ひかる。

『ガキの使い』(日テレ)は「ジミーの全乗っかりお宅訪問」。

『おしゃれイズム』(日テレ)に大泉洋。

『逃亡者』(テレ朝)第2夜。

アニメ『進撃の巨人 The Final Season』(NHK)スタート。



  • 【連載】きのうのテレビ(てれびのスキマ)

    毎夜ライフワークとしてテレビを観つづけ、テレビに関する著書やコラムを多数執筆する、てれびのスキマによる連載。昨日観た番組とそこで得た気づき、今日観たい番組などを毎日更新で綴る、2020年のテレビ鑑賞記録。

    #【連載】きのうのテレビ(てれびのスキマ) の記事一覧


この記事が掲載されているカテゴリ

てれびのスキマ

Written by

てれびのスキマ

1978年生まれ。ライター。テレビっ子。著書に『タモリ学』(イースト・プレス)、『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『笑福亭鶴瓶論』(新潮社)、『全部やれ。日本テレビ えげつない勝ち方』(文藝春秋)など。

CONTRIBUTOR

QJWeb今月の執筆陣

酔いどれ燻し銀コラムが話題

お笑い芸人

薄幸(納言)

「金借り」哲学を説くピン芸人

お笑い芸人

岡野陽一

“ラジオ変態”の女子高生

タレント・女優

奥森皐月

ドイツ公共テレビプロデューサー

翻訳・通訳・よろず物書き業

マライ・メントライン

毎日更新「きのうのテレビ」

テレビっ子ライター

てれびのスキマ

7ORDER/FLATLAND

アーティスト・モデル

森田美勇⼈

ケモノバカ一代

ライター・書評家

豊崎由美

VTuber記事を連載中

道民ライター

たまごまご

ホフディランのボーカルであり、カレーマニア

ミュージシャン

小宮山雄飛

俳優の魅力に迫る「告白的男優論」

ライター、ノベライザー、映画批評家

相田冬二

お笑い・音楽・ドラマの「感想」連載

ブロガー

かんそう

若手コント職人

お笑い芸人

加賀 翔(かが屋)

『キングオブコント2021』ファイナリスト

お笑い芸人

林田洋平(ザ・マミィ)

2023年に解散予定

"楽器を持たないパンクバンド"

セントチヒロ・チッチ(BiSH)

ドラマやバラエティでも活躍する“げんじぶ”メンバー

ボーカルダンスグループ

長野凌大(原因は自分にある。)

「お笑いクイズランド」連載中

お笑い芸人

仲嶺 巧(三日月マンハッタン)

“永遠に中学生”エビ中メンバー

アイドル

中山莉子(私立恵比寿中学)
ふっとう茶☆そそぐ子ちゃん(ランジャタイ国崎和也)
竹中夏海
でか美ちゃん
藤津亮太

QJWebはほぼ毎日更新
新着・人気記事をお知らせします。