甲本ヒロトが静かに語る音楽と生き様「最近は歌詞を追いすぎてる」「遠くのものは見えなくてもいい」(てれびのスキマ)


昨日観た番組とそこで得た気づき、今日観たい番組などを毎日更新で綴る、てれびのスキマによる2020年のテレビ鑑賞記録。


『まつもtoなかい』

ゲストふたりの対談というよりは、松本と中居を含めた4人トーク番組だった。まず登場したのは甲本ヒロト×菅田将暉。松本は、大阪から東京に来るときに「バッチリ胸に刺さった」のがブルーハーツだという。中居はそんなヒロトを、松本の結婚パーティにサプライズゲストで呼んだそう。

「同じ世界に生きてるから、同じものを見てるはずなんですよね。同じものを聴いてるんですよ。でもね、おもしろいもんで、同じところにいて同じ方向を向いてるから同じものが見えてるとは限らなくて。それはどういうことかっていうと、ピントが合ってる場所が違うんですよ。ここだったら僕には指が見えるけど、あそこに椅子もある。みんな違うものを見てる。僕はたまたま中学1年のときに、ロックにビシッとピントが合った。そんだけのこと」

「歳取ると、老眼ってあるんですよね。僕ないんですよ。そのかわり遠くがどんどんぼやけてくるんですよね。そのタイプでよかった。なんでかっていうと、近いものを見たい。遠くのものって、見えなくてもたいして影響ないんですよ」

いつもながら平易な言葉で胸に響く言葉を語るヒロト。自分たちは現在に繋がる活動を始めるとき、もっと「やましい動機だった」と中居や松本は言う。

「やましいし、いやしいんだけど、それまで好きになったものとは違う、取り憑かれた感じがしたんです。取り憑かれたら自分の意思でコントロールできないから、どんなにやましい、いやしいダメな人間でもやらされちゃうの」

と、ヒロトは優しい笑顔を浮かべる。若い人たちに対して思うことを聞かれても全面的に肯定しつつ「ひとつ感じるのは、歌詞を聴きすぎ」と語る。

「僕ら、音で全部聴いてた。だから洋楽だろうがなんだろうが全部かっこよかった。意味はどうでもよかった。ロックンロールはものすごく僕を元気にさせてくれたけど、元気づけてくれるような歌詞なんかひとつもないんだよ。関係ないんだよ、そんなこと。『お前に未来はない』とか歌ってんだよ。それ聴いて、よし、今日も学校へ行こうって。(音楽が)デジタルになると情報としてキレイに入ってきちゃって、歌詞をね、文字を追いすぎてるような気が、ちょっとだけする。ちょっとよ」

「ぼんやりしてないんですよね。ぼんやりしてると、どこに焦点を合わせるか、みんな自分で選べる。だけど、ペランって1枚にされると、みんなそれしか見れない。なんかね、デジタルになってからはそんな気がちょっとする」

バンドを始めた瞬間に夢は叶っている。そして今もやっているからずーっと叶っていると言うヒロトは「めちゃめちゃ楽しい」と断言する。「あのころはよかったなんて1回も思ったことない」と。

帰り際、菅田将暉に「ありがとね。きっとまた会うことあるよ」と囁くヒロト。本当に全編に渡ってヒロトがあまりにもヒロトだったし、とてつもなく優しかった。

2組目は天海祐希と小池栄子。「このまんまですよ」という天海に、「このまんまですよっていう人で、このまんまな人はいない」と松本。小池を含めた3人でなんとか、彼女の崩れた瞬間やスキを探ろうとするが、なかなかそれが覗くことはない。

「こういうときに『嫌い』って言ってくれない」と小池に言われ「それが自分にブーメランで返ってくるから。そういう言葉は使わない」とキッパリ言っていたように、強い信念のようなものがしっかりあるから揺るがないんだろうなと思った。

「手にできる可能性があるものって、若いころはいっぱいあるじゃないですか。それがだんだん30代、40代、50代になって狭まってきて、今はホントに選ばなくていいことは、もう手放してあるので。今はもうものすごく楽です。すごく楽しい」

真正面からぶつかりあってとても刺激的なおもしろさだった。一方、フワちゃんとローラの対談は、なんとかフワちゃんが自分の世界に巻き込もうとするのをローラがかわし続ける展開。まったく違うタイプの噛み合わなさだったけど、それもまたスリリングだった。

『勇者ああああ』

女性タレントたちが集結し「スーパーマリオパーティ」で対決するのを裏で勝敗を予想する企画。アンミカ、ゆきぽよ、サヘル・ローズ、加藤紗里というこの番組流のプライムタイム仕様のゲスト陣。サヘルがリアクションからコメント力までめちゃくちゃ有能。今後、少なくてもこの番組では重宝されそう。


ABEMA『チャンスの時間』

喜怒哀楽の感情すべてを制限時間内に相方が引き出すという企画。ザ・マミィが圧倒的におもしろかった。酒井の感情を引き出そうと仕かける林田に、予想の数倍、素直に反応する酒井。そのひとつひとつがコミカルでチャーミングでおもしろい。ブレイク前夜という匂いがプンプンする。

今日観たい番組:Creepy Nutsのヒップホップ解説など

松山ケンイチ主演『こもりびと』(NHK)放送。

『シンパイ賞』(テレ朝)にニューヨーク。

『テレビ千鳥』(テレ朝)は「ノブナカなんなん?のポスター撮り直すんじゃ!!」。

『関ジャム』(テレ朝)はCreepy Nutsがヒップホップを解説。

『ガキの使い』(日テレ)は「クソ返しダービー」。

『NNNドキュメント』(日テレ)は「ヒバゴン 目撃50年…謎の怪物は今」。

『たりないふたり2020』(日テレ)秋・前編。



  • 【連載】きのうのテレビ(てれびのスキマ)

    毎夜ライフワークとしてテレビを観つづけ、テレビに関する著書やコラムを多数執筆する、てれびのスキマによる連載。昨日観た番組とそこで得た気づき、今日観たい番組などを毎日更新で綴る、2020年のテレビ鑑賞記録。

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てれびのスキマ

1978年生まれ。ライター。テレビっ子。著書に『タモリ学』(イースト・プレス)、『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『笑福亭鶴瓶論』(新潮社)、『全部やれ。日本テレビ えげつない勝ち方』(文藝春秋)など。

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