“利”からは背を向けるカズレーザー「自分という存在」を語る(てれびのスキマ)


昨日観た番組とそこで得た気づき、今日観たい番組などを毎日更新で綴る、てれびのスキマによる2020年のテレビ鑑賞記録。


『チルテレ』で語られた「新宿に落ちてるタバコ拾って吸ってた時代」

又吉直樹脚本、井上剛演出の『不要不急の銀河』。前半がメイキングのドキュメントで後半がドラマ。それぞれがドキュメントであり、ドラマのようでありおもしろかった。収録現場でリリー・フランキーが呟いた「普通がねじれていく」という言葉が印象的。最後に「ファイト!」(中島みゆき)を使って、のんに歌わせるのは曲が強過ぎてズルいと思ったけど、でも確かにこれしかない!というハマり方。

『勇者ああああ』、「芸能史とセットで覚えるゲーム年表」でノブオによるスクウェア・エニックス史と佐藤満春によるビックスモールン史。「合併したゲームメーカーと合体する芸人」のセット。コンビ結成のエピソードや、渡米の資金集めのときなど、意外と「策士」なチロ。対して、ことごとくコメントで失敗するゴン。ノブオが解説するスクウェア・エニックス史へのコメントを求められ「ノブオの衣装のシマシマが気になっちゃって」とズラした答え。酒井「マジでどういうことなの?」、ノブオ「大先輩だけど……あんま肩入れてくんなよ」。

グリ加入時に「本当の意味で勝ちたかったらビックスモールンの船に乗りな」と言ったというゴンが「どういう船?」と大喜利的に振られると、またもうまく答えられない。「震えが止まらなくて……」と言うゴンにサトミツは「(ゴンは)大喜利が嫌い過ぎて、ライブでじんましん出てましたから」。

BS日テレ『チルテレ』にカズレーザー。読書家で知られるカズは「役に立つ本」をよく聞かれ、その際に必ず答えるのが「簿記の参考書」だという。「どんな小説や歴史的な文学よりも、現実的に税金の話に詳しいほうが」いいと。この答えに、人生に役立たせようと思って本を読んでいるわけじゃないという強い信念が感じられた。目標にしているのは「所ジョージ」。「どっかで人間は打算的なとこあるから、これやったら話題になるだろうとか」を考えてしまう。「特に今はもうなんでもコンテンツ化できるから、どうやって話題作って、あと出しで物を売るかみたいな世界じゃないですか。それをあざ笑うかのように、誰にも知られずに(オリジナルの)座布団たくさんこさえてるって、めちゃくちゃかっこいい」と。ここでも「利」からは背を向けるカズ。

「今と、10年ぐらい前の新宿に落ちてるタバコ拾って吸ってた時代と、正直あんまり、自分の中の幸せ度が変わらない」というカズは「自分という存在って重要じゃないだろって思うのは、けっこう心を軽くする」と言う。「何か大きなことができるとも思ってないし、人を超幸せにできるとも思ってないんですよ。でも、不幸にしない限りはどれやっても、そんなに歴史の流れに影響ねぇだろって思ったら、ちょっと楽になるんじゃないかなって思って生きてます」。

今日観たい番組:「アイドル座付き作家選手権」後編など

特別番組のため放送が飛んでしまった『ストーリーズ』(NHK)、「のぞき見ドキュメント100カメ」の「ステイホーム」編が放送。

『タモリ倶楽部』(テレ朝)は「元祖リモート!?手旗信号で超ロングソーシャルディスタンス収録」。

『シンパイ賞』(テレ朝)に錦鯉が登場。

『くりぃむナンチャラ』(テレ朝)は「アイドル座付き作家選手権」後編。

『脱力タイムズ』(フジ)によゐこ濱口、安斉かれん。

『ダウンタウンなう』(フジ)にEXIT。

玉田真也脚本、千葉雄大主演ドラマ『40万キロかなたの恋 』(テレ東)がスタート。



  • 【連載】きのうのテレビ(てれびのスキマ)

    毎夜ライフワークとしてテレビを観つづけ、テレビに関する著書やコラムを多数執筆する、てれびのスキマによる連載。昨日観た番組とそこで得た気づき、今日観たい番組などを毎日更新で綴る、2020年のテレビ鑑賞記録。
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てれびのスキマ

1978年生まれ。ライター。テレビっ子。著書に『タモリ学』(イースト・プレス)、『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『笑福亭鶴瓶論』(新潮社)、『全部やれ。日本テレビ えげつない勝ち方』(文藝春秋)など。

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