「肌がボロボロに…」アレルギー持ち芸人『R-1グランプリ』で起きたふたつの異変

文・イラスト=ちびシャトル 編集=高橋千里


平均の約100倍の“アレルギー数値”を叩き出し、0歳から30歳まで異常なほどのアレルギー反応と闘い続けてきたピン芸人・ちびシャトル。今回は、アレルギーに悩まされながら挑んだ『R-1グランプリ2024』を振り返る。

※本記事は、ちびシャトルさん個人の経験・感想であり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談してください

『R-1』準々決勝敗退、めっちゃうれしい〜!

どうも、ピン芸人のちびシャトルです!

今回は、芸人にとって人生を変える大一番と言っても過言ではない、賞レースについて

漫才師は『M-1グランプリ』、コント師は『キングオブコント』

そして僕のようなひとりで舞台に立って活動しているピン芸人は『R-1グランプリ』
年に一度、誰が一番おもしろいのかを決める大会です

今年の『R-1グランプリ』の決勝は3月9日(土)18時30分〜20時54分に生放送されます! もうすぐですね!

というわけで、まずは僕の今年の『R-1』の結果はどうなっているのか、そこから触れていきたいと思います!

キモいねん💢💢💢💢
ひとつもなんもうれしないわ💢💢💢💢💢
全然うれしくないんやから“めっちゃ”うれしいなんてことあるわけないやろ💢💢💢💢💢

ということで、結果は

準々決勝敗退でした!!!!

めっちゃうれしい〜!!!!!!!!

ちなみに僕の今までの『R-1グランプリ』の結果はこんな感じですね

2013年 1回戦敗退(大阪)
2014年 2回戦敗退(大阪)
2015年 2回戦敗退(大阪)
2016年 1回戦敗退(大阪)
2017年 2回戦敗退(東京)
2018年 2回戦敗退(東京)
2019年 3回戦敗退(東京)
2020年 2回戦敗退(東京)
2021年 2回戦敗退(東京)※芸歴制限10年以下
2022年 2回戦敗退(東京)※芸歴制限10年以下
2023年 準々決勝敗退(東京)※芸歴制限10年以下
2024年 準々決勝敗退(東京)

去年からやっと1〜2回戦の壁をなんとか突破できるようになってきた感じですかね〜💦💦

こうやって見るとめちゃくちゃ出場してますね〜💦💦
※2021年・2022年・2023年は出場資格が芸歴10年以下のみでしたが、今年からまた芸歴制限が撤廃され、誰でも出られるようになりました!

なぜか世間が大忙しの時期に開催される『R-1』

『R-1グランプリ』の流れをまったく知らない方のためにも、ちょっと簡単に説明させていただきます↓↓↓

わかりやすすぎる図を描きました!!

今年は決勝が3月9日放送ということで、それに向けての“予選”がありました
それがですね、なんとクリスマスや年末年始という、世間のみなさんが賑やかで忙しいあの時期に毎年ひっそりとスタートしているんですね〜

【1回戦】
2023年12月26日〜2024年1月16日
【2回戦】
2024年1月17日〜1月24日
【準々決勝】
2024年2月1日〜2月6日
【準決勝】
2024年2月11日
【決勝】
2024年3月9日

という約3カ月の間、予選が行われているという感じなんですが

いや、ちょっと待ってください💦💦

「一月往ぬる二月逃げる三月去る」
(1月は行く、2月は逃げる、3月は去る)

こんな言葉を一度は耳にしたことがあると思います

「1〜3月は行事がめまぐるしく、あっという間に過ぎてしまうよ」という意味です

いや、こんな世間のみなさん誰もが大忙しの時期ぴったりに合わせて『R-1』開催されてるとか💦💦

みんな私生活忙しすぎて、さすがに注目しづらいやろ💢💢💢💢💢💢💢

『キングオブコント』は10月
『M-1』は12月
そして女性芸人さんだけの賞レース、『THE W』も12月に決勝が放送されてて

『R-1』だけ3月て💦💦💦💦
どう考えても『R-1』だけ年始に始まりすぎてるし、年始に終わりすぎてるやろ💢💢💢💢💢💢💢
って毎年思ってます〜!!

なので、皆様大変お忙しい時期とは思いますが、どうか『R-1』を気にかけていただいて、大いに楽しんでいただいて、盛り上がりまくって

3月の決勝が終わってからも、そのまま年末まで熱気が続けばいいな〜!!!!!!
なんて思ってます!

今年の決勝は、僕が所属している事務所「トゥインクル・コーポレーション」の先輩“街裏ぴんく”さんが、初の決勝進出しておりますので!! とてもとても楽しみです◎

ぴんくさん、決勝当日まで体調お気をつけて〜!!!!

賞レースは疲労困憊…発疹も隠せる“ゴーグル”の存在

『R-1』の簡単な説明、盛り上がってほしいな〜という話はここまでとしまして

ここからは、子供のころと約2年前までは重度、近年は中程度の症状のアレルギー・アトピーだと自分で勝手に認識している僕なんですが

そんな年がら年中アレルギー体質である僕が出場して感じた『R-1』について書いていきたいと思います!

まず、声を大にして言いたいのはですね

賞レースはいまだに一年で一番緊張する!! 本当に!!

ですね〜

何度出ても毎年しっかりと緊張しますし、この時期、賞レースに向けてライブ数も1年で一番増えます

ネタの改善・改良のため、常に寝不足、蓄積する疲労

なので、『R-1』の時期というのはですね
“最も体調に気を使う時期”
なんですね〜

負けたらすぐに終わりの緊張感
この1年で自分が作ってきたネタ、やってきたお笑い活動の
答え合わせのようなもので

やってきたことが間違ってないんだと、
自分がおもしろいと思って作ってきたものが、どこまで通用するのか
どこまで勝てるのか
世間に評価されるか
それを証明する場のようなものですかね

必ずしも売れるにあたって賞レースだけが正しいわけではないんですが
『M-1』でも、『キングオブコント』でも、賞レース後はコンビの解散発表が増えます

それと同じで、ピン芸人も
このまま続けていいのか、ダメなのか
精神的な負担も大いにあるこの賞レース期間
それが1回戦、2回戦、準々決勝、準決勝……約2カ月〜3カ月

もちろん勝ち進めれば勝ち進めるほどうれしいですし、それを目指しているのですが!
それと同時に、身体を酷使する時期が長ければ長いほど、ちゃんとボロボロになっていくのも正直自分でわかります!

写真ではやや見た目が強すぎるため、イラストにしてみたんですが(それでも苦手な方は以下閲覧注意です!)、疲労が溜まりに溜まると僕はこんな症状が出てしまいます

起床時の朝に、顔の異変に気づくことが多いのですが

「寝てる間に誰かと乱闘して気絶してそのままもう一回寝た人」〜!!?

って思ったりします

発疹が、疲れのバロメーターみたいに顔・全身に出てきてしまうんですね💦💦

もともと子供のころから肌がめちゃくちゃ弱いんですが、疲労が溜まったり、寝不足が続いたりするだけで簡単に身体中のバリア機能が低下し
ハウスダストや花粉・食べ物・汗などにアレルギー反応を起こして、発疹が出てきてしまいます!

発疹はかゆいのなんの、髪の毛や衣服が触れるのも気持ちが悪い感覚ですね〜
症状が出た場合はもちろん飲み薬・塗り薬を使用、そしてじゅうぶんな睡眠や栄養を取りつつ、ライブに出て、『R-1』の本番も迎えなければならない

お客さんも心配してしまうような、まばらに赤い顔で

しかし! こんな顔・身体になっても全然大丈夫!
なんといっても僕には“全身タイツ”と“ゴーグル”があるから!

皮膚のほとんどを隠すことができるので〜!

先ほどのイラストは症状がかなりひどいときのなんですが、そのイラストにゴーグルをつけてみたらこんな感じですね↓↓

まぁまぁ💦💦ちょっとね、さすがに発疹の範囲が広すぎて隠しきれていないときもありますが!!

でも、やや襟(えり)の長くて、簡単にまくれたりしないピッタリサイズの全身タイツ、そしてゴーグルによって大部分は隠せています!! 全然大丈夫っすね!!

“ゴーグルをつければ大丈夫”という安心感が自分の中であるので

この賞レースの時期も、なんとか切り抜けてきたと思っています

現在は、こういった症状が出る原因も以前より理解できたり、長年の経験からかなり防ぐことができています!

衣装でも隠すことができない手の甲とかに症状が出てしまうとね〜、さすがにどうしても隠せていない時期もありました

なるべくネタ中は手を早く動かして、手に注目が行かないようにしたり!(意味ない!)
手を身体のうしろで組んで見えないようにしたり!(不自然すぎる!)
いろんな悪あがきもしてましたね〜

こういう身体だから仕方ない!と割り切れたらよかったんでしょうが
僕の場合は“見られたくない”という気持ちが圧倒的に優っていましたね!

そんな見られたくない身体の部位を気にしながら、賞レースに臨んでいた年も少なくないです
久しぶりに昔の写真を見返してはっきりわかりましたが、やっぱり現在はかなり回復しています! やったー!! なのでご心配なく!!

皮膚だけじゃない、この時期特有の「もうひとつの異変」

あと、この賞レースの時期は肌などの見た目に異変が起こるだけでなく、もうひとつ注意しておかないといけないことがありまして

それは“喉(のど)”ですね

外側にある皮膚が弱ければ、身体の内部の粘膜系の皮膚も弱いものでして

一度やや体調が悪いときに、芸人の先輩にお寿司を食べさせてもらい(行くな!!)
ナマモノ・魚介類・魚卵などに反応して、口の中と唇・喉がその場で腫れて、こんな感じになったことがありました

おめかしして紅引いてるやん、寿司屋で

来店時とは比べ物にならないくらい唇がとってもふくよかに、通常の3倍くらいに大きくなって退店しましたね〜

喉の奥・口のまわりもだいぶかゆかったんですが、ごちそうしてもらった先輩には申し訳ないのでなんとかバレないように、「もともとこのくらい唇ふくよかでしたが?」という顔で帰りました!

とまあこんな感じで“喉の皮膚”も弱いものでして、賞レースの時期にこんなことになると
大声が出なくなるんですね〜!!

疲労により基礎体力が落ちてしまってる状態では
冬場の乾燥・ハウスダスト・花粉・食べ物
これらによって一瞬にして喉が真っ赤に腫れて
“声が出なくなる”
という、本当に人前に立つにあたって一番避けたい事態が容易に起こっていました

冬場という時期も時期なので、毎年この賞レース前になると喉の炎症を抑える薬を常備して備えていましたね〜

やはり自分のベストのネタを、ベストなコンディションでやりたいですからね!

僕にとっては「ネタ」と「体調」ふたつのコンディションをベストに持っていく時期

どうしても両者のバランスを取るのが難しいときもありますが
そんなときでも“ゴーグル”があるから自由にできる
症状が顔に出てしまおうと、ゴーグルをつければ人前に出られる
ゴーグルがあるからライブ詰めまくってネタ試して、『R-1』に臨むことができる!
といった感じですね!

時間はかかっていますが、少しずつ勝てるようになってきました
好きなことはできるうちにやっておきたいので
来年こそ準々決勝の壁を越えたいです!

ネタのさらなる進化と体調管理のスキルを上げて、また『R-1グランプリ2025』に向けて動いていきます!
どうかよければ少しでも気にかけておいてください!

3月9日(土)の『R-1グランプリ2024』決勝生放送、みんなで観ましょ〜!!!
最後まで読んでくれてありがとうございました!!!

【連載】限界アレルギー激闘記【ゴーグル芸人ちびシャトル】

第1回:“アレルギー数値”平均の約100倍!12才男子が毎日苦しんだ限界アレルギー反応
第2回:「アレルギー発症時の顔を見られたくない」赤くただれ、えぐれ…それでも芸人を辞めない理由
第3回:重度のアレルギーで部活も制限…「しんどいかも」母に泣きながらこぼした本音
第4回:アレルギー通院歴30年…医者に言われた“無理ゲーすぎる”対処法
第5回:30年間「本気のアレルギー対策」をやってみた結果。発症を防ぐには?
第6回:重度の食物アレルギーは「罰が下った感覚」年間1095回“米・鶏肉・グミ”でしのいだ食生活
第7回:かゆみが止まらず石油ストーブに…!絶対まねしてはいけない4つの失敗談
第8回:重症アレルギーで全身傷まみれの高校生が「人前に出る」芸人を目指した理由
第9回:「手のかかる子供でごめんね」重症アレルギーの芸人息子が親に“一番伝えたいこと”
第10回:重症アレルギーで緊急手術!?「配達便バイト」で直面した壮絶トラブル
第11回:アレルギー重症期に元カノから届いた「忘れられないLINE」
第12回:「肌がボロボロに…」アレルギー持ち芸人『R-1グランプリ』で起きたふたつの異変

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ちびシャトル

トゥインクル・コーポレーション所属のピン芸人。1991年10月1日生まれ。長崎県出身。自身で描いたイラストが飛び出す”立体のフリップネタ”を軸に活動中。『R-1グランプリ2023』準々決勝進出。森本サイダー、ムラムラタムラ、本多スイミングスクール、Men’s石橋の4名とのユニット「ピーターパンウンコ..

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