重症アレルギーで緊急手術!?「配達便バイト」で直面した壮絶トラブル

文・イラスト=ちびシャトル 編集=高橋千里


平均の約100倍の“アレルギー数値”を叩き出し、0歳から30歳まで異常なほどのアレルギー反応と闘い続けてきたピン芸人・ちびシャトル。今回は、アレルギー持ちならではのアルバイト生活の苦労を振り返る。

※本記事は、ちびシャトルさん個人の経験・感想であり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談してください

生活と薬のためにも、アルバイトは必須!

トゥインクル・コーポレーション所属のピン芸人、ちびシャトルです。

売れていない芸人はみな、やっているであろうアルバイト。
10年以上売れずに芸人を続けていると、アルバイトでもさまざまな経験をしてきました。

アレルギーに気を遣いつつの芸人活動でも悩ましい出来事が多々ありますが、同時にアルバイト先でも悩ましい出来事がありましたので、今回はアレルギー持ちのアルバイト生活について書いていきたいと思います。

いや〜なんせ毎月の生活費に加えて、アレルギーの薬も毎月病院からたくさんもらうので、お金がないと生活できないですからね!

2年ほど前までは、こちらの量の薬を毎月もらっては、しっかり使いきっていました↓↓↓

そういえば今年はまだ皮膚科に2回しか行ってない!! めっちゃ回復しました!! ありがとうございます!!!!

普段からあらゆる現場で日夜働かれてる方々の中にも、アレルギーでお困りの方もいると思います。こういった仕事ではここが困るよね〜などと共感していただければ幸いです。

顔の荒れを指摘された「ファミレスのキッチン業」

大阪で芸人活動を始めて、そのまま5年ほど大阪で生活し、そのあと上京して5〜6年が経ちました。

その間に僕がやっていたアルバイトは、ファミレスのキッチン、自転車配達便メッセンジャー、ショーパブの警備員、運送会社の早朝荷物仕分け、コンビニ夜勤、カラオケ店勤務、などなどですかね〜。

右も左もわからない初めてのバイト先は、ファミレスのキッチンでした。

なんとなく、本当になんとなく「自分は料理ができるんじゃないか」と直感で働くことにしましたが、このアルバイト経験を経て僕は

心の底から満面の笑みで「料理向いてないんだ〜!!!」

と思いましたし、これ以降なるべく飲食店のアルバイトは避けまくるようになりました。

僕が料理向いてる・向いてないはどうでもいいとして、アレルギー持ちの僕が飲食業で大変だったのは、髪をしっかりコック帽に入れて顔を出さないといけないことでしたかね〜。

僕は基本、年がら年中、顔にまばらに赤みが発生してしまうのがすごく嫌でして、なるべく前髪などで顔の皮膚が見える面積を極限まで減らしたいんですね。

アルバイトでも、舞台上のようにクソデカいゴーグルをつけて勤務できたらとてもありがたいのですが◎

飲食業は衛生面対策で、髪の毛が入らないようしっかりと前髪から横髪まで帽子に収納するので、荒れてる顔面をおもくそ見せなければ働けなかったのです。

一度、僕の顔がアレルギー・アトピーの症状で荒れに荒れまくっていた時期に、ファミレスの店長さんにこう言われました。

店長「あの〜……さあ、一応ここ飲食店やからさあ、衛生的にちょっと顔荒れてるのなんとかならんかな? 一応飲食店やからさあ……」

いやそんな飲食店の営業に影響及ぼすくらい顔ひどいんや〜!!って正直びっくりしましたね〜💦💦💦💦

店長さんも飲食の仕事だからと、申し訳なさそうに言っていました。

百歩譲って、僕が料理提供でお客さんと対峙したときに、あまりにも顔がアレルギーとかでひどくて問題なりそうとかならまだしも(それもひどいけど〜☆)

キッチンとホールの仕事が完全に分かれてるタイプのファミレスだったので、僕はキッチンのみで、お客さん側には確実に出て行かない立ち位置だったんですね💦💦

なので、料理を作る段階で何か影響を及ぼす可能性を秘めてるくらい顔の荒れがひどかったんですかね〜!! モラル的にも店長さんの指摘はえぐいですが、今からちょうど10年前の話なのでそんなこともありますね!

あとキッチンには、ハンバーグやパンケーキを焼くためのとても面積の広い鉄板が常備されていて、常にものすごい熱を発していたので、その熱気も相まって顔がとてつもなく赤くなっていたのも要因だとは思いますかね〜💦💦

肌って、とても熱に弱いですから! 飲食店のキッチンで働かれてる方々は、それが常に大変だと思います!

鉄板や、食材を炒めるときの火、油などの熱気……。僕の肌がとても敏感なときは、地味にダメージが大きかったです! お気をつけて!

あと、頻繁にしないといけないアルコール消毒と手洗いと、皿洗いの洗剤! これらはすべて手の皮膚に大ダメージでしたね! 手袋必須でした!

粉砕骨折で緊急手術した「自転車配達便メッセンジャー」

料理は苦手!身体を動かすのは好き!ということで、ほかには自転車配達便メッセンジャーというアルバイトもやりました。

今となってはUber Eatsなどが普及して当たり前になりましたが、このメッセンジャーというのは飲食物を運ぶのではなく、企画書・設計図・速達の手紙などの書類がメイン。

「今すぐに届けてほしい」といった急ぎの内容のモノを、ロードバイク、ピストバイク、クロスバイクなどですぐさま配達をする、といった内容のアルバイトでした。

大阪の梅田・中之島・北区・中央区のオフィス街を行ったり来たりするのが中心で、一日の大半を外で過ごしていました。

一度だけ「どうしても今すぐこの書類を名古屋に届けてほしい!」とのことで、大阪から新幹線で名古屋まで配達したこともあり、それほど当日配送に特化した業種でしたね〜。

アレルギーの人あるあるだと思うのですが、特に冬とかは外にいるときは顔が白いのに、室内に入ったとたんに真っ赤になってしまう、お酒飲んできたんですか?くらいの赤さになる、というのがありまして……。

顔が赤くなるのが治せたら一番いいに決まっているのですが、長年治らないのでもうやるべきことは“いかに隠して生きるか”なんですね。

悲しすぎるだろ💢💢💢💢💢
いかに顔を隠して生きるかって、言葉として悲しすぎるよ〜!! 犯罪をしてしまった人みたいな言い方やね!!

なので、仕事の大半を外で過ごすメッセンジャーは、年中外にいれば顔も白いままで、顔が赤くなる心配はいったん考えずに済んでいたので、気持ちは楽でしたね〜。

そして、これは子供のころから超不思議なんですが、汗をかいてかいてかきまくって代謝をよくすると、(完全に僕の場合はですが)アレルギーの症状が出にくくなるんですよね。

まあ僕は汗アレルギーでもあるので、正確には、汗をかきまくったあとすぐにシャワーなどで全身の汗をくまなく洗い流す。そして保湿もしっかりする。ここまでしたら症状が出にくくなります。めんどくさいね☆

このメッセンジャーのアルバイトは、夏場は普通に5kg痩せたりするくらい(ヤバいだろ〜!!)一日中チャリをこいでたので、ものすごく代謝が上がってました。なので、今思えばこの時期はわりと体調もよかった気がしますね。

しかし、外でのアルバイトでどうしても大変だったのは“雨の日”でした。

因果関係ははっきりわかっていないのですが、雨に打たれながら配達した次の日は、顔が荒れることが多かったです(雨は空気中の花粉とかチリを集めながら降ってくるっていうもんね! 身体にいいものではないよね!)

でも、雨に打たれながら、雨を凌駕するほど汗もかいていると、相殺されて(?)体調がよかったときもありました! どういうこと!? この身体!? むずすぎるよ!?

あと、それは自分のせいやろ!というやつですが、自転車はケガが多くて……。転んで右膝を5針縫ったり、鎖骨骨折も3回したり(3回も!?)、頭を切って医療用ホッチキスで8カ所も留めたり……。

皮膚が弱いと、傷の箇所がすごく荒れやすいんですよね……。
治りも遅いし、皮膚が弱くて菌が入りやすいので、傷口もめちゃくちゃ化膿しやすいです。

一度、肩と首の間にある鎖骨を粉砕骨折(体内で粉々に飛び散る骨折)したとき、全身麻酔で肩を開いて骨をかき集め、鉄のプレートと骨をボルトで固定して閉じる、という手術をしたことがあったのですが……。

本来なら2〜3カ月放置して、完全に骨が固まったらプレートを取り出す手術を再び行うんですが、僕の場合、皮膚が弱すぎて、ものの1週間で傷口が化膿してしまい

お医者さん「このままだと骨にまで菌が入ってしまう!! 大変危険です!! すぐに緊急手術を!!!」

ということで即座に緊急手術。お医者さんと会話していた2時間後には全身麻酔。

ちなみに当時入院してたときの写真がこちらですね↓↓↓↓

がんばれ〜!!

緊急手術では、プレートを速攻で外して消毒、そして再び化膿が懸念されるため、もう傷口は縫って塞いだりせず、骨折している骨が丸見え、丸出しの状態(どゆこと!?)で自然と傷が塞がっていくのを待つという、肩から白骨丸見えハードモード入院生活で骨折を見事完治させました。

僕はあの時期「すぐ左下を見れば自分の真っ白な鎖骨がはっきりと見える! うれしい〜!」と病院のベッドでちゃんと口に出して言っていました。あの時期を思い出すと今でもうれしいです(うれしい?)

長く続いた「ショーパブの警備員」でも、アレルギーで異変が…

そんなこんなで、外での仕事はいいが、自転車はシンプルに危ない、身体がもたない(アレルギーあってもなくても!)ということで、別でショーパブの警備員のアルバイトを始めました。

これは少し変わったアルバイトで、夜中に営業しているショーパブがあるのですが、すぐまわりが住宅街なので、近隣の方々のご迷惑にならないようショーパブのまわりに4〜5人の警備員が常に配置され、お客様が店に来られるときにはひとり1個持っている「お静かに!!」とデカデカ書かれた看板を見せながら近づいて、マジでちゃんと静かにしてもらう。という仕事でした。

これは外での勤務ですし、夜中なので顔が荒れてしまってる日でもマシな日でも関係なく顔を出さなくていいし、雨の日は傘もさせるし、骨折の心配もないし、ということでこのアルバイトは長く続けていましたね。

続けやすい環境ではありましたが、普段からアレルギーの脅威にはノーマルにさらされていたので、なんでもない日にも僕のアレルギーの容態が悪ければ一気に大変なことになっていました。

本当にたまたま僕の足の傷口がとんでもなく化膿してしまっていた日のことなんですが、

鎖骨骨折のときもそうでしたが、皮膚が弱すぎるのと、アレルギー・アトピーによるかゆみで、常日頃から身体中にかき傷などが多いため、(症状の大きい・小さいはありますが)かなり慢性的に身体のどこかは化膿してしまっていることが多かったです。

それこそ、目がかゆくてこすってしまうとすぐに腫れ上がり化膿、鼻の真ん中が真っ赤になって化膿、身体をかいたことで雑菌が爪の間に入ってしまったのか指先が真っ赤に腫れて化膿してしまうこともよくありました。

このとき厄介なのが、抗生物質の薬を処方してもらいたくても、なんせ化膿の頻度が多すぎて、毎度毎度通院するようなお金は持ち合わせておりませんでした。

あの時期の僕は少々の腫れや痛みであれば、数日我慢すれば治る!という素人の経験値から、痛み止めだけを飲んで我慢して過ごしていました(絶対に病院に行こう!!)

ある日、右足のスネあたりが赤く腫れていたんですが、かいた傷口がまた化膿してしまったんだなと、放置していました。

2〜3日経って腫れのピークは越したかなと勝手に思っていたんですが、腫れが引くどころかどんどん腫れ上がり、範囲もさらに広がっていきました。

ふくらはぎはたいていみんなふっくらしてて足首で少し細くなるというのが一般的だと思うのですが、スネの化膿をほったらかしていたある朝、起きてびっくりしました。

足首がどこにも見当たらなかったのです。スネから足首にかけてパンパンに赤く腫れ上がり、足首とふくらはぎの違いがなくなって、同じ太さになっていたのです。

生活もあるし、休むのも申し訳ないしという謎の責任感から、足の痛みを抱えながら警備のアルバイトへと向かいました。

痛みがひどくて歩くのもしんどい……正直痛みで意識も朦朧とする……という本当に危険なところまできてしまい、途中で帰らせてもらいました……(早く病院に行こう!!)

ここから少々気味の悪い話で申し訳ないのですが! 鼻の角栓や耳垢を取る系の動画が無理な人はちょっとお気をつけください!

なんとか家に帰った僕は、まだ自力でなんとかしようと考えます(早く病院に行こう!!)

ここでもうひとつ、僕の勝手な経験から、化膿してパンパンに腫れたあとは膿が出てしまえば痛みが和らぐ!というものがありまして(完全に素人の考えです! 早く病院に行こう!!)

熱して消毒した針などを刺して、膿を出して腫れだけ引かせよう!と決死の思いでスネの一番腫れている中心部を刺してみたところ、本当に信じられないのですが、2〜3mほど天高くまっすぐに膿が勢いよく飛び出し、天井に到達しました。そんな膿を目の当たりにし、なぜだか達成感で誇らしくなりました。

そして、パンパンに腫れた足をぎゅ〜ぎゅ〜と押して膿を出していくと、みるみるうちに足が萎んで細くなっていき、本当に最悪の情報なんですが350mlの缶ジュース1本分くらいは膿が出てました(ごめんなさい💦💦💦本当に本当に病院に行こう!!)

数日後には痛みも消え、なんとか事なきを得ました。

今考えても本当にバカだなと思います!! でも本当に病院に行くお金がなかったんです……(泣)。

どこかが腫れて痛いなんて日常茶飯事だったので、限界までは我慢するというあの時期の成れの果てでしたね。大事に至らなくて本当によかったです……。

目指すは、お笑いの仕事だけで薬代を稼ぐこと!

まあ、あれもこれも全部5〜6年以上前の話なんですが、これが僕のアレルギーに気をつけながらお笑いと並行してやってきたアルバイトの一部分ですかね。

昔を思い出して考えると、アレルギー反応も、病院からもらう薬の量も格段と減りましたね。

「薬代が高くてフリップの紙も買えねぇわ💢💢💢💢」

とひとり嘆いていた時期もあったので、今は体調も回復してきたぶん、お笑いに時間もお金も費やせるようになってありがたい限りです!!

お笑いのお給料だけで薬代を稼げるようになって! 一人前の立派なアレルギー芸人を目指そうと思います!!
いや、売れる前にまずアレルギーを完治させえ!!

みなさんも身体にお気をつけて年末を過ごしてください! 最後まで読んでくださってどうもありがとうございました!!

【連載】限界アレルギー激闘記【ゴーグル芸人ちびシャトル】

第1回:“アレルギー数値”平均の約100倍!12才男子が毎日苦しんだ限界アレルギー反応
第2回:「アレルギー発症時の顔を見られたくない」赤くただれ、えぐれ…それでも芸人を辞めない理由
第3回:重度のアレルギーで部活も制限…「しんどいかも」母に泣きながらこぼした本音
第4回:アレルギー通院歴30年…医者に言われた“無理ゲーすぎる”対処法
第5回:30年間「本気のアレルギー対策」をやってみた結果。食べ物、ハウスダスト、日光…発症を防ぐには?
第6回:重度の食物アレルギーは「罰が下った感覚」年間1095回“米・鶏肉・グミ”でしのいだ食生活
第7回:かゆみが止まらず石油ストーブに…!絶対まねしてはいけない4つの失敗談
第8回:重症アレルギーで全身傷まみれの高校生が「人前に出る」芸人を目指した理由
第9回:「手のかかる子供でごめんね」重症アレルギーの芸人息子が親に“一番伝えたいこと”
第10回:重症アレルギーで緊急手術!?「配達便バイト」で直面した壮絶トラブル

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ちびシャトル

トゥインクル・コーポレーション所属のピン芸人。1991年10月1日生まれ。長崎県出身。自身で描いたイラストが飛び出す”立体のフリップネタ”を軸に活動中。『R-1グランプリ2023』準々決勝進出。森本サイダー、ムラムラタムラ、本多スイミングスクール、Men’s石橋の4名とのユニット「ピーターパンウンコ..

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