Aマッソ村上の心のウチ「お互い合うてないから考えてまう、ウチらはトムとジェリー状態」

2022.12.22
Aマッソ村上の心のウチ「お互い合うてないから考えてまう、ウチらはトムとジェリー状態」

文=西澤千央 撮影=加納


Aマッソの頭脳が加納なら、Aマッソを動かすエンジンは村上。他者には予測不能で制御不能な身体性を謳歌し、独自の方法論で突き進む村上の、誰も追求してこなかったその心のウチ。彼女はなにに喜び、なにに怒り、なにを追いかけているのか。

あなたが村上を覗くとき、村上もまたあなたを覗いている。

Aマッソが表紙を飾る『クイック・ジャパン』vol.164(2022年12月27日から順次発売)より、Aマッソ村上のインタビューを特別に先行公開。


こたつに入ってたから、寝ちゃった

Aマッソ村上の心のウチ「お互い合うてないから考えてまう、ウチらはトムとジェリー状態」
Aマッソ村上/『クイック・ジャパン』vol.164より

──今日サッカーご覧になりました?

村上 観ました、朝。1回目のゴールのときに旦那さんが「うわー!」って言ってたから起きてしまって、そしたら3分後ぐらいにもう1点入ったから「うわー!」ってなって目覚めました。

──いい目覚めですね!

村上 いい目覚め。だから今日充実してます!

──(よかった……)今日は村上さんの「感情」に迫りたいと思っております。最近一番うれしかったことはなんですか?

村上 加納さんの本の発売ですかね。

──読みましたか?

村上 読んでないです(キッパリ)。

──加納さんの本が出たことは村上さんにとって喜びですか?

村上 やっぱりAマッソの稼働があることが、ウチを動かしてくれるんで。加納さんがひとりで仕事してても、いつかこぼれ球が来るんで。加納さんがなんかやったら喜びになるかもしれない。

──村上さんはゴール前にフォワードとして待機して、最後決めなきゃいけない。

村上 いいとこどりなんですね、結局。こぼれ球きたきた!って。

──加納さんが執筆の道へ行ってしまう怖さはないですか?

村上 全然行ってもらってもいいかもしれない。それで機嫌がよければいいと思います。やりたいことをやってるときじゃないと機嫌悪いんで。加納さんに嫌なことがあったらうちも嫌な気分になるから、基本は機嫌よくやってほしい。作家のほうに集中したいって言われたら、頑張れと思う。うちは基本、楽したいんで(笑)。

──小さいときからそういう性格は変わってないですか?

村上 たしかに。小学校のときに「◯◯はこんな人」みたいなアンケートがあって、ウチのところ「能天気」ってめっちゃ書かれてて、それ当時はほめ言葉やと思ってた。後から悪口やって気づいてハッとしました。

──悪口ではないと思いますが。

村上 無責任みたいなことやと思う。ヘラヘラそれで生きてきて、気づかんかった。でもそんときは気づかんくてよかったですよ。

──ポジティブに受け入れられた。

村上 そうそう。そんときに気づいて「え? これって調子乗んなよっていう意味?」とか考えてたら暗くなってたんかなって。

──よかったです。今の村上さんはいなかったかもしれない。

村上 ずっと能天気ではあかんなとは思いますけどね、今は(笑)。

──村上さんは芸人さんに対してどういうイメージを持っていましたか?

村上 「見せてくれるもの」だと思ってました。この文化を自分はずっと見ていくものなんやろなと思ってたんですけど、気づいたらやってました(笑)。

──不安な気持ちはなかったんですか?

村上 不安な気持ち……加納さんがやろうかって言ったから「おうー」みたいな、ほんまにそれぐらいの感覚やったんで、そこまで不安感はなかったですね。

──加納さんから芸人になろうと誘われたとき、自分の中で別の仕事に就きたいという気持ちはなかったですか?

村上 ウチ、社長になりたかったんですよ。雇われたくなくて。だから、お風呂屋さん経営したかったんですけど、2億円必要だって。バイトしても無理やって思った瞬間に諦めました。だから農業とかかまぼこ工場とかにインターンに行ってたんですけど、加納さんが「そんなんしててもあれやで」って言ってきたから、こんなんしててもあれなんや、って(笑)。

──「そんなんしててもあれやで」(笑)。

村上 「それ、おもろい?」みたいな。そう言われたらたしかに面白くはないかって思いました。

──なんでお風呂屋さんだったんですか?

村上 真ん中に座ってられるから。

──実際に芸人になってから「思ってたのと違う」とはなりませんでしたか。

村上 そんなにイメージしてなったわけじゃないから。でももっと早く売れるとは思ってました。全然売れへんやんって。いつまで経ってもTVに出られへんやんっていうのがあって、そんときはちょっと不穏でしたね。

──やめようと思ったことは?

村上 やめようっていうのは自分から言うことはなかったと思う。あっちから誘われたから、あっちからケジメつけてもらわなとは思ってたんで。

──相方が誘ってきたのだから、やめるやめないのカードはこっちが持ってると考える人のほうが多いんじゃないかなと思うのですが、村上さんはそうじゃなかった。

村上 別にめっちゃやめたいとかないし、だってめっちゃ(芸人)やってるもなかったから。もし加納さんから言われてたらやめてたかもしれない。以前一回そういう場面があったんですけど、今後どうするみたいな話をしたときに、ウチが考えながら寝てしまって。そっからそういう話されなくなった。たぶんそこで諦めがついたのか、頑張ろうってなったのかもしれない。

──寝ちゃったんですね、村上さん(笑)。

村上 こたつに入ってたから、寝ちゃった。

会議にも出てないけどチームづらしてる

──村上さんは周囲のスタッフさんをどのように見ていますか?

村上 企画はいつも加納さんはじまりなんで、そこに呼ばれたスタッフは……友達の友達を紹介されるみたいな感じ。まだ気遣ってる感が出てるっていうのはあります。

──友達(加納さん)の友達(スタッフ)。

村上 友達の友達紹介されて、仲良くやっていこうみたいな(笑)。距離詰めたいけど、こっちだけで遊んでいいんかな?みたいなんがまだある。作家のいもちゃん(井本さん)は編集一緒にやってくれたりとかあったんで、全然もう友達です。でも会ってないなぁ。いもちゃん元気かな?

──マネージャーさんはどういう存在ですか?

村上 ……助けてもらってまぁす。あざぁす。加納さんが暴走するとき「いや、こっちやで」って直してくれる(笑)。

──それは村上さんでは言いづらい部分ですか?

村上 ウチは暴走に気づかんと一緒に暴走してしまうんで。

──加納さんやスタッフさんは、企画内容をギリギリまで教えず村上さんを突然最前線へ放り込みますが、もしかしたら村上さん側には「あなたたちのことを私が試してるんだよ」みたいな感覚もあるのかなと思って。

村上 はははは(笑)。実はこっちが操ってんだよ、みたいな。たしかに「会議とかもやってんと、私同じチームづらしてるな」とは思ってた。それってめっちゃすごいことかもって今思った(笑)。

──たしかにすごいです。

村上 自分たちのチャンネルをウチじゃない人たちがめっちゃ頑張って作ってるということは、やっぱりウチが動かしてるのかもしれない(笑)。

──間違いなくAマッソのエンジンは村上さんだと思います。

村上 ブルブル?


よくわからないルールに縛られたくない

Aマッソが誌面を飛び出す⁉『クイック・ジャパン』最新号、笑いの実験を繰り返すコンビの60ページ大特集!!!
Aマッソ/『クイック・ジャパン』vol.164

──村上さんはこれからどういうことに挑戦したいですか?

村上 歌番組やりたい。あとドラマも出たいし、舞台も出たい。声優もやりたいし。

──この質問すると、加納さんはあんまりしゃべらないんです。すごく考える。村上さんはいつも即答してくれます。

村上 たしかに。でも難しいと思ってないからだと思う(笑)。

──芸人はこうあるべし、みたいな心の縛りはないですか?

村上 そんな縛り、いらんなと思う。大阪にいるときに、大阪の賞レース出ないと東京出られへんってみんな言ってた。でもそんなん言ってたらずっと東京には出られへん。

──誰が決めたかよくわからないルールに縛られない。

村上 そうそう。

──今回のインタビューで、加納さんは「どうやったら村上さんがやる気を出してくれるか」ということを、村上さんは「どうやったら加納さんが機嫌よくやってくれるか」ということをすごい考えてらっしゃるのがよくわかりました。お互いがお互いのことをすごく考えるけど、それがちょっとズレてるのが面白いんですよね。

村上 そう、お互い合うてないから考えてまうみたいな(笑)。

──お互いがお互いをずっと追いかけてて、でも捕まえられない。

村上 Aマッソはトムとジェリー状態。

Aマッソが誌面を飛び出す⁉『クイック・ジャパン』最新号、笑いの実験を繰り返すコンビの60ページ大特集!!!
Aマッソが表紙の『クイック・ジャパン』vol.164

Aマッソ特集の『クイック・ジャパン』vol.164(2022年12月27日から順次発売)表紙・巻頭写真は、3Dメガネを使用すれば立体に見える特別仕様。Aマッソの2人のソロロングインタビューはもちろんのこと、TV、ラジオ、YouTubeの現場取材、スタッフによるAマッソの分析など充実の誌面となった。

また、60ページ特集を記念したAマッソスペシャルトーク音声つき限定版の発売も決定! 小中学生時代の哀しいお笑い体験やルームシェア時代の衝撃エピソード、さらには今後のコンビを揺るがす大問題⁉についてまで、ここでしか聴けないトークが45分収録されている。


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西澤千央

(にしざわ・ちひろ)1976年生まれ。神奈川県出身。実家の飲み屋手伝い→ライター。『クイック・ジャパン』(太田出版)や『文春オンライン』、『GINZA』(マガジンハウス)などで執筆。ベイスターズとねこと酒が好き。

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