どう実現させる?中野区から映画化・アニメ化・ベストセラーを目指す「東京中野物語2022文学賞」を開催

2022.5.17

小劇場が多く、小説や映画の舞台になり、多くの芸能人も住み、若者の街と言われてきた中野区が一風変わったコンセプトで「東京中野物語2022文学賞」を創設した。これは地方文学賞であるのにもかかわらず、受賞者には作家デビューだけでなく、作品の舞台化や映画化も目指すという。審査員には『小さいおうち』で直木賞を受賞した中島京子や、歌手・タレントの中川翔子らが名を連ねる。

そんなことが可能なのか? 関係者へインタビューしてみた。


中野区創設「メディア化を目指す」文学賞の新たな試み

日本で、作家になるためには文学賞受賞が近道だ。出版社が主催するもの、地方自治体が主催するもの、主なものだけで100を超え、さらにその応募の数も増えている。だが、実際には出版に結びつく文学賞というのは、出版社が主催する文学賞以外には難しい。

たとえ作家デビューしたとしても、そこから先、生き延びることはさらに難しくなる。新人作家の登竜門といわれるいくつかの文学賞の過去受賞者リストを見ても、数年後でもまだ作家といえる活動をしている者はそう多くはない。

「文学賞受賞作家という冠は数年で消える。現在、書籍を売るために最も有効な手立ては、映像化され、その露出をすることによって小説を売るという手法だ」と出版関係者は言う。

そんななか、中野区では新たな試みとして、出版化、舞台化、映像化、アニメ化を目指した文学賞を創設する。主催した東京中野物語プロジェクト実行委員会の代表、佐々木洋文氏は言う。

中野という町は、日本各地から上京した若者が青春の一時代を過ごした町として多くの映画や小説の舞台になってきました。また、中野サンプラザをはじめ劇場やホールも多い。映画、演劇、アニメの関係者など芸術家も多く住んでいます。東京でも有数の新たな文化を創造し得る町なのではないでしょうか。

単純なハコモノによる町おこしではなく、そのような特徴を大事にしたいという思いでこの文学賞を創設しました。具体的にいうと、単純に受賞作品を選ぶだけでなく、その作品を書籍として世に出し、舞台化、映画化、アニメ化することを目指します。しかし、それは簡単なことではないということは百も承知です。だけど、そこに向かっていくからには、そのことをみなさんにしっかりお伝えし、優れた物語の作品を集めたい。なので、最終選考委員もその目論見に沿って選びました。

作家の中島京子さんは『小さなおうち』で直木賞を受賞し、その作品は山田洋次監督によって映画化され、広く世間に愛されました。篠原哲雄さんは『花戦さ』で日本アカデミー賞優秀監督賞を受賞した映画監督であり、その演出力の評価が高い。そして、歌手・タレントとして活躍している中野区生まれ中野区育ちの中川翔子さん。そして、数々の無名新人小説家をデビューさせベストセラー作家にした作家のエージェント会社の代表、鬼塚忠さん。自らも小説家で、9作の小説を書いてすでに7作が映画化されています。

このように個性を異にし、目的に沿った人選をしました」

審査員を務める中島京子(小説家)、中川翔子(歌手、俳優、マルチタレント)、鬼塚忠(作家のエージェント会社代表・作家)、篠原哲雄(映画監督)
審査員を務める中島京子(小説家)、中川翔子(歌手・タレント)、篠原哲雄(映画監督)、鬼塚忠(作家のエージェント会社代表・作家)

200作品あれば、1冊はベストセラーになり得る

果たして、舞台化、映画化などできるのだろうか? 篠原哲雄監督に「映画化はできそうですか?」という質問をぶつけてみた。

「確かに映画化や舞台化は簡単ではないです。特に映画化がいかに難しいことであるかは、映画監督である私も身をもって体験しています。進行していた企画がぽしゃることなどもなかったわけではありません。だから、ここで映画化することは約束できない。しかし、それでも、私はこの文学賞に期待しています。全国からいい企画が集まることを期待しています。

それを、企画として立ち上げ映画化したいし、舞台向きであればその道を見つけることもできるかもしれません。私も中野に住み、夜の街を飲み歩いても、芝居や映画の話で盛り上がることが多い。芸能好きが多いのは肌感覚で感じます。

日頃は、上から降ってくるような企画が多い。この企画には、下から湧き上がってくるような感じがして、ワクワクせざるを得ません。いい企画を見つけたら、しかるべきところにコンタクトし、映像化なり、舞台化なり進めたいと思います。そのときには、できれば私も演出や製作に絡んでいきたい。みなさまの物語に期待しています」

鬼塚氏には「本当に書籍になりますか?」と聞いてみた。

「私の経営する会社は作家のマネージメント会社で、出版社ではないので、出版を約束することはできない。また、どんな作品が集まるか不透明なので、そういう意味でも今の段階では出版できるとはいえないです。ただ、確率から言えば、300の原稿が集まれば、その中のいくつかは出版に値する作品があるといえます。

というのも、私の会社には、日々、作家候補の方々から未発表の原稿が送られてきます。その原稿を社内の文芸チームが読み、いい作品があれば出版社に売り込みます。そして、実際に多くの作家をデビューさせてきました。50万部を超えるベストセラー作品や、映像化される作品も出てきました。その積み重ねで、私たちの文芸チームは相当読む力をつけてきたと思います。

今では小説を出す出版社の編集者からの信頼も高まり、弊社の持ち込み原稿ならば読むという方も多いです。そこで気づいたのですが、ある程度、まじめに向き合って書いた小説ならば、50作品にひとつは出版に値し、200作品の母数であれば一冊はベストセラーになりうる作品があると肌感覚で感じています。なので確率からいえば、300集まれば出版できる可能性はかなり高まります。

また、文芸を出す出版社の編集者からも、私たちが出版に値する作品と出会ったら、私たちもその作品を真剣に検討したいという言葉もいただいた。なので、いい作品であれば、私たちで出版までこぎつけたい。さらに、私自身も、小説を書いています。たまたまですが、同じ選考委員の篠原監督には拙著『花戦さ』を監督していただきました。なので、どんな作品を書けばいいかわかるつもりです。今回の応募作品には期待しています」

今回の「東京中野物語2022文学賞」に興味を持った人は、上記のコメントを参考に、ぜひ応募を検討してみてほしい。

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「東京中野物語2022文学賞」応募要項

【募集作品】
テーマ、ジャンル、長編、短編不問。なお、映画、演劇、アニメ関係者が多く居住する中野区の特性を活かすためにも、映画化・演劇化・アニメ化につながる作品を歓迎します。受賞作が映画化、演劇化、アニメ化された場合は、2028年度末に完成予定のNAKANOサンプラザの7000人を収容する大ホールで、上映または上演されることも視野に入れた構想となります。ただし、賞の選考において、映画化、演劇化、アニメ化に繋がる可能性のある作品が優遇されるものではありません。

【原稿枚数・応募方法】
・1枚あたり30字×40行(縦組み)で30枚以上70枚以内にしてください
※400字詰め原稿用紙に換算すると、90枚以上210枚内が目安となります
※あらすじ(200〜600字程度)を添付してください
・公式サイトの応募フォームから応募してください
・添付ファイルはWordまたはPDFでお願いします
・郵送での応募の場合は、問い合わせ先メールにてお問い合わせください

【募集期間】2022年4月30日(土)~9月15日(木)
【締め切り】2022年9月15日(木)24:00

【応募資格】
年齢・住所・職業・国籍、プロ・アマは問いません。ただし、応募は1人1作に限ります
※未成年の方は、保護者(親権者等法定代理人など)にも応募要項をお読みいただき、保護者の同意を得た上でご応募ください
※海外からの応募も可。ただし、日本語で書かれたものとします

【賞】
・大賞(1名)賞金:30万円+副賞(1万)
・佳作(2名)賞金:5万円+副賞(1万)
・中野区賞(1名)賞金:10万円+副賞(1万)
※中野区賞は、大賞または佳作とのW受賞の可能性あり

【発表・授賞式】2023年3月中旬 中野区内ホールで授賞式を予定
・一次選考は、読者選考委員を募集します。募集要項は、公式ホームページからご確認ください
・二次選考・最終選考を通過した方には直接ご連絡いたします
・受賞者は授賞式にご出席ください(旅費は当実行委員会が負担します)
・報道機関からの写真撮影やインタビューへのご協力をお願いします

【最終選考委員(敬称略)】
中島京子(小説家)、中川翔子(歌手・タレント)、篠原哲雄(映画監督)、鬼塚忠(作家のエージェント会社代表・作家)

【注意事項】
・応募作は未発表のものに限ります。ただし、応募者個人のWEBサイトや同人活動等ですでに公表している作品は問題ありません
・応募原稿の返却、選考に関するお問い合わせには応じられません
・他の文学賞への二重投稿は対象外とします
・第三者の権利、利益(著作権そのほか知的財産権、プライバシー権など)を侵害する作品は、選考の対象外となることがあります
・ご応募いただいた時点で、応募要項の注意事項を確認し、同意したものとみなします

【主催】一般社団法人中野区観光協会、東京中野物語プロジェクト実行委員会
【後援】中野区/中野区教育委員会/中野区商店街連合会/東京商工会議所中野支部/中野工業産業協会

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    【主催】一般社団法人中野区観光協会、東京中野物語プロジェクト実行委員会

    【後援】中野区/中野区教育委員会/中野区商店街連合会/東京商工会議所中野支部/中野工業産業協会
    【お問い合せ先】info@nakano-story.jp
    【公式サイト】https://nakano-story.jp
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