有吉弘行「スベってもいいじゃん」。『有吉の壁』で送る若手芸人へのメッセージ

2021.5.19
クイック・ジャパン vol.153

編集=QJWeb編集部


お笑い芸人の有吉弘行とフリーアナウンサーの夏目三久が結婚を発表したのは4月1日だった。それから1カ月、ふたりが関わっている番組ではお祝い企画がつづき、SNSではそのたびに祝福ムードに包まれる。これはふたりが、テレビを通して多くの人に親しまれ、愛されていたからだろう。

有吉の人柄を知る上で注目したいのは『有吉の壁』(日本テレビ/毎週水曜19時から)での存在感だ。この番組からは、若手芸人たちから厚い信頼を寄せられていることだけでなく、有吉が後輩たちに抱いている思いも読み取ることができるのだ。

【関連】有吉弘行という男の存在そのものが最高におもしろい

「芸人再生工場」として、ブレイクのきっかけに

『有吉の壁』は、若手芸人がお題に沿ったネタをひねり出し、“壁”として立ちはだかる有吉が「おもしろい」「おもしろくない」を○×で判定する番組。

有吉は2020年12月、『クイック・ジャパン』vol.153で貴重なロングインタビューに応じ、この番組について語っている。その中で「みんないい歳だから、ここからスターが出るとも思えないんですよねえ」とおどけながらも、「みんな普通に飯食えるように」と考えていることも明かし、後輩芸人たちがブレイクするためのきっかけになってほしいと願っていることが窺える。

「(芸人の)再生工場みたいになってるのかなとは思いますけどね。(とにかく明るい)安村とか、それこそちょっと疲れてた連中がまた息吹き返せばいいかなって感じはあります」

『クイック・ジャパン』vol.153より

実際に『有吉の壁』からはKOUGU維新をはじめ、チョコレートプラネットのTT兄弟やMr.パーカーJr、インポッシブルのJKボンバーズなど、数々のヒットキャラが生まれている。それでも有吉は「みんながある程度仕事が増えて潤えばいいなっていうのはありますけど」、「変に流行っちゃってね、態度デカくなられても困る」と、彼らの人気を冷静に見つめていることも特徴だ。

「みんなスベることを異常に嫌うけど」

○×を出す基準は、「世間でブレイクするかどうか」ではなく、あくまでも「自分の中で単純におもしろいと思うか、思わないか」で判断しているという。シソンヌやハナコなど賞レースで優勝している芸人たちですら、必死で笑いを取ろうとチャレンジし、しかし無情にも「×」を出されるシーンも見どころのひとつ。そんな “×を出される芸人”について、有吉はこう分析している。

「僕なんかは別にスベってもいいじゃんって思うほうなんですよ。自分自身もほかの芸人の人もスベるぐらいのほうが面白いじゃんって思うんだけど、みんなやっぱスベることを異常に嫌うんですよね」

「またそこが面白いんでしょうね。ああいうチャンピオンクラスの人たちもやっぱりスベることなんてほんとに嫌みたいで。だからたまにスベったときめちゃめちゃ面白いし。ほんとに嫌なんでしょうね」

「僕とか出川(哲朗)さんとか上島(竜兵)さんとかはやっぱりスベってもいいじゃんっていう気持ちでやってるから、また全然違いますね、あの人たちとはね」

『クイック・ジャパン』vol.153より

ただ、実際には「笑い過ぎて、お腹痛くなって疲れちゃう」とも明かしており、撮影現場はとにかく笑いにあふれているようだ。

結婚が報じられたあと、パンサー尾形は「次の壁は機嫌よく〇出してくれそうだ!!!!」(公式ツイッターより)とツイートしたが、その後に収録された放送でもちゃんと×を出されていた。“芸人はスベってナンボ”という精神を伝えるのが、有吉の本当の思いなのかもしれない。

この記事の画像(全1枚)


関連記事

この記事が掲載されているカテゴリ

関連記事

有吉・夏目で5年ぶり『怒り新党』マツコとの深い関係性を雄弁に語る“沈黙”(てれびのスキマ)

マツコが評す、有吉の“分かれ道”は「ビックリマンシール」だった?(てれびのスキマ)

有吉の壁

『有吉の壁』に見る、芸人たちのポテンシャルとMCふたりの存在の大きさ

ケビンス×そいつどいつ

ケビンス×そいつどいつが考える「チョキピース」の最適ツッコミ? 東京はお笑いの全部の要素が混ざる

「VTuberのママになりたい」現代美術家兼イラストレーターとして廣瀬祥子が目指すアートの外に開かれた表現

「VTuberのママになりたい」現代美術家兼イラストレーターの廣瀬祥子が目指すアートの外に開かれた表現

パンプキンポテトフライが初の冠ロケ番組で警察からの逃避行!?谷「AVみたいな設定やん」【『容疑者☆パンプキンポテトフライ』収録密着レポート】

フースーヤ×天才ピアニスト【よしもと漫才劇場10周年企画】

フースーヤ×天才ピアニスト、それぞれのライブの作り方「もうお笑いはええ」「権力誇示」【よしもと漫才劇場10周年企画】

『FNS歌謡祭』で示した“ライブアイドル”としての証明。実力の限界へ挑み続けた先にある、Devil ANTHEM.の現在地

『Quick Japan』vol.180

粗品が「今おもろいことのすべて」を語る『Quick Japan』vol.180表紙ビジュアル解禁!50Pの徹底特集

『Quick Japan』vol.181(2025年12月10日発売)表紙/撮影=ティム・ギャロ

STARGLOW、65ページ総力特集!バックカバー特集はフースーヤ×天才ピアニスト&SPカバーはニジガク【Quick Japan vol.181コンテンツ紹介】