放火、暴動、殺人…北欧ブラックメタルバンドを描いた実録映画『ロード・オブ・カオス』が怖過ぎる

2021.3.21

ノルウェーに実在するバンドに起きた出来事を描き、過激な描写によって映倫より「R18+」に指定された映画『ロード・オブ・カオス』が、3月26日 (金)から公開される。


嘘のような本当の話が立てつづけに起きる

この映画は、ブラック・メタルバンド「MAYHEM」の草創期にバンドの周辺で起きた出来事を、ノンフィクション『ロード・オブ・カオス ブラック・メタルの血塗られた歴史』を原作として描いた音楽ドラマだ。ブラック・メタルは、ヘビーメタルの中でもとりわけエクストリームな音楽性を持ち、超ハイスピードな曲調、金切り声、意図的な低音質などが特徴。また、黒魔術や悪魔崇拝、顔を白や黒で塗りたくる「コープスペイント(死化粧)」など、歌詞や風体まで、極めて独創的なスタイルを追求している。

同作は、MAYHEMのまわりに起きた、にわかには信じ難い猟奇的な出来事を描いたものだ。1980年代、“真のブラック・メタル”を追求するためにMAYHEMを結成したユーロニモス。ボーカルのデッドはライブ中にナイフで自身の身体を切り刻み、観客にその血をかけた上、豚の頭を投げるなどの行為を繰り返す。バンドは熱狂的にブラック・メタル・シーンに受け入れられるが、デッドはショットガンで自分の頭を打ち抜いて自殺する。

それを発見したユーロニモスは、親友の脳が飛び散る遺体の写真を撮り、それをアルバムのジャケット写真に使用。頭蓋骨の欠片を友人に送り、喧伝することでカリスマ化する。レコードショップ「ヘルヴェテ(地獄)」を根城に、“誰が一番邪悪か”を競うインナーサークルを作り、王として君臨。しかし、メンバーのヴァーグが起こした教会放火を契機に、主導権争いは熾烈化し、歯止めが効かなくなった果てに……。映画では、放火、暴動、複数の殺人事件まで引き起こし、社会問題に発展した一連の出来事が描かれている。ちなみにMAYHEMは現在も活動をつづけており、来日公演も実現している。

主人公のユーロニモスは、マコーレー・カルキンの実弟、ロリー・カルキンが演じ、ボーカルのデッドは、ヴァル・キルマーの息子のジャック・キルマーが演じた。監督は、ブラック・メタルの祖「バソリー(Bathory)」の元ドラマーで、ローリング・ストーンズ、マドンナ、ポール・マッカートニー、メタリカなどの MVを手がけてきたジョナス・アカーランドが務めた。

公開を前に、著名人からは、

「ファンには絶対に勧められない。観たら駄目だ。
今でもまだ、ゴムを噛んだ時のようなあの微妙な感じが残ってる。
でも、死ぬ前に思い出すのはこういう映画なのかもしれない。
あー、自分たちが何の変哲もない普通のバンドで良かった!」(クリープハイプ・尾崎世界観)

「この映画を、あまり観て欲しくないという気持ちもありますね。
メタラーは危険だって誤解されるかもしれないから」(マーティー・フリードマン)

「オレは何を観てしまったのか?ワビサビもない、哀愁もない、青春もない。
オレはポーザーで結構。スコーピオンズを聴きます!
なのに、なのにメイヘムを買っちゃったよ!!!バカヤロー!!」(ビビる大木)

「ブラック・メタル、詳しくなくて内容いろいろショッキングでした。
やっぱ、こうして後々、映画になっちゃうような、ファンじゃない人達もそれを観て衝撃受けるようなストーリーがロックには必要不可欠なんだと再確認出来ました。
改めて思いますが、僕らの生まれた国、ひたすら平和ですね」(清春)

といったコメントが寄せられている。また、映画公開に合わせ、原作となった『ロード・オブ・カオス ブラック・メタルの血塗られた歴史』は復刊が決定。タワーレコード新宿店ではパネル展も開催される。


この記事の画像(全1枚)


この記事が掲載されているカテゴリ

CONTRIBUTOR

QJWeb今月の執筆陣

酔いどれ燻し銀コラムが話題

お笑い芸人

薄幸(納言)

「金借り」哲学を説くピン芸人

お笑い芸人

岡野陽一

“ラジオ変態”の女子高生

タレント・女優

奥森皐月

ドイツ公共テレビプロデューサー

翻訳・通訳・よろず物書き業

マライ・メントライン

毎日更新「きのうのテレビ」

テレビっ子ライター

てれびのスキマ

7ORDER/FLATLAND

アーティスト・モデル

森田美勇⼈

ケモノバカ一代

ライター・書評家

豊崎由美

VTuber記事を連載中

道民ライター

たまごまご

ホフディランのボーカルであり、カレーマニア

ミュージシャン

小宮山雄飛

俳優の魅力に迫る「告白的男優論」

ライター、ノベライザー、映画批評家

相田冬二

お笑い・音楽・ドラマの「感想」連載

ブロガー

かんそう

若手コント職人

お笑い芸人

加賀 翔(かが屋)

『キングオブコント2021』ファイナリスト

お笑い芸人

林田洋平(ザ・マミィ)

2023年に解散予定

"楽器を持たないパンクバンド"

セントチヒロ・チッチ(BiSH)

ドラマやバラエティでも活躍する“げんじぶ”メンバー

ボーカルダンスグループ

長野凌大(原因は自分にある。)

「お笑いクイズランド」連載中

お笑い芸人

仲嶺 巧(三日月マンハッタン)

“永遠に中学生”エビ中メンバー

アイドル

中山莉子(私立恵比寿中学)
ふっとう茶☆そそぐ子ちゃん(ランジャタイ国崎和也)
竹中夏海
でか美ちゃん
藤津亮太

QJWebはほぼ毎日更新
新着・人気記事をお知らせします。