スカート澤部渡を形作ったカルチャー【後編】「過去/未来で僕を作るもの」
2020年で活動10周年を迎えた、澤部渡のソロプロジェクト・スカート。今年はアニバーサリーイヤーとして多くのライブやリリースを控えている。
ここでは、メジャー1stアルバムをリリースした当時のインタビューを2回にわたり掲載。後編では「過去に僕を作ったもの」「未来で僕を作るもの」をリストアップ。
清涼感のあるソングライティングながら、どこか影を感じる“不健康ポップバンド”と評され人気を博す彼の、原点に根付くカルチャーを紐解こう。
■前編:スカート澤部渡を形作ったカルチャー|ポップソングの源泉となる10要素
※本記事は、2017年10月24日に発売された『クイック・ジャパン』vol.134掲載の記事を転載したものです。
スカート澤部渡の「過去に僕を作ったもの」
【マンガ】
町田 洋『惑星9の休日』
「シリウス」のジャケットを描いてくれた町田洋さんの単行本。「ワルツがきこえる」の歌詞は(この本に収録されている)「衛星の夜」が下敷きになっています。
木村 紺『神戸在住』
今みたいにマンガを読むようになったきっかけの1冊。本屋で表紙と目が合い購入しました。あの線の感じ、登場人物の感じ、未だに多大な影響を受けています。
小原愼司『菫画報』
その後、タイトル買いを覚えて『二十面相の娘』というマンガを読みはじめたのですが、それが面白かったので過去作も掘り返したら大ハマり。ジェットコースター少女マンガ、という言葉がしっくりきます。
【音楽】
Blossom Dearie『Sings』
1970年代の、ブロッサム・ディアリーのアルバム。ロウ・バジェットならではの録音が心を揺さぶります。
パラダイス・ガラージ『実験の夜、発見の朝』
高校3年生のころ、初めて豊田(道倫)さんのライブを観に行ったとき、このアルバムに入っている「I Love You」という曲でライブがはじまったのがとてもうれしかったです。僕にとってのポップ・スターです。
光GENJI
記憶があるのと同時に光GENJIを聴いていました。同じポニーキャニオンに所属できるのがうれしいです。僕が好きなのは松尾清憲さん作曲「風はオレンジ」、馬飼野康二さん作曲「笑ってよ」、飛鳥涼さん作詞・作曲「いつか、きっと…」のあたり
【場所】
高島平南天堂
長くアルバイトをした地元の書店。よくレジに入った本店は閉店してしまいましたが、高島平団地内にある壱番街店は健在。みんなで行こう!「 さよなら!さよなら!」の歌詞は本店の閉店の知らせを受けてのものです。
ココナッツディスク
中古レコード屋。中学生のころから通う池袋店と、わりと近所の吉祥寺店を主に利用します。ココナッツディスクがなかったらリスナーとしてもミュージシャンとしても今の僕はなかったと思います。ポイントカードがとにかくたまる。
高田書房
ときわ台にある古本屋。レコードも置いてあります。ここも高校のころから行っていて、よく店主と話し込んではオススメを借りたり買ったりしました。最近のいい買い物はThe Young And Freeというグループの『Goin’ Somewhere』というレコード。
イノダコーヒー
京都は早くからスカートを気にしてくれていて、ライブに呼んでくれるのも早かった。遠征の醍醐味はなんといってもおいしいもの! イノダコーヒーでの衝撃はレモンパイと、ボルセナというスパゲッティーでした。
タワーレコード池袋店
中高生のころ「買えるものはなるべく新品で買う」という謎の誠意を見せてて、とにかくお世話になったのが池袋のタワー。学校帰りによく寄りました。試聴機でMaximumJoyを買ったり、yes, mama ok? を初めて取り寄せた引きの強さの上に、今の自分がいるような気がします。
【楽器】
Rickenbacker 360
2002年に限定モデルとして発売されて、当時欲しくてたまらなかったものを2013年に購入。その翌年復刻モデルが発売されました。
YAMAHA FG-180
小学校5年生ぐらいのころに祖父と一緒に行ったフリーマーケットで800円で購入。1970年ぐらいのもの。とにかく鳴る。レコーディングにライブにと、バリバリの現役です。
TASCAM portastudio 414MKII
高校のころに組んでいたバンドで大会に出て、ベストギタリスト賞を受賞。そのときの副賞で得た商品券で中古のカセットMTRを買い、高島平に宅録青年が誕生しました。わりと今でも引っ張り出してドラムの録音とかに使ってます。
【小説】
ボリス・ヴィアン『うたかたの日々』
高校生のころ、yes, mama ok?の金剛地(武志)さんに教えてもらった小説。先日久しぶりに読み返しましたがイマジネーションの飛躍に改めてシビれました。