【第4回】窪塚洋介 「真理」に触れた体験を語る(2003年12月収録)

2020.1.15

取材・文=谷崎テトラ
2004年当時の窪塚 写真提供=アスマキナ


25年を超える『クイック・ジャパン』の歴史の中でも衝撃を呼んだ記事のひとつに数えられる、2003年の師走に行われた窪塚洋介ロングインタビュー。彼がよく発していた「ポジティブ・チューニング」という言葉は話題になり、その思考は議論を呼び多くの若者に影響を与えた。最終回となる今回は、ある霊能力者の導きによってみえたある光が「自分であり、神様であり、宇宙であることをすごく感じた」という神秘体験について語り尽くした。
【第3回】窪塚洋介 世界が変わる仕組み(2003年12月収録)


それはもう永遠にずっとあるもの――神秘体験

――この1、2年の間は、何かの「確信」を得たと聞いたけど、それはいったい何なの? なんかすごい神秘的な体験をしたことが元にあるそうだけど。

窪塚 本当に大きい神秘体験をしてるのは1回か2回。その時につながった感覚が、今の活動のモチベーションになってる。それはもう永遠にずっとあるものですね。

――その話を細かく教えてもらえるかな。

窪塚 02年の4月下旬頃だったんですが、自宅にある霊能力者の人が遊びに来てくれて。その霊能力者の人はブッ飛んでる人で、来た時から雰囲気が違うの。それで「お前宇宙をみたいか」と言われたから、「みたいよ」っつって。「じゃあ瞑想しろ。とりあえずリラックスして、何も考えないで目をつぶれ」と言われたんです。座禅みたいなもんか、と思って目をつぶっていたら、第三の目、額のところに手を置いて「フーフー」とその人が呼吸を始めたんだ。

――それはチベット密教系のシャクティパット(※1)みたいな感じだな。

窪塚 最初は何にも起きなかったんだけど、しばらくしたら、目をつぶってる視界が平面じゃないことに気づいたんですよ。二次元の黒じゃなくて、暗闇。その暗闇に残像みたいな光がパーッと入ってきて。そこにあらわれてくる光を追ってると、それがどんどん明確になってきて。粒子みたいなのがファーッと行ったり来たりしてる。

サイズがもう全然分かんないの。何か光が流れてこんでくる印象というか。縦横無尽に光が走り出したなあと思ったら一瞬ピカッと光ったんですよ。で、暗闇の中で光のピラミッドになった(※2)。そしたら今度、そのピラミッドが回り出したのね。瞑想って、みんなこういうのをみてたのかーみたいな(笑)。ただ精神を集中するとか、もちろんそういう瞑想もあるんだけど。

ほら、坊さんがカーッとなっちゃってる、ああいう人たちのみてたのっていうのはこれなんだと。それからピラミッドが回り出して、ものすごい回転数になってきて、回ってるのか止まってるのかも分かんないぐらいの回転になった時に、ピラミッドがもう1個出てきて立体で合体したんですよ。六亡星の形に。しかも立体バージョン。それがまた回転を始めた。

――ヤバイですねえ。

窪塚 真ん中から光が出てきて、そこに吸い込まれる感じ。光のところに向かってるんだけど、パッと一瞬明るくなったら今度は遠くの方に一本光の縦ラインがみえるんだ。で、そこにスーッと向かっていってる。分かんないんだけど、サイズがバグっちゃっててもうめちゃんこでかい光なの。近づけば近づく程、細い光だったのが開いてくる。

自分がどれだけ遠くにいて、どれだけのスピードで向かってて、その光がどれだけでかいものなのかも分からない。そこに向かっていく途中、もう周りはスター・ウォーズのワープみたいな感じになってた。その光がどんどんでっかくなるんですよ。もう端っこがみえなくなるぐらい、視界が全部光なんだ。そしてその中に入っていったら、そこにはブワーッと銀河が広がってた。

『コンタクト』(※3)っていう映画観たことあります? その中でジョディ・フォスターが「詩人を連れてくるべきだった」と言った赤い銀河があるじゃん? もうあれみたいな感じ。ウワーッと思って目を開けると、その銀河が他にもいっぱいあんの。で、そこにすべての光が集まってきて真っ白の、白すぎて七色みたいな神々しい光になった……。

そこで終わったんだけど、いつのまにかすごい泣いてて。別に悲しいとか嬉しいとかじゃなくて、涙がたくさん出てきてて、心がすごくキレイになった感じがした……何だったんだろう、あれは。それから3カ月間ぐらい、いろいろ不思議な出来事があって、目をつぶった瞬間にいろんなヴィジョンがみえたり、UFOをみたり。

――昔から人類は幻影と戦う理性を持ち合わせていたわけだけど、その自分の体験を客観的に検証してみるとなんだったんだろうね。霊能力者に何かしらの術をかけられたとは思わなかった?

窪塚 俺は昔から、絶対に人の言っていることを鵜呑みにすることができないんです。それはどんな人に対しても同じ。俺にとってはみんな同じテーブルに乗ってる。やっぱりこの人はイキすぎだなとか、実際に力はあってもちょっとバランスが崩れてるなとか、そういうことを思いながら瞑想してたんだけど。ある時から、その時の自分の体験がもう間違いないと思った。というか、単純に全部ガイダンスだから。もし彼が俺を騙すつもりだったとしても、結果的にそれが俺にとって「真理」になっていった。

――つまりその人から受けたことをそのように自分で処理した。

窪塚 そうそう。

――その体験によって、窪塚くんに何が生まれたのかな。

窪塚 その光をみて、それは自分であり、神様であり、宇宙であることをすごく感じたんだよね。「それはなぜ?」と言われても分からないです。問答無用のノーダウトの世界だったから。

――その「真理」って、言葉にすると何だろう。

窪塚 神様と宇宙と愛。何と呼ばれても在るもんは在る。

――神様と宇宙と愛によって結びついてるのかな?

窪塚 イコールじゃないかな? 宇宙=自分=愛=神様。

――すべてのもの、あらゆるものがすべてイコールなんだ。

窪塚 みたものって別に絶対じゃなくて、個人的なものだと思うのね。それは感じることしかできない。でもこの感覚はみんなが共有できるものだと思う。


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