でか美ちゃんが、今世の中で話題になっていること、伝えたいことを、ひとりごとのようにつぶやく本連載。今回は「芸人さんのメンタルヘルス」について。
でか美ちゃんの連載、今月からリニューアル!
連載リニューアル1発目というわけで、どういう書き出しがいいのかの掴めなさ、わからなさ。完全に2学期から転校してきた子の気分ですね。みんな夏休み挟んで仲よくなってるし。夏休み中の話題いっぱい持ち込んでるから、自分への注目も少ないし。
って、転校経験がないのに何を知ったかぶりでしゃべっているのやらという感じですが、あのときのあの子、本当に気まずそうに転校してきたよなぁなんてことを思い出しつつ、今月からリニューアルしました!
今までは『でか美ちゃんのテレビの金言』と題して、テレビから聞こえてきた金言についてあーでもないこーでもないと語り尽くし、時には「わかるわかる、代弁してくれてアリガトネ」なんかの声もいただき、時には「ずっとなんの話してんの?」なんて声もいただいておりました。
今月からはテレビに限らない、より自由度の高い連載になりました。引きつづきテレビは大好きなのでまたそんな話題にもなりそうだけども、とにかく何を書いてもいい連載です。やったね!
とはいえ、人は野放しにされるとただそこに立ち尽くして何もしないものです。少なくとも私はそうです。休みの日だって、ひとりでどこかへ行く計画を立てても結局寝て過ごしてしまうので、友達と約束をしないと実行できないタイプです。
なので、ここはQJWebさんにおんぶに抱っこでいくぞ!と、毎月のテーマは担当編集さんにいただいたり、相談したりしながらやっていくことにしました。ONE TEAM!(古)(カッコ書きのツッコミが古)
自己責任と放任主義で固められた“芸人”という仕事
というわけで今月のテーマは「芸人さんのメンタルヘルスについて考える」です。
リニューアル初回から重!
しかし、日々テレビやラジオや劇場、最近は自己発信ありきなYouTubeやTikTokなんかも増え、こんなに(芸人さんに)楽しませてもらっているのに、ふと「健康ではなさそうなんだよな」と思ってしまうことがあるのです。
病んでる感とか芸風とかそんなんじゃなく。そんなノイズで見られるのも嫌だろうけど。
そしてある日突然、活動休止やコンビ解散、引退。明確な理由を残して去る方もいれば、最後までふざけ切ってくれる方もいたり。
もちろんそのすべてがメンタルヘルスに関わっているわけではないけれど、「if」を想像したときに、ケアできる環境が整っていればあるいは?と、部外者ながら後悔のようなものが押し寄せてくるのです。
相方との不仲も、大きく分ければメンタルヘルスの要素が強いと思います。人間関係の悩みはどうしたって心に負担がかかりますしね。
どんな職業でも多かれ少なかれ不調に陥ることはありますが、「表に立つ仕事をする人」「自己表現をする人」という雑過ぎる括りで見ても、芸人という職業は特に自己責任論や放任主義の中で戦っているように感じます。
私も日々その大きな括りの中で、労働(仕事は大好きだしやりたいことをやっているけど、あえて労働と言ってしまいたい)によってメンタルヘルスの波が冬の日本海くらい荒れてしまうときもあります。
ただやっぱりありがたいことに、その変化に気づいてもらえる環境や、気遣ってくれる人がいる。
私はライブアイドルが多く在籍する事務所に所属していますが、私がアイドルというカテゴリかどうかはさて置き、「アイドルのメンタルヘルス」に関しては良くも悪くも話題にのぼるようになりました。そして、まわりも然るべきケアをすべきだ、という空気に助けられている部分も多々あります。
「アイドルの人間宣言」じゃないけど、生きてたら体も心も疲れちゃうときはあるよね、という“当たり前”がここ数年はきちんと共有されているのです。
さらに、それはそれで気持ち悪い消費だと思いつつ、不調がエモーショナルさにつながるときもあるのです。
ただ、芸人の場合は表現の着地点が「笑いを取る」というシンプルな基本目的である以上、不調がエモーショナルさにつながることはなかなかなく、あったとしても後日談でしか消化できないでしょう。
そして若手芸人のうちは、事務所に所属していても、ひと組にひとりマネージャーがついているケースは稀で、複数の芸人をひとりのマネージャーが担当していることがほとんどです(めっちゃ売れてても専属マネージャーじゃないことも多くてびっくりする……)。
しかも、ほかの芸能関係の仕事と比べて、成人してからプロになる人が圧倒的に多い。
人を笑わせるという目的、マネージャーが抱える業務過多、年齢的には自立した成人であるという事実──。ほとんどの芸人が、ただそこに持っている条件だけを見ても、あまりにも自己責任と放任主義で固められています。
どんなに好きな仕事でも、疲れて当たり前!
実は今一番、幻想を与えてくれているのは芸人だと思うんですよね。アイドルでもミュージシャンでも俳優でもなく、芸人が一番人間っぽく振る舞っておきながら、人間っぽくない気がしていて。
しかも、賞レースやバトルライブなど、年がら年中大小さまざまな戦いと評価が繰り返される。その結果が活力になる日もあれば、苦しめられるときだってある。
そんな顔なんてめったに見せないけど!!!!!! 疲れちゃって当たり前なんですよ!!!!!!!!
でも、好きでお笑いの道を選んだのだから……といってしまえばそれこそ自己責任論の極みなので、そんな意見は今は無視して、とにかく健康でいてほしい。
ただ別に、素直に弱音吐いてほしいわけでもないし(いや、もちろん全然いいんですけど、それを選ばない人が多いでしょう)、各事務所はマネージャーを増やしたまえ!とこんなところで主張しても現実的に無理だろうし、どうすればあんなに楽しませてくれる人たちがより健やかに活動できるのか……。
テレビや劇場、向こう1枚隔てた側からただ見ている者からしたら、活休も解散も引退も突然に思えることが多いけれど、毎日の積み重ねがそこに確実にあるわけですよ。
でも、そんな慮り方は基本的にはされたくないわけです。まずは笑わせたいんだから。以下繰り返し。
芸人界に「心の健康」をもたらすには?
このもどかしさを埋めるには、駆け込める場所ができることが一番早いわけですけど……。メンタルヘルスという風邪や骨折より比較的わかりにくい健康に関することは、どの人にとってもすごくすごく難しいことなんですよね。
だからこそ逆に、そもそもまず体に気を遣う、健康に意識を向けることが、とても単純にメンタルヘルスの向上にもつながっていることが多くて。
そういう意味では、マヂカルラブリー野田(クリスタル)さん発案の「クリスタルジム」って、芸人界にめちゃくちゃ画期的に健康をもたらしてるんじゃないでしょうか。野田さんってすごいな。
夜中までネタ書いて、朝からバイトして、夜は劇場に立って。心身共に使い尽くす日々を美談として消費する、こちら側の姿勢もよくないなと思ったり。それこそ幻想を乗っけ過ぎなんですよね。
「売れてよかったね」はあくまで結果論であることを肝に銘じておきたい。売れた先にも、極端に休みがないことをありがたがらなければいけなかったり……。
アイドル界が少しずつ少しずつ、環境がよくなってきたのと同じように、芸人さんたちの労働環境も、もう少しよくなりますように!
みんな、ネタだけじゃなく自分のことも大事にしてほしいですね。あと、やっぱりマネージャーも増えてほしい。
そしてできるだけ、健やかに長く活動してくださると、とてもとてもうれしいです……。
これを読んでいるあなたも、もうこの文章も終わりますから、一回お茶でも飲んでぼーっとしてくださいね。私も書き終わったらお茶飲んでぼーっとします。
ほんと健康が一番ですよ。最近しみじみそう感じております。
では、急須の茶葉が開いたので、このへんで。
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