でか美ちゃんも号泣。蛙亭イワクラの「人生に影響を与えた人」との出会い

でか美ちゃん

文=でか美ちゃん 編集=高橋千里


でか美ちゃんが「テレビから聞こえてきた金言」について考える連載、第7回。今回は『蛙亭のかえる天国』(RSK山陽放送)より。


「でか美ちゃん」「KAƵMA」……世の中にはいろんな改名がある

いきなり私事で恐縮だが、「ぱいぱいでか美」から「でか美ちゃん」に改名してからの約1カ月、さまざまな反響をいただいた。

先日、しずるの池田一真さんも「KAƵMA」に改名。

妙に仲間意識を持ってしまうが、KAƵMAさんの情報解禁芸のあまりのおもしろさに、ドカンと記者会見を開いて改名発表をした自分に気恥ずかしさすら感じてしまう。世の中にはいろんな人がいて、いろんな改名がある。

しかし、何度見てもどういう文字なんだよ。ユーザー辞書登録用にもう一度KAƵMAを置いておきます。私のこともついでに辞書登録してください。

KAƵMA
でか美ちゃん

改名発表の際、ありがたいことにたくさんの応援のお言葉をいただいた。その中のひとつに「これで三重県のお仕事がきますように!」というメッセージがあった。三重県は私の地元だ。

前の芸名では、自治体が少しでも関わっていれば仕事が来ることはやはりなかなか難しく、観光大使なんて冗談半分に口にすることはあっても夢のまた夢かな、と考えていた。しかし、改名した今は名前という言い訳もきかない。ここからはただの自分の努力不足である。

気を引き締めて、今年は本気で地元のお仕事をさせていただきたい所存です! でか美ちゃん、やる気だけは満々!

こーんーにーちはー! 三重県っ!の皆さん♪
(三重県民のみがメロディつきで読める暗号のような文章です)

こんな夢を抱いているのはもちろん私だけではないだろう。地元を離れ都会で戦う者たちは皆、故郷に錦を飾りたい、そんな想いがあるものだ。たぶん。

「スゲェびっくりしました」

というわけで今回は、記念すべき初冠番組が地元で始まったあの方々のバラエティから。

RSK山陽放送で始まった『蛙亭のかえる天国』は、蛙亭にとって初の冠番組。

蛙亭のふたりが岡山で出会う魅力的な人たちを「蛙人間」に認定しながら街を探索していく。蛙人間で岡山をいっぱいにしよう!という番組趣旨だ。なんともほっこり。たまらない地元感。

冒頭から「今回のキャスティングは僕が岡山出身だから決まったのだ」と胸を張って主張する中野さんに、「初めて中野さんに感謝してます」とやや棘を持ちながらも素直なイワクラさん。

にこやかな雰囲気なのも束の間「立場は理解してるようじゃない」と言う中野さんのひと言に「ヴォアア」と声にならない声で答えるイワクラさん。もうこのオープニングの時点で、番組への期待が高まる。

蛙亭
蛙亭インタビューより(撮影=小野奈那子)

しかし今回の金言は、そんな地元で錦を飾る中野さんではなく、イワクラさんから飛び出した。

「自分が存在してたので、(ひとりの人間に)ちょっとでも影響を与えていたっていうのは、スゲェびっくりしました」

番組終盤、RSKのアナウンサー・中屋藍さんとようやく合流。なぜか挙動のおかしい中屋アナにほんの少し違和感を覚える。いわゆる世間的なイメージの中にあるアナウンサーらしさがあまり感じられないというか……。

それもそのはず、中屋アナは大阪時代から劇場に通っていた蛙亭の大ファン。アナウンサー試験に落ちつづけていたころも、イワクラさんからもらった言葉に励まされ、夢を諦めずにここまで来られたのだ。好き過ぎてやや挙動不審になってただけ……ガチ過ぎる。

そして涙を流しながら蛙亭への手紙を読む様に、思わずもらい泣き。何かのファンをしたことがある人、そしてその対象に人生を励まされたことのある人なら誰しもが感情移入してしまう瞬間だった。

あまりにもまっすぐな手紙に、イワクラさんもうまく言葉が出てこない。

「や、ちょっと、きます……ふぅー」

と、涙を堪えるようなリアクションを取ったあとに絞り出た言葉が、先の金言だ。

人生に関わるほどの影響を与えた人と、与えられた人

大変おこがましいのだが、ちょっと共感してしまった。好きなこと・やりたいことを自由にやって、なりたかった職業に就けて、それだけでありがた過ぎる、貴重で豊かな人生なのに。

自分が表現したものに賛同してくれて、好きになってくれて、誰かの人生に関わるような影響を、知らず知らずのうちに与えていただなんて。

蛙亭
蛙亭インタビューより(撮影=小野奈那子)

イワクラさんの「スゲェびっくり」という感想に、謙虚な人だなー、イワクラさんなんだから当たり前じゃん!と最初は思ってしまったけど、確かに私自身も同じようなことが起きると、いつもスゲェびっくりしていたのだ。

私の場合は、そういう視線を向けられたとき「そんなに立派な人間じゃないよ」とも思ってしまうし、そう言ってくれることで逆にこちらの背筋が伸びたりもする。それってものすごい相互作用だと思いませんか。

自分の機嫌は自分で取れだとか、自業自得だとか、とにかく最近の世間は自己責任論があまりにも強まっている。ここまで文化が発展した世界でせっかく人間として産まれ落ちたのに、何が弱肉強食じゃい、とさまざまなニュースとそれにまつわる世論を見るたびに怒り、悲しみに暮れてしまう。

だからこそ、生き抜いた先に、影響を与えた人と与えられた人が出会い、互いの言葉に励まされることは美しい。他人と他人が、独立した人生のまま交差していくことがどれほど尊いことか。

人という字は支え合ってできています、なんて言葉もあるが、そうじゃなくて「X」のように重なった瞬間に人は人として立つことができるのだと思う。

『蛙亭のかえる天国』が末永くつづきますように!

これから3人で番組をやっていくことを改めて確認したあとのイワクラさんの反応も最高だった。いやあ、あんなことされたら一生好きって誓っちゃうよな。

イワクラさん、罪な人です。

蛙亭
蛙亭インタビューより(撮影=小野奈那子)

そして自分の地元で始まった番組なのに、一歩引いて見守っていた中野さんも素敵でした。そのあとのコメントでめちゃくちゃ笑ってしまいましたが!

イワクラさんと中屋アナのエピソードは、具体的に聞けば聞くだけ泣けてきちゃうので、ぜひ皆さんもTVerでご確認ください。1月26日のお昼までは観られます。

最後の最後に一瞬流れるエンディングもかなりグッとくるので、お見逃しなきよう。

初回ということで、中野さんの母校に行き、在校生と絡んだり、恩師が待っていてくれたり、失恋の思い出があったり。

今回取り上げた部分に至るまでも、ゆるやかながらに蛙亭らしいロケっぷりが楽しく、また好きな番組が増えた。

岡山県民が全員「蛙人間」になるくらい、末永くつづきますように!

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