芸歴37年、井森美幸が『あちこちオードリー』で語った「報われなさとの向き合い方」(でか美ちゃん)

文=でか美ちゃん 編集=菅原史稀


でか美ちゃんが「テレビから聞こえてきた金言」について考える連載、第13回。今回は『あちこちオードリー』(テレビ東京)出演時、井森美幸が放った金言をご紹介。


夏の雨に思う、“やり切ること”と“つづける”こと

梅雨明け宣言に「今年の梅雨短ぇー!」と喜んだのも束の間、「梅雨前線復活」というこの世で一番応援したくない復活が発表された。適切な降水量がないと困る地域、困る職業、困る生物がいるからまぁいいかと思いたい。短過ぎてもね……! 

かく言う私も、雨に対して面倒臭いなとは思うけど嫌いではない。

なぜなら雨は時に演出になるから。私の生涯の推しメンは、梅雨の時期に野外ライブで卒業していった。開演前に無事雨がやんだことも、雨上がり特有のピンクな夕焼けのなか歌っていた姿も、すべてが美しくて演出としか思えなかった!

この一件以来、雨を毛嫌いするのはやめよー!と、ヲタクは単純なので考えを改めたのだった。

とまぁこんな感じで夏は雨が降って雨がやむだけで、きっぱりとアイドルをやり切りそして芸能界からも卒業して行った推しメンのことを想ってしまう。当然、愛おしいかわいい大好きの気持ちがめちゃくちゃ大きいのだが、時に推しメンと自分の人生を重ねて物思いに耽ることもある。

同じ業界の端っこに残った側としては、自分はあんなふうに美しい卒業はできないだろうなぁ、と。だったら、なるべく長くこの仕事をつづけることで自分なりの美しさを形成できたらいいかなぁ、なんて考えるようになった。しかし長くつづけるということもまた、潔く辞めるのと同じくらい難しいことなんだろう。

『あちこちオードリー』であふれ出る、井森美幸の本音や苦悩とは?

毎週水曜に放送されている『あちこちオードリー』(テレビ東京)に、タレントの井森美幸さんが出演されていた。

テレビにいて当たり前のような存在の井森さんだが、番組冒頭で若林(正恭)さんからも指摘されていたように、トーク番組にゲストで出演しているのはなんだか珍しい。しかも『あちこちオードリー』は事前アンケートや打ち合わせがなく、あくまでオードリーとゲストがフリートークを楽しむ番組だ。それゆえに、本音や苦悩がポロリとあふれる。むしろこぼしていくスタンスで来ているゲストも多いと思う。というか、昨今の裏を見せるおもしろさや、本音を聞ける特別さを作り上げた最初の番組と言っても過言ではないだろう。


「報われなさとの向き合い方」に感動

そんな番組に井森さんが出ている! ほんっとに珍しい!

いつも以上に食い入るように観て正解。どれをピックアップするか迷うくらい、金言だらけの1時間弱だった。その中でも、特に心に残ったものを紹介しよう。

「あの日のがんばりは、ここには(スタッフには)焼きついてる」

収録であれだけやったのに放送には乗らなかったこととどう向き合うか?という、これぞ『あちこちオードリー 』な話題のときに聞こえた金言。この議題は少し言い換えれば、どんな場面にも共通して起きることだと思う。あれだけ現場でがんばったのに、会社には認めてもらえなかった。支えてきたのは私なのに、ほかの人のほうがうまく立ち回ってしまった。

報われなさとの向き合い方に、人間はどれだけ悩んできているのだろうか。

でも、きっと誰かが自分のがんばりを見てくれている。こんなありふれた言葉も、この道37年の井森さんが言うと重みが違って聞こえる。

そしてその積み重ねた37年をあっけらかんと「寝て起きて寝て起きて、繰り返したらなるよ」と笑い飛ばす井森さん。やばい! この数十分で井森さんがめちゃくちゃ輝いて見える。いや前から輝いてますけど。なんというか、もっと親しみやすい存在として見ちゃってたから……今はすっごいかっけーと思っちゃう……。

自分ががんばったことは、自分が知っている

井森さんのこの金言、「ここ」と発言したところはテロップで「スタッフ」と補足されていた。もちろん第一に、スタッフという意味合いだろう。実際にそのがんばりを見ていた人が改めて別の機会に評価してくれることがある、という話でもある。しかし勝手な解釈が過ぎるのだが、井森さんの「ここ」にはスタッフ以外の意味もあるように思えた。

それはほかでもない自分なんだと思う。自分ががんばったことは、自分が知っているじゃないと「焼きつく」なんて表現出てこないのではないか。37年間いろんな場所に、自分自身に、井森美幸を焼きつけてきた井森さん……かっこいい! かっこよ過ぎるよ!

前述したように、つづけることについてぼんやりと考えがちな自分には驚くほど響いたし、きっと今の自分が欲しかった言葉だったんだろう。井森さんが考えていることをもっと知りたいなと思わされた番組終盤、締めにふさわしい質問を若林さんが投げかける。この回答がもう、一瞬で親しみやすい井森さんに戻ってしまうさすがとしか言えない返しでめちゃくちゃ笑ってしまった。さっきまで井森さんかっけー!と目を潤ませていた自分をゲラゲラと笑うだけのお茶の間に座らせる。これが井森さんのすごいところだよなぁ。

そんな井森さんの人間力満載のお話はもちろん、初めてものまね番組に出演した際のエピソードもちょっと引くくらいおもしろかったので、見逃した方は是非観てください。井森さんの不思議なナイトルーティンまで知れちゃいましたからね。誰しもに当てはまる悩みに響く言葉をくれる一般的な感覚を持ち合わせる一方で、やっぱ37年やっていける人ってめちゃくちゃ変なのかなとも思わされました(笑)。

同じくゲストのインディアンスのおふたりが抱える問題も、まことしやかにバレ始めているきむさんの異常性と田淵(章裕)さんの常識人っぷりもおもしろかった!

このコラムも、いったいどこで誰が読んでくれているのか具体的に知れることはなかなかないけれど、QJWebのスタッフには焼き付いてる!と信じて、そして何より自分が書いてて楽しいので2年目もよろしくお願いします!

あ、さり気なく2年目に突入しました。ありがとうございます!

2年目も、テレビ大好き!

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