ネットに満ちる「匿名の悪意」。眞子さま結婚への批判コメントで感じた、誹謗中傷の恐ろしさ(僕のマリ)

2021.12.22
僕のマリ

文=僕のマリ 編集=高橋千里


10代のころから、インターネットに慣れ親しんできた。

中学生になって携帯電話を持つようになると、個人のホームページを作って、日記やリアルタイムのつぶやき機能を使って自己表現した。自分の趣味や特技、好きなものを書き込んで交流するのは楽しく、皆が夢中になっていた。たいていは同じ学校の人とつながっていたが、まれに他校の人ともつながることがある。自分の世界が広がっていく感じがとてもわくわくして楽しかったのを覚えている。

基本的には楽しんで使っていたが、ネットに悪口を書き込まれたりして対人トラブルになることもたびたびあった。個人のページに匿名で悪質な書き込みをされて、かなり落ち込んだこともある。容姿のことを揶揄されている友人もいた。

「学校に行きたくない」と休んでしまうほど落ち込んでいて、しかし犯人を特定することもできず、ただ傷ついていた。匿名の悪口の中には直接言われるよりきついと思うものもあって、多感な時期にはとにかく堪えた。

しかし心のどこかで、まだ未熟な年齢だからそういう書き込みをしてしまうのだ、と思って過ごしていた節はある。大人になればきっとそんなことをしている人はいないし、無闇に攻撃されることもないのだと信じていた。


SNSで散見される「悪意のあるコメント」の気味悪さ

大人になってから、SNSといえばインスタグラム、ツイッター、フェイスブックが一般的になった。わたしも友人知人とのつながりや、情報収集のためにツイッターを使い始めた。基本的にやりとりするのは知っている人ばかりだったので、危機感などはほとんどなく、平穏につづけていた。投稿するのも何気ない内容ばかりで、特にトラブルなどもない。

しかし、ほかの人のつぶやきを眺めていると、爆発的に広まった投稿=バズった投稿には、自分がフォローしていない人からのリプライもついており、投稿した人への悪意のあるコメントも散見された。見ず知らずの人に画面越しに悪意をぶつける人がいることに驚きを隠せなかった。

学生時代、同級生のコミュニティに悪口を見つけたときとは違う気味の悪さがある。所詮は見ず知らずの人の妄言に過ぎない、とはわかっていても、見てしまった以上はあと味の悪さが残る。

※画像はイメージです

何年か前に自分のつぶやきがバズったとき、なんてことない内容だったのにもかかわらず、やはり知らない人から攻撃的なリプライが届いた。いろんな人がいるものだと思いつつ、そっとブロックしてもう絡まれないようにした。

現在のツイッターの機能には、投稿に対し「自分がフォローしていない人以外はリプライできない」というものがあり、とおりすがりの人に攻撃されないように自衛できる。安全に楽しむために必要な機能だと感じた。

ニュースサイトで目にした、自分への誹謗中傷コメント

執筆活動を始めてから、自分の書いたものを発表して評価してもらうことに、いつも緊張していた。さまざまな意見があり、温かい応援コメントもあるが、批判的なものももちろんある。

文章を書いている以上、発信する者として批判を受け入れる覚悟はできていたが、作品の批判を超えて著者の人格を否定するような文面も見ることがある。そこまで書かれてしまうと、正直ぎょっとする。厳しい意見を受け入れることはできるが、誹謗中傷に耐える気はない。

以前、執筆したコラムがニュースサイトに転載されたとき、かなりの数のコメントがついたことがあった。そのとき取り上げた事件に関する内容が多かったが、書き手のわたしを揶揄したり中傷したりする書き込みもあった。顔も本名も公表していないとはいえ、画面の向こうにいるのは生身の人間だ。心ない言葉に傷つき、それ以来自分の記事が転載されたニュースサイトは見ていない。

ほかのニュースを調べるときにサイトを開くこともあるが、コメント欄は気分が悪くなるので見ないことにした。悪質なコメントをする人が、何をもって「攻撃していい」と考えるのかは想像し難いが、ネットリテラシーの低い人間がこの世にはごまんといるのが現実だ。


眞子さまの結婚報道、Yahoo!ニュースのコメント欄が非表示に

ニュースサイトといえば、今年10月に秋篠宮家の長女・眞子さまと、同級生の小室圭さんの婚姻届提出に関する記者会見に際してのニュースを発表した際、Yahoo!ニュースの違反コメントが基準を超え、コメント欄が非表示になった。「【速報】眞子さまと小室圭さんの結婚会見 質疑応答をとりやめ 宮内庁」という見出しの記事で、約2時間あまりでコメント数が1万4000を超える事態になったという。

Yahoo!ニュースでは、人工知能が誹謗中傷のコメントを判断して、自動的に非表示にする。眞子さまの結婚が人々の興味を駆り立てたとして、ネットに好き勝手書いてしまう神経の人たちがとにかく恐ろしい。

どこまでも追い回す週刊誌もそうだ。その結婚が物議を醸したにしても、そんな文句は友人とのおしゃべりで言えばいいのではないだろうか。どんなかたちであれ、悪質な書き込みをされたほうは一生心に傷が残る。

眞子さまのお父様である秋篠宮さまは、11月のお誕生日会見で「娘の複雑性PTSDになったのがおそらく週刊誌、ネット両方の記事にあるのだろうとは思いますけれども……」と気持ちを露わにした。他人の悪意は、当事者のみならずその家族の心にも暗い影を落とす。

こんな当たり前のことを書かなければいけないほど、ネットには匿名の悪意が満ちている。眞子さまが心穏やかな日々を過ごせるのを願うと同時に、誰もが自分の書き込みを見直してみるべきだと考える。

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僕のマリ

(ぼくのまり)1992年生まれ、物書き。犬が好き。2018年、短編集『いかれた慕情』を発表。ネットプリントで印刷できるエッセイをたまに書いている。