ゲーム好き放送作家が観た「Nintendo Direct」、ふたつのサプライズ

2021.10.4


サプライズ2 “ロクヨン”と“セーガー”

「Nintendo Switch Onlineでゲームボーイが遊べるようになる」
少し前にSNSをザワつかせた噂。
しかし、今回のニンダイで発表されたのはゲームボーイではなく「NINTENDO64」というサプライズ!
そっちのほうかい! いや、うれしいけど!

Nintendo Switch Online
「Nintendo Direct」で発表された、「Nintendo Switch Online」の新情報

スーパーファミコンに次ぐ任天堂の据え置きハードとして発売された「NINTENDO64」。64の読みは“ろくじゅうよん”だが、通称は「ロクヨン」。
当時、日本市場においてPlayStationが存在感を増していくなか、ゲーマーたちに衝撃を与えたのが、ロクヨンのソフト『ゼルダの伝説 時のオカリナ』。ゲームサウンドの革命児が『アクトレイザー』なら、この『時のオカリナ』は間違いなく3Dアクションゲームのエポックメイキングな作品である。
特に私はローンチタイトルだった『スーパーマリオ64』よりも先に『時のオカリナ』をプレイしたため、ハイラル高原に出たときのどこまでもつづく3D空間に、新しい時代の幕開けを鳥肌が立つほど感じたのを今でも鮮明に覚えている。

対象物を注視しながらアクションができる“Z注目システム”をはじめ、現在の3Dアクションの原点となっている画期的なシステムの数々。解けそうで解けない、けれども夜、布団の中で「あ、あそこわかった!」と突然ひらめいたりする絶妙なバランスのナゾ解き。水の神殿に代表されるときに恐ろしい難度とそれを越えたときの達成感。語り出せばキリがない『時のオカリナ』の魅力だが、個人的に忘れられないのが風車小屋の“ぐるぐるおじさん”だ。
『時のオカリナ』で時々垣間見られるホラーテイストを象徴するようなシーンで、ぐるぐると歯車が回る風車小屋でおじさんが何やら怒りながら蓄音機を回しつづけている。
そこで流れている、シンプルなのにクセになるゲーム界の魔曲“嵐の歌”と相まって、なんだか不気味なあのワンシーンがメロディと共に、今でも頭にこびりついているのだ。
そうそう、“嵐の歌”と検索すると国民的アイドルグループの曲がたくさん出てしまうので、調べる際は「風車小屋」で検索しよう。

「ロクヨン」のゲームといえば、もうひとつ私の中でハズせないのが『スターフォックス64』。“世界一売れたシューティングゲーム”としてギネス世界記録にも登録されている。
シューティングが苦手な私だが『スターフォックス64』は、何周したかわからないほどコントローラーを握った。
3D空間の奥行あるステージで繰り広げられる空中戦。そこに主人公・フォックスをはじめとする4人の“やとわれ遊撃隊”の会話劇が展開され、臨場感がグッと高まる。本当に自機・アーウィンに搭乗して命がけの戦いに赴いている感覚に陥るのだ。短いセリフのやりとりなのだが、それぞれのキャラが個性豊かで、時に笑わされたり、時に感情を大きく揺さぶられたり。そうした人間ドラマも魅力なのである。まぁ、主人公は人間じゃなくて動物なんだけれども。
余談だが、キツネ姿のフォックスは、のちのシリーズも主役として、さらには『スマブラ(スマッシュブラザーズ)』にも参戦しているが、作品ごとに微妙に違う性格設定のうち、この『スターフォックス64』のフォックスが自分的にはもっともお気に入りである。

さらに! サプライズは「ロクヨン」だけに留まらず。
なんと「♪セーガー」の起動音でおなじみ「メガドライブ」もNintendo Switch Onlineで遊び放題に!
かつて、Wiiなどのハードで「バーチャルコンソール」として遊べるようになっていたレトロゲームも、最近では「ナムコットコレクション」など自社ブランドで展開するケースが増え、Nintendo Switch Onlineで遊べる懐かしいゲームのラインナップの今後に、個人的に注目していたところへ、まさかの「ハードまるごと」参戦。
しかも、いきなり名作14本をラインナップ。個人的な推しは、「戦斧」の戦をゴールドと読ませるパワープレイでおなじみ『ゴールデンアックス』。やられたときの「アー!」という断末魔SEや、主人公のひとりで年齢150歳というおじいさんの風貌の“ギリウス=サンダーヘッド”が、ほか主人公との立ち位置的にも、ビジュアル的にも「魔法メイン」と思いきや……若者を差し置いて誰よりもパワー系だった、というギャップなど、ならではの魅力が盛りだくさん。
サービスが始まったらゲームスタート直後、うっかり誰もいない荒野に魔法を繰り出してしまうゴールデンアックスあるあるを久しぶりに体験してみたいと思う。

そんな「ロクヨン」や「メガドラ」のソフトは、もちろん当時のゲーム機でも遊べるものばかりだ。一切のリメイクもない。しかしながら、Nintendo Switch Onlineならではの機能として「巻き戻し」と「ネット対戦」がある。当時クリアできなかった場面を、何度も「巻き戻し」てトライすることで、何十年ぶりかに難所を突破できるかもしれないし、私みたいな対戦相手に恵まれなかった学生時代を送った人間にとって遠く離れたプレイヤーと一緒に「ネット対戦」できるのも大きな魅力だ。

ほかにも注目ソフトが目白押しだった今回の「ニンダイ」。
まだ観ていない人はぜひ、チェックしてみてほしい。


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岐部昌幸

(きべ・まさゆき)1977年10月9日生まれ。群馬県太田市出身。放送作家としてバラエティ番組をはじめ、『ゲームセンターCX』『勇者ああああ』『よゐこのマイクラでサバイバル生活』などのゲーム番組や、ゲーム原作のアニメ脚本などを手がける。

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