新連載「納言・薄幸の酔いどれコラム」目標だった仕事に、2メートルジャンプで喜ぶ相方を見て

納言

お笑い芸人・納言の“じゃある方”薄幸(すすき・みゆき)。これまでQJWeb「クイックジャーナル」にて月1回、燻し銀のようなコラムを執筆してきたが、今回からタイトルを「納言・薄幸の酔いどれコラム」とし、リニューアル新連載。

ラジオ仕事が目標だった“じゃない方”の相方・安部紀克(あべ・よしかつ)だが、ついに冠ラジオ『納言の耳ごろし』(文化放送)が2021年4月に始まった。

記念すべき第1回は、幸が安部を俯瞰で見て感じた、“目標に取り憑かれ過ぎた異常な興奮姿”を語る。そして、相方の「ラジオがやりたい」という明確な目標を通して、今の自分の目標について考えた。

納言
相方・安部紀克(左)と薄幸(右)

ラジオへの憧れが強過ぎて“変”になっている相方・安部

“自分達のラジオをやるのが目標だ”

そう話す芸人が数多く存在する。私の相方も例に漏れず、コンビ結成した時からずっと「僕はラジオがやりたいんだ」と、駄々をこねていた。

私はその発言を聞きながら「な~に言ってんだよ! お前はアレだろ? ラジオに憧れてるんじゃなくてよ、ラジオをやりたいって言っている芸人に憧れてるんだろ? 何かカッケェもんな? ほんっと馬鹿言ってるよ!」

そう思っていた。

しかし、今年3月。

『ナニモノ!』(文化放送)という二週間ごとにパーソナリティが変わるラジオに、私達がパーソナリティとして出演させてもらえることになった。もちろん私もありがたい話だなとは思ったが、そこまでラジオに憧れているわけではないので他の仕事と同じくらいの感謝具合だった。

一方相方は「わーい! わーい! やったー! やったー!」って、言っていた。両手を上げ下げしながら、2メートルはジャンプしていたかと思う。こんなに喜んでいる人間を見たのは、3歳になる友達の娘に、本物の水が出る洗濯機のおもちゃをプレゼントした時以来だった。

アイツは、本当にラジオをやりたかった様だ。

目標がある・具体的なやりたい仕事がある、というのはとてもいいことだと思う。ただ、私の相方の場合はラジオに対する憧れが強過ぎて、とても変になってしまう。表現するのが難しいのだけど、ラジオのモノマネをするのだ。

よく、ラジオだけ普段と違うキャラクターで話す人がいる。例えば、アルコ&ピースさんのラジオなんかでは、酒井さんがめちゃくちゃ毒づくのだ。他では聴けない酒井さんはレア感があって、聴いていてすごく楽しい。恐らく私の相方も、そんなんをやりたいのだろう。見当違いな毒を、無理矢理吐くのだ。

『ナニモノ!』の初回収録の際、リスナーから「童貞とやさぐれ女のラジオとても楽しみにしています」という、うれしい応援メールが届いた。これを読んだ相方は「童貞とか言うんじゃねーよ!! こんなメールなら送って来んじゃねえよ!!」と、郵便ポストになっちゃうくらい、顔を真っ赤にして怒り散らかしていた。

無理無理。そんなに怒る様なこと書いてないじゃない。多少の共感がない毒づきは、ただのすごく悪い奴だよ。それは毒じゃない。当たり屋だ。

使うことのない安部の“インテリア赤ボールペン”

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