Netflixの“+1”最右翼がディズニープラスである理由とは?群雄割拠の動画配信サービスを読み解く

2021.2.23

全米の学校で教材にも採用

ディズニープラスには大人も要注目というコンテンツが多い。『ハミルトン』は演劇界の権威、第70回トニー賞で史上最多ノミネーションを獲得し、11部門で受賞した傑作演劇を収録。アメリカ合衆国建国の父のひとり、アレクサンダー・ハミルトンを主人公にした物語とあってなんと全米中の学校で教材となり、ここにもディズニープラス独自の路線を感じる。

Hamilton | Official Trailer | Disney+

ちなみにディズニープラスは「ナショナル ジオグラフィック」のドキュメンタリーも充実しており、これらもコロナ禍で学校に行けない子供たちにとって格好の教材になり得る。

ナショジオ観るならディズニープラス!

オリジナルのドキュメンタリーシリーズもあり、『マーベル616』はマーベル・コミックと社会の関係に迫るが、これの第6話(以前は第1話だったはずだが)「日本版スパイダーマン」は、これだけでも多くの日本人に観てほしい感動的なドキュメンタリーだ。

Marvel’s 616 | Official Trailer | Disney+

アニメーションとシリーズ作品というディズニーの強み

これは偶然が重なっただけだろうが、映画会社としてのディズニー自体、コロナ禍のような非常事態に強いという一面がある。まずアニメーション自体、リモートワークで作品作りがしやすい。さらに実写映画においても、2016年の『ジャングル・ブック』のように俳優以外はほとんどCGという作品にも挑んでおり、実写パートにおいてスタッフを減らすことが可能だ(ただしVFXのスタッフは通常の実写映画以上に多そうだが)。何より、シリーズ化が可能なヒット作が多いのがディズニーの強みである。

ジャングル・ブック (吹替版)

改善されるべき点がないわけではない。ディズニーが脱アニメーションを目論んで1980~90年代に力を入れた実写映画の数々や、20世紀フォックスの過去のライブラリーをもっと配信ラインナップに加えてほしいと願う。確かに、中にはファミリー向けと呼びがたい作品もあるが、もう少し料金が上がってもそれらを観たい大人のユーザーは多いはず。

いや、もうひょっとしたら、そうした“ディズニープラスプラス”の構想があるかもしれない。何はともあれ、表面からは見て取れない伸びしろが実は多いディズニープラス。サービス名についた1文字、“+(プラス)”は、ディズニーの未来を象徴しているのかもしれない。

(c)2021 Disney and its related entities

この記事の画像(全6枚)




関連記事

この記事が掲載されているカテゴリ

関連記事

『ミセス・アメリカ』『ワンダヴィジョン』…コロナ禍でも日本上陸!2021年の海外ドラマ注目作

Netflixオリジナルシリーズ『アンという名の少女』シーズン1~3独占配信中

ここで終わりなんてあり得ない『アンという名の少女』最終回の衝撃からまだ立ち直れない

『梨泰院クラス』『愛の不時着』に見た、何がなんでも楽しませるという韓国エンタメの真骨頂

ケビンス×そいつどいつ

ケビンス×そいつどいつが考える「チョキピース」の最適ツッコミ? 東京はお笑いの全部の要素が混ざる

「VTuberのママになりたい」現代美術家兼イラストレーターとして廣瀬祥子が目指すアートの外に開かれた表現

「VTuberのママになりたい」現代美術家兼イラストレーターの廣瀬祥子が目指すアートの外に開かれた表現

パンプキンポテトフライが初の冠ロケ番組で警察からの逃避行!?谷「AVみたいな設定やん」【『容疑者☆パンプキンポテトフライ』収録密着レポート】

フースーヤ×天才ピアニスト【よしもと漫才劇場10周年企画】

フースーヤ×天才ピアニスト、それぞれのライブの作り方「もうお笑いはええ」「権力誇示」【よしもと漫才劇場10周年企画】

『FNS歌謡祭』で示した“ライブアイドル”としての証明。実力の限界へ挑み続けた先にある、Devil ANTHEM.の現在地

『Quick Japan』vol.180

粗品が「今おもろいことのすべて」を語る『Quick Japan』vol.180表紙ビジュアル解禁!50Pの徹底特集

『Quick Japan』vol.181(2025年12月10日発売)表紙/撮影=ティム・ギャロ

STARGLOW、65ページ総力特集!バックカバー特集はフースーヤ×天才ピアニスト&SPカバーはニジガク【Quick Japan vol.181コンテンツ紹介】