「現実」の風圧に立ち向かう、新型コロナ時代の演芸

2021.1.14
2020年ベスト_演芸_和田尚久

文=和田尚久 編集=前田和彦


いまだ全世界に猛威をふるう新型コロナウイルスは、現在もあらゆる分野に大きな影響を及ぼし続けている。そんなコロナ後の世界が始まった昨年、2020年の演芸界で特筆すべき話題とは? 2020年12月の視点で、放送作家・文筆家の和田尚久が回顧する。


新型コロナの流行に対峙した、2020年の演芸界

昨年、最初の緊急事態宣言の解除を受けて、都内にある寄席のひとつ、浅草演芸ホールは収容人数50%までの定員数で営業を再開した。また新宿末廣亭は秋から100%の収容人数に戻し、10月には新真打披露興行も実施。

その末廣亭から歩いて5分ほどの場所にある吉本興業の「ルミネtheよしもと」は客席を「80%以下の使用」に制限し、前2列は潰す、という「よしもと」らしい現実的な刻み方で観客を迎え入れた。

ことほど左様に、演芸の世界は新型コロナの影響をもろに受け、かつ、対応もケース・バイ・ケースという混乱がつづいています。

かつて川柳川柳という噺家が「歌は世につれ、世は歌につれ……なんてことを言うけど、世の中が歌につられるなんてことはない。現実のほうが圧倒的に強いよ」なんてことを言っていましたが、マッカーサーが帰国して以降、昨年くらい演芸の世界が「現実」の風圧を受けたことはないでしょう。

そんななか、昨年2020年に演芸の世界にはどんなことが起きたのか。順不同で振り返ってみたいと思います。

<2020年>
・神田伯山の活躍
・寄席の逆襲
・高田文夫の回転数
・女性芸人の時代
・最後の名人、野村萬

神田松之丞から神田伯山へ 新たな時代の始まり


この記事の画像(全3枚)


この記事が掲載されているカテゴリ

和田尚久

Written by

和田尚久

(わだ・なおひさ) 1971年、東京都台東区生まれ。放送作家。担当番組に「立川談志最後のラジオ」(QR)、「談志の遺言」(TBS)、「友近の東京八景」(NHK)、ラジオドラマ「流氷の秘密」(QR)、「ゴーストライター」(QR)、など。コントの台本なども手がける。著書『芸と噺と』(扶桑社)、『落語の聴..

CONTRIBUTOR

QJWeb今月の執筆陣

酔いどれ燻し銀コラムが話題

お笑い芸人

薄幸(納言)

「金借り」哲学を説くピン芸人

お笑い芸人

岡野陽一

“ラジオ変態”の女子高生

タレント・女優

奥森皐月

ドイツ公共テレビプロデューサー

翻訳・通訳・よろず物書き業

マライ・メントライン

毎日更新「きのうのテレビ」

テレビっ子ライター

てれびのスキマ

7ORDER/FLATLAND

アーティスト・モデル

森田美勇⼈

ケモノバカ一代

ライター・書評家

豊崎由美

VTuber記事を連載中

道民ライター

たまごまご

ホフディランのボーカルであり、カレーマニア

ミュージシャン

小宮山雄飛

俳優の魅力に迫る「告白的男優論」

ライター、ノベライザー、映画批評家

相田冬二

お笑い・音楽・ドラマの「感想」連載

ブロガー

かんそう

若手コント職人

お笑い芸人

加賀 翔(かが屋)

『キングオブコント2021』ファイナリスト

お笑い芸人

林田洋平(ザ・マミィ)

2023年に解散予定

"楽器を持たないパンクバンド"

セントチヒロ・チッチ(BiSH)

ドラマやバラエティでも活躍する“げんじぶ”メンバー

ボーカルダンスグループ

長野凌大(原因は自分にある。)

「お笑いクイズランド」連載中

お笑い芸人

仲嶺 巧(三日月マンハッタン)

“永遠に中学生”エビ中メンバー

アイドル

中山莉子(私立恵比寿中学)
ふっとう茶☆そそぐ子ちゃん(ランジャタイ国崎和也)
竹中夏海
でか美ちゃん
藤津亮太

QJWebはほぼ毎日更新
新着・人気記事をお知らせします。