「高輪ゲートウェイ」をどうやって路線図に入れたのか
2020年は東京にふたつの新駅、「高輪ゲートウェイ駅」と「虎ノ門ヒルズ駅」が誕生した。特に高輪ゲートウェイ駅は49年ぶりとなる山手線新駅として話題になった。
高輪ゲートウェイ駅開業は、路線図マニアとしても見逃せない出来事である。既存の路線図に「高輪ゲートウェイ」をどうやって入れるのか、気になってしょうがなかったのだ。
新駅が開業する場所は、品川駅と田町駅の間。JRや地下鉄が密集するエリアであり、路線図上に「高輪ゲートウェイ」の8文字が入る隙間などない。JRだけでなく、私鉄各社の近郊路線図にだって影響がある。
どうするんだとソワソワして、開業する3月14日には実際に高輪ゲートウェイ駅周辺まで路線図を見に行った。そこで目にしたのはプロのワザ。あっちを詰めて、こっちをどかし、違和感なく「高輪ゲートウェイ」が路線図に溶け込んでいる。デザイナーのみなさんに心の中で敬礼した1日になった。


12月には高輪ゲートウェイ駅近くで、約150年前に造られた「高輪築堤」の遺構が見つかったというニュースもあった。新橋ー横浜間に日本で初めて鉄道を通すにあたり、高輪海岸の浅瀬に土を盛って、海上に線路を敷いた跡だ。軍の敷地を避けるために海上ルートを採択したという。
その様子は日本初の路線図である「新橋横浜間鉄道之図」(国立公文書館デジタルアーカイブ)でも確認することができる。「高輪ゲートウェイ」というホットトピックと、日本で最初の鉄道、最新と最古がつながったニュースだった。

150万人が路線図を見ながらサイコロを振っている
11月にはNintendo Switch版『桃太郎電鉄 ~昭和 平成 令和も定番!~』が発売された。約4年ぶりの『桃鉄』シリーズ最新作であり、発売後約1カ月で累計販売本数150万本を突破する大ヒットとなっている。

……なぜいまこの話をしているのかというと、桃鉄は路線図の上で遊ぶゲームだから。
桃太郎電鉄はプレイヤーが鉄道会社の社長になり、日本全国に張り巡らされた線路を駆け回りながら資産を増やしていくすごろくゲーム。日本全国をカバーした路線図の上ですべての悲喜こもごもが起こる。今、日本で一番熱い視線を浴びている路線図と言っていいだろう。150万人が路線図を見つめながらサイコロを振っていると思うと興奮する。
桃鉄の路線図はすべて縦と横の直線で構成されており、現実と比べると省略されている路線や、存在しない路線もある。「ゲームをおもしろくする」という目的で作られた、ここにしかない路線図を味わいたい。
ちなみに、東京近辺にある「鉄道省」という駅に止まるとメニューに「路線図を見る」という項目が出てくる。プレイ中に確認できる全体マップとは違う、シンプルにデザインされた路線図を見られるので、気になる方はがんばってぴったり止まってほしい。
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