ネット・職場の「謎ルール」と日本社会の同調圧力に呆れ果てた(中川淳一郎)

2020.9.22
中川淳一郎クイックジャーナル0922

8月31日をもって、「セミリタイア」し、現在は、フリーランスのライターとして活動する中川淳一郎。先日、『プレジデントオンライン』で「私は緊急着陸を招いた「マスク拒否おじさん」にむしろエールを送りたい」という記事を執筆したところ配信した『Yahoo!ニュース』のコメント欄には約1万1000件の書き込みがあり、大部分が批判。著者本人のツイッターにも批判が多数寄せられた。

そんな経験を受けて、著者がかねてより違和感を覚えるネットの「謎ルール」、日本社会に蔓延る「忖度」や「空気を読むこと」を大事にし過ぎる風潮について疑問を投げかけた。


「謎ルール」は日本のネットの定番

9月17日の『朝日新聞デジタル』に「Zoom会議も上座と下座? 新機能で誤解、謎ルールも」という記事が登場。これは9月1日に追加された、会議参加者の表示順を自由に入れ替えられるZoomの新機能をめぐってのもの。

ネット上では、「上座下座」をもたらすのでは、といった意見や、「忖度」がリモート会議にももたらされるのでは、といったツッコミが入った。ただし、記事ではZoom運営会社の日本法人によると、最大5万人が参加できるZoomにおける司会役や発表者などを固定配置できるようにするための変更であり、「上座に対する配慮を企図したものではない」のだとか。

とはいっても、Zoom会議をこの5カ月ほど多数経験してきたが、謎ルールはやはりできていた。

【1】立場の低い者はホストが会議を開始した瞬間、入れるようにしておかなければならない
【2】立場の低い者は終始ミュートにし、ビデオで顔を映さないようにする(ただし4人以上の場合)
【3】一番エライ人が「退出」するまでその他の者は退出してはいけない

どれもバカらしい~!

今回は当初「オンライン会議にも上下関係をつけるのか!」と騒いだ人々のフライング気味のツッコミではあったが、だが、いくら運営側が否定したとしても、毎度「謎ルール」が定着するのが日本のネットの定番である。だから、結果的に運営が意図せざるかたちで「Zoomの上座下座」が定着する可能性は否定できない。

何しろ、日本のネットでは本当にどーしよーもないバカみたいな風習が普段からの「忖度」「世間様」「同調圧力」の文化から誕生するのである。

「キリ番報告」「踏み逃げ禁止」「FF外から失礼します」

古くは「キリ番GET」という謎ルールがあった。これは、HPのアクセスカウンターで「11111」や「10000」「88888」など、よい数字を「踏んだ」人がHPの管理人に連絡をし、なんらかのプレゼントをもらったりする行為である。どう考えても管理人が面倒くさいだけなのだが、「キリ番」を踏んでくれたことに感謝することこそ「作法」だとされていたのだ。

あとは、mixiの「踏み逃げ禁止」もあった。SNSのmixiで投稿を見た場合はなんらかのコメントをつけなければ失礼である、という風潮である。だからまったく気がないにもかかわらず「素敵なネイルですね!」などと書かなくてはいけないプレッシャーがあるのだ。これは、LINEの「既読スルー」と似たような感覚だろうか。

ツイッター時代になると、これこそ本当にわからないのが「FF外から失礼します」のひと言だ。「フォロー・フォロワー関係ではないのに意見を言ってしまい申し訳ありません」の意味なのだが、ツイッターという超絶自由空間だというのに、わざわざこのひと言を入れる人があまりにも多過ぎるのである。

約11000件のほぼすべてが批判的なコメント


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中川淳一郎

(なかがわ・じゅんいちろう)ネットニュース編集者。1973年東京都出身。1997年博報堂入社、CC局(現PR戦略局)配属。2001年退社。以後無職、ライター、雑誌編集者などを経て現在はウェブメディア中心の編集者に。ひたすらネット上の珍騒動や事件を毎日テキストファイルに記録する生活を長年つづけている。

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