母親の死、ワニの死、同等に流れるタイムライン。
母親を亡くしたことは、SNSを通じて書いた。ちょうど『100日後に死ぬワニ』の最後の更新日が葬式のタイミングだったこともあった。思いつきのワニの死に一喜一憂するタイムライン、実在する母の死とはあまりに対照的だった。どんな死も同等に扱うタイムライン。ある意味、ライク・ア・ガンジス川。
寡黙な印象だった父が、葬式では明るく雄弁に振る舞っていた。参列者一人ひとりに声をかけていた。根が明るくて優しかった母親の葬式にふさわしい、素晴らしい式だった。遺体を焼いて骨だけになった母親を見ると、頭蓋骨が割れていた。最初に倒れたときの衝撃か、そのあとの手術によって生まれた損傷か。奇しくも、葬式に履いていった靴下がドクロ柄で、同じ箇所がひび割れていた。「(おかあさん、おそろいだね!)」心の中で話しかけた。手を引いてもらって歩いた、かつての少年時代の声色で。
「死ぬこと以外かすり傷」の反対語は「目にうつる全てのことはメッセージ」だと思う。
編集者の箕輪厚介が叩かれている。発端は、フリーライターへのセクハラ疑惑と契約不履行に関する文春砲だが、そもそも拝金主義的な嗜好性に意見が分かれる人物だった。ラジオやテレビやフェスなどで何度か共演したことがあり、会話を交わすこともあった。別段悪い印象は持っていない。売れる本というのは、社会が求めるものの映し鏡であって、潜在的な欲望に紐づくもの。多くの人間が求める本を作ることが悪だとしたら、福沢諭吉の『学問のすゝめ』だって悪ということになる。
うっかり誕生日が同じ。悪い人物ではない。ただ、悪い行いはしたのかも知れない。認めるべきは認めて、また人々が求める本を作ってほしい。数字で正当な評価を取り戻してほしい。「死ぬこと以外かすり傷」の反対語は「目にうつる全てのことはメッセージ」だと思う。ほぐし水はただの水にすぎないけど、(ほぐし水とネーミングしただけで)なんだかとてもよくほぐれそうである。
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