「香川県ゲーム規制条例」は、数の暴力によるゴリ押しで進んだ悪夢だ
ゲームのプレイ時間を条例で規制しようという「香川県ネット・ゲーム依存症対策条例」が4月1日に施行された。「コロナの影響下で遊ぶことが困難になり、気持ちがギスギスしている今こそ、ゲームは子どもたちの支えになる」と語るゲーム作家の米光一成が、以下に問う。「理解できないからといって、子どもの大切なものを奪う親になりたいのか」。
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とうとうゲーム規制条例が施行された
3月18日、香川県議会は「ネット・ゲーム依存症対策条例案」を賛成多数で可決、4月1日に施行した。
コンピューターゲームの利用を「1日当たりの利用時間が60分まで(学校等の休業日にあっては、90分まで)の時間を上限とする」といった条文があり、ネット上でも賛否を呼んだ。
また、条例可決までの過程の理不尽さや、パブリックコメントの扱いがムチャクチャだったことも、議論を巻き起こす要因となった。
「(県のイメージダウンになるという意見はあったが)大勢を占めるようなことであるとは必ずしも受け止めておりません」と浜田恵造知事が記者会見でわざわざ言わねばならないほどの騒ぎになったのだ。
ゲーム依存症とはなにか
「ゲーム依存症(ゲーム障害)」は、普段の生活が破綻するほど持続的にゲームにのめり込んでしまうことを指す言葉だ。
学校を中退したり、仕事を失ったりというネガティブな状況になってもゲームをやめられず遊びつづけてしまう状態のことを指す。
世界保険機関(WHO)が制定する「ICD-11」(国際疾病分類)に「ゲーム障害」の項が追加されたことから、注目されるようになった。
「ICD-11」によるとゲーム依存症は以下のように定義される。
・少なくとも12カ月以上にわたり
・ゲーム習慣をコントロールできず、
・悪影響を及ぼすにもかかわらずゲームをやめられない