15歳のときの自分を救う作業
──ここからは『No Pressure』について、お聞きしていきたいと思います。資料に「ここまで感じ続けてきたネガティブな感情の存在を受け入れた彼が、『それらがあったからこそ、今、本当の意味での“ポジティブ”を歌えるんだ』という“気付き”をもとに制作した」とありましたが、“本当の意味でのポジティブ”とはどのような意味なのでしょうか?
Novel Core 僕的に“本当の意味でのポジティブ”は、ネガティブそのものですね。基本的にポジティブとネガティブって、真反対なものとして扱われるし僕も今までそう思っていたんですけど、ネガティブを感じた経験がなければ何がポジティブかわからないと気づきました。そう考えると、ネガティブはポジティブというものを気づかせてくれる材料になるし、ポジティブってネガティブそのものなんじゃないかと思えてきて。
今までは“ネガティブ”に対して反発するような曲が多かったんですが、今作ではネガティブや自分にかかる重圧を愛せるようになり、全部が自分にとって大事なパーツだと歌えるようになりました。
──確かに、今作は前作に比べて肩の荷が下りたような印象がありました。
Novel Core ほかの正解を持っている人に対して「お前らの正解はダサいぜ」「間違ってるし、かっこ悪いぜ」って雰囲気は、完全になくなったかな。今までの楽曲は、センシティブな部分も含めて自分自身の過去や経験と向き合い、掘り下げながら作詞をすることが多かったんです。『A GREAT FOOL』なんて、まさしくそんな作品。だからこそ自己主張が強かったと思いますし、正直なところ、自分に向けて歌っている曲ばかりでした。
でも『No Pressure』以降の作品は、もっと外向きなものになっていくと思います。最近は自分と同じような感覚を持っていたり、似たような経験をした人たちに対して「俺もこうだったから大丈夫だよ」って伝えていくことがメインになってきているので。
──以前から“誰かにとっての代弁者でありたい”とお話しされていましたよね。
Novel Core 前までは自分と同じ境遇や、何かしら近しい感覚を抱いたことがある人の代弁者でありたいと思っていたんです。でも今は「それって過去の自分を救うことに直結するな」って気づいて。“誰かにとっての代弁者”の“誰か”って、もしかしたら15、6歳のときの自分自身なんじゃないかなと。今は当時の自分自身を救う作業をしているというか、“あのころの自分が近くにいてほしかったやつ”になろうと意識しています。
プレッシャー自体を愛すること
──『No Pressure』の構想は、いつごろからされていたんですか?
Novel Core 『A GREAT FOOL』がリリースされる少し前には、すでに『No Pressure』というタイトルが決まっていました。ただ、そのときは「翌年の8月には自分がどうなっていたいか」みたいなことがテーマだったので、今とはタイトルに込められた想いが違っていて。『A GREAT FOOL』で自分の過去と向き合ったり抑圧への感情を吐き出したりしたぶん、次は完全に振り切ったプレッシャーのない状態で音楽を楽しみたいと思っていたんです。でも“No Pressure”という言葉と向き合いながら生活していくなかで、自分が言いたい“No Pressure”はプレッシャーがないことではなく、プレッシャー自体を愛することなんだなって気がつきました。
──つまり収録されている楽曲は、どれもこの約半年間でできたものなんですね。
Novel Core そうですね。ツアーとワンマンの準備で作詞に割ける時間が本当になくて、「できるのかな?」と思ったときもあったんですけど、後半は3日間連続でスタジオを押さえてもらったりして間に合わせました。スタジオで歌詞を書いて、3日間で3曲作る、みたいな(笑)。
──プロデューサー陣もバラエティ豊かですよね。
Novel Core 今まで触れたことがないものにもチャレンジしたい思いが強くなっていましたし、新しい自分の表情を見に行くためにも、いろんな方にお声がけさせていただきました。一方で『A GREAT FOOL』からの流れを感じさせる楽曲には、前作でも担当していただいたUTAさんや韓国のYosiにお願いしています。例を挙げるなら、「HAPPY TEARS」に辿り着くまでの過程で一番大事な曲である「No Pressure」は、絶対に「THANKS, ALL MY TEARS」でご一緒したUTAさんじゃなきゃダメだったんです。
──プロデューサーをアサインする際は、どのようなことに重きを置いているのでしょうか?
Novel Core 作りたいと思った楽曲のテーマやコンセプトに合いそうな方というのが大前提ではあるんですけど、それ以上に共有したイメージに対して自分と近しいレスポンスを返してくれるかどうかを重要視しています。僕は楽器もできないですし、MVにした場合に見えている映像や色など、抽象的なイメージを伝えることしかできないので。
──いろいろなプロデューサーと関わるなかで、指示やイメージが混ざってしまうことはないのでしょうか?
Novel Core プロデューサーさんの話を聞きながら流れてきた音に身を委ねて、自分自身の中から素直に出てきたものに体を乗っ取らせていたので、問題ありませんでした。プロデューサーさんごとにスイッチを切り替えているというより、明確に別人になってる感じ。『A GREAT FOOL』以前は「自分色に染めていこう」という感覚が強かったんですけど、今はいい意味で何色にでも染まれるようになりましたね。
関連記事
-
-
天才コント師、最強ツッコミ…芸人たちが“究極の問い”に答える「理想の相方とは?」<『最強新コンビ決定戦 THE ゴールデンコンビ』特集>
Amazon Original『最強新コンビ決定戦 THEゴールデンコンビ』:PR -
「みんなで歌うとは?」大西亜玖璃と林鼓子が考える『ニジガク』のテーマと、『完結編 第1章』を観て感じたこと
虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会『どこにいても君は君』:PR -
「まさか自分がその一員になるなんて」鬼頭明里と田中ちえ美が明かす『ラブライブ!シリーズ』への憧れと、ニジガク『完結編』への今の想い
虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会『どこにいても君は君』:PR -
歌い手・吉乃が“否定”したかった言葉、「主導権は私にある」と語る理由
吉乃「ODD NUMBER」「なに笑ろとんねん」:PR