イコラブ齊藤なぎさ「人生はうまくいかないもの」『明日カノ』“ホス沼地雷系女子”ゆあの未来を考察

2022.5.18
齊藤なぎさ

文=佐々木笑 撮影=佐々木康太 編集=高橋千里


2019年にコミックアプリ『サイコミ』で連載開始し、単行本は累計発行部数300万部を突破。女性を中心に大ヒット中のマンガ『明日、私は誰かのカノジョ』(以下:『明日カノ』)の実写ドラマが、2022年4月から放送スタートした。

本作は、さまざまな思いを持つ女性たちが各章で主人公となり物語が進む。中でも、ホストとそれにまつわる女の子たちの話を描いた「ホスト編」は、『明日カノ』ブームの火つけ役になったと言っても過言ではない。

「ホスト編」の主人公・萌(箭内夢菜)がホストの世界にハマるきっかけを作ったキャラクターが、“ホス沼地雷系女子”優愛(以下:ゆあ)。担当ホスト・ハルヒ(藤原樹)の売り上げに貢献するために、夜の街でお金を稼ぐゆあは、原作ファンにも大人気。SNSではゆあのコスプレをした女の子たちの写真が多くアップされるなど話題になった。

齊藤なぎさ
齊藤なぎさ(さいとう・なぎさ) 2003年7月6日生まれ。神奈川県出身。指原莉乃プロデュースのアイドルグループ「=LOVE(イコールラブ)」のメンバー。愛称は「なーたん」。趣味は食べること、焼肉、音楽を聴くこと、カメラ、ドラマ

実写版『明日カノ』でゆあを演じるのは、アイドルグループ「=LOVE」メンバー・齊藤なぎさ。「自分とゆあは似ているところがある」と語る彼女が、“ゆあ”というキャラクターに込めた想いとは。


“ザ・アイドル”だと思われる自分でも「ゆあと似ているところがある」

──齊藤さんは、もともと『明日カノ』原作ファンなんですよね。演じるゆあちゃんは原作内でもかなり強烈なキャラクターですが、プレッシャーは?

齊藤なぎさ(以下:齊藤) 原作ファンだからこそ、実写化の再現はかなり難しいところがありました。ゆあちゃんの“心”は彼女がいろいろ経験して完成されたものなので、それを表現するのに「大丈夫かな?」という緊張はありました。

──実写のビジュアルもかなり注目されていますよね。

齊藤 大事ですよね! 今回少しでもゆあちゃんに近づきたくて、ダイエットをしたんです。ゆあちゃんはかなり細い子なので、撮影直前までがんばって、3〜4kgは落とせたかな?と思います。

──すごい。確かにゆあちゃんの細さって、ちょっと心配になるくらいというか。

齊藤 そうなんです。(ゆあちゃんの)夜のお仕事や、今までの環境が影響してますよね。

齊藤なぎさ

──実際に演じてみて改めて感じた、ゆあちゃんの好きなところを教えてください。

齊藤 自分の気持ちをちゃんと口に出すところとか、感情的になるところが私と似ている部分があって、共感できました。あと、ちょっとどこか冷めているところも好きです。いろんなものを俯瞰して見てますよね。

──子供っぽくもあり、大人っぽさもあるというか。

齊藤 はい、本当に達観しているというか……いろんな経験をしているからこその考え方なのかなと感じています。

『明日、私は誰かのカノジョ』84話より

──逆に嫌いなところは?

齊藤 えぇ! ないかもしれないです。私のことをよく知ってるお友達やファンの方からは、「(ゆあちゃんと)似てるところがあるね」って言われることもあって。でも、「=LOVEの齊藤なぎさ」のイメージは、たぶん“ザ・アイドル”って感じですよね。だから、全然似てないじゃんって思われているとは思いますが、自分では似てるところがあるな~と思います。

──実際に身の回りにゆあちゃんがいたら、友達になると思いますか?

齊藤 自分と似てるからこそ難しいかも(笑)。でも、ゆあちゃんって心を開いたらすごい仲よくしてくれそうですよね。

齊藤なぎさ

どうすれば幸せになれる?ゆあにとっての“ハッピーエンド”とは

──恋愛における“依存”はどうですか?

齊藤 私、本当に恋愛をしたことがないんです。小中学校が女子校で、その途中からアイドルになったので、男の子と関わる経験が本当になくて。お父さん以外で初めて話した男の人が、今のマネージャーさんです(笑)。

──本当ですか!?

齊藤 手をつないだこともないんです。だから、この作品で“男の人(担当ホスト・ハルヒ)に対する依存”を表現するのはすごい難しいなって思いました。でも、ゆあちゃんの場合は恋愛感情ではないのかな? 

──確かに、恋愛感情以外の何かかもしれないですよね。

齊藤 そうなんです。ハルヒに対しての感情は、ちょっと違うのかなって。

『明日、私は誰かのカノジョ』95話より

──ゆあちゃんは、ハルヒに対して何を求めていたんだと思いますか?

齊藤 あくまで“担当ホスト”としてのハルヒが好きだと思うので、ホストとしてのプロ意識とか……。あとは、やっぱり愛が欲しかったんだろうなって。でも、見せかけの愛でも結局ダメなのかな……。

ゆあちゃんって、子供のころからあまり恵まれた環境ではなかったと思うんです(『明日カノ』番外編「ゆあの過去編」より)。そういう過去があるから、ゆあちゃんはハルヒに理想の担当になってほしかったんじゃないかな。

──楓(萌の担当ホスト)みたいな優しい人が担当だったら、きっと満たされることもあるんでしょうけど、そういう星のもとに生まれた子というか……。

齊藤 そうですね。楓が担当だったとしても、それはそれで満たされないというか、ハルヒじゃないとダメなところもあると思うし、そこが難しいですよね。

齊藤なぎさ

──どうすれば、ゆあちゃんは幸せになれると思いますか?

齊藤 どうすれば幸せになれるのかなぁ……。『明日カノ』は、“うまくいかないところ”がリアルで、醍醐味というか。人生ってそうじゃないですか。

私にもうまくいかないことはいっぱいあるし、人生って全部が全部うまくいくわけないし。「女の子の人生の危うさ」をうまく描いているので、作中でゆあちゃんがハッピーエンドを迎えることはないのかも、って個人的には思います。

──恋愛、友情、仕事など、人生のカテゴリの中で何かひとつでも満たされれば、落ち着くかもしれないですよね。

齊藤 はい。やっぱり確たるものがあって、やっと落ち着けるのかなと思います。ゆあちゃんはお母さんがいないし、お父さんも無責任な感じだし、唯一ちゃんと面倒を見てくれたおばあちゃんも……。

もちろんお友達も自分の人生を支えてくれてるけど、やっぱり親とは違いますしね。親のような「絶対的な味方」という存在がいないとキツいのかな。

……難しいですよね。何が幸せなのか。納得する人とかモノって、ゆあちゃんにしかわからないから。

齊藤なぎさ
トップス:WILLSELECTION/チェックスカート:Swingle/チュールスカート:HONEY MI HONEY/リング、ブレスレット、カチューシャ:Witch me/サンダル:ダイアナ(ダイアナ 銀座本店)/ベルト:スタイリスト私物

インタビュー後編

イコラブ齊藤なぎさ「私も強く生きていきたい」『明日カノ』“ホス沼地雷系女子”ゆあから学んだこと

MBS/TBSドラマイズム『明日、私は誰かのカノジョ』

女性を中心に口コミで火がつき、単行本は累計300万部突破、連載中のコミックアプリ『サイコミ』ではランキング1位をキープしつづける大人気作『明日、私は誰かのカノジョ』(作・をのひなお)の実写ドラマ。さまざまな思いを持つ5人の女性たち。それぞれにコンプレックスや悩みを抱え、もがきながらもそれを克服しようとした先にあるものとは──。

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