相席スタート山添「僕はクズじゃない」お笑いを辞める決意から、ブレイクまでの意外な心境

2022.4.11
相席スタート・山添寛

文=てれびのスキマ 写真=時永大吾 編集=梅山織愛


コンビで舞台に立ちつづけながら、近年ではバラエティ番組に出演するたびに話題を呼ぶなど個人でも活躍の幅を広げている相席スタート山添寛。そんな山添がやりたいネタを、やりたい人たちとやるユニットコントライブ『山添展』を4月14日に開催する。

ライブで披露するネタについて、そして相席スタートのネタ作りとの違いを聞くうちに、なぜか話題は「人生のすべて」だというギャンブルについてになった──。

山添寛
(やまぞえ・かん)1985年6月11日、京都府出身。2013年に山﨑ケイと相席スタートを結成。同年に『THE MANZAI』で認定漫才師に。『M-1グランプリ2016』で決勝進出。『ポップUP!』(フジテレビ)に金曜レギュラーとして出演中。


やりたい人とやりたいことをする『山添展』

相席スタート・山添寛

──『山添展』は過去2回行われていますが、これまでの反響はいかがでしたか?

まわりの芸人、先輩方がカロリー高いことやってんな?って言ってくれはったのが一番ですかね。

──そもそも『山添展』を始めた動機は?

僕ら相席スタートは、お笑いに対する熱量が全然違うコンビなんです。(山﨑)ケイさんはタレントというか文化人のようなタレントさんになりたいという人。僕はもうゴリゴリに芸人になりたいという男なので、将来的にはバラバラになるだろうから、「その準備をしておかないとダメ」って相方にも言われてきたんです。

一生できるライブっていうのを見つけておきたかったので、そういうものになったらいいなと思って始めたライブですね。

──このライブならではのこだわりはありますか?

僕がピンネタを含めていろんな役をひたすらやってるというところでね。エキストラ的な役回りから、ツッコミからボケから変なキャラから。そこがコンセプトのライブです。

──ゲストの人選は?

個人的に好きな方とあとは僕が一緒にコントやってみたいと思ってる方ですね。やっぱり先輩方にも出演していただくので気は遣います。

たとえば第2回にはケンドーコバヤシさんに出ていただいたんですけど、ケンコバさんとは本当にやりたいネタが1本あったんです。ただそれはほぼ全裸になるコント。顔合わせ初日にこういうコントなんですけどっていうのは失礼だろうから、2本の中で選んでいただこうという作戦を立てて、もう1本のネタをわざと若干弱くして初日の交渉に挑みましたね(笑)。

──ケンコバさんの反応は?

めっちゃ懐深い方なんで「どっちがやりたいほうなん?」って聞いてもらって「こっちです」って答えたら「じゃあやろうか」って。

ギャンブルや借金の話を始めたきっかけ

相席スタート・山添寛

──ゲストの方とのネタと相席スタートのネタでは、書くときに違いはありますか?

相席スタートの場合はケイさんが一番生きるネタを作ってきたんです。『山添展』で書くネタも当て書きなので、テイストはまったく違うんですけど、作り方は基本的には一緒ですね。

──相席スタートは結成から早い段階で『THE MANZAI』(フジテレビ)の認定漫才師になるなど注目されていましたがその当時の心境は?

めちゃくちゃ必死でしたよ。まったく地に足がついてなかったですね。僕がケイさんにネタを出したときの“いいね”率というかそれで行こうという打率がめちゃくちゃ悪かったんすよ。かといって、ケイさんからネタを書いてきてくれはるわけでもなかったので、最初はケイさんのツボがわからなかったんです。

俺どうしたらいいの?という状態だったんですけど、そこから前のコンビのやつを男女コンビバージョンになんとか進化させて、ケイさんが言いそうなこととかを入れ込んでいたんです。その中で1本、ケイさんも言ってて気持ち悪くないと言ってくれたネタで、俺もこんなネタは今まで漫才で見たことないなっていうのができたときに認定漫才師になれたという感じでしたね。

ここがダーツのブルだと思って投げたネタではなくて、当てずっぽうで10本ぐらい投げたら、たまたま1本がいいところに当たったってだけの話です。

──それはどんなネタだったんですか?

『キラキラ組』っていうネタなんすけど、ケイさんがその当時、卑屈で嫉妬とか毒を吐いたりするキャラクターだったんですけど、キラキラした青春時代を送ってきた僕に暗い青春時代を過ごしてきた私の気持ちがわかるわけがないと怒られていくネタですね。

──最初のころはどうしてもケイさんにメディアの注目が集まるじゃないですか? そのときに焦りはありませんでしたか?

いや、でも当然だと思ってましたね。男女コンビはそうなるもんだろうという感じでした。南海キャンディーズさんは山里(亮太)さんが、腕もめちゃくちゃあるし、お笑いスキル、感度、アンテナもすごいから、しずちゃん(山崎静代)さんのキャラクターに負けへんぐらい笑いを取っていたので、おふたり共売れるんだろうなっていうのはあったんですけど、あのおふたりは特別で。

僕らの場合はケイさんが一番生きてケイさんがいいと思うネタを作ってきたので、自然と僕はケイさんの言いたいことの振り役になってたんですよ。

男目線でおもしろいツッコミしたいなと思っても、「ケイさんの言いたいメッセージに行きにくいから変更する」ということもあったので、ケイさんにとって心地のいい相づちを打つ役でしかなかった。だから、自ずと俺はこのままでは絶対に売れるわけがないと自分でも思ってました。

──そんななかでどうやってその自分を売り出そうみたいな打開策はあったんですか?

いや、売り出そうなんて思ったこと一回もなかったです。売れたらめちゃくちゃうれしいけど、それ以上に今の自分が売れるわけないと思ってましたね。

──それでも昨今は「クズ紳士」として注目されています。ご自身で潮目が変わったというのはどれぐらいの時期だと思いますか?

『ウチのガヤがすみません!』(日本テレビ)の最後の年くらいですかね。いろいろ考えるところがあって、お笑いを辞めようって思ったことがあったんですよ。じゃあ、辞める前に最後に自分がやりたいようにやってから後悔ないように辞めようと思って今までセーブしてた自分を出し始めたら、たまたま少しずつ仕事をもらえるようになってきた感じです。その延長が今です。鬼越トマホークに『ウチのガヤ~』で暴露されたのをきっかけにギャンブルや借金の話もし始めました。

絆を結んでくれた吉本はめちゃくちゃいい事務所


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てれびのスキマ

1978年生まれ。ライター。テレビっ子。著書に『タモリ学』(イースト・プレス)、『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『笑福亭鶴瓶論』(新潮社)、『全部やれ。日本テレビ えげつない勝ち方』(文藝春秋)など。

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