「誰かのためだけに私がいるわけじゃない」本田仁美&小栗有以(AKB48)に聞く、アイドルにとっての“成長”とは?

本田仁美-小栗有以 対談前編

文・編集=森 ユースケ 撮影=飯田エリカ 編集=田島太陽


共に2001年生まれ、12歳でAKB48チーム8に加入した小栗有以と本田仁美。小栗は2018年に「Teacher Teacher」でセンターに抜擢され、韓国での活動を経た本田も2022年5月発売の「元カレです」でついにセンターを務める。成長する過程こそがアイドルの醍醐味とされる時代。無垢さや不完全さを求められることも多いふたりは、加入からの8年でどのような成長を遂げ、その変化を自身ではどう捉えているのか。

韓国での経験を持ち帰った本田、日本でAKB48の中心メンバーとして活動しつづけた小栗、ふたりの立場からアイドルにおける「成長と変化」を聞いた。


徐々に芽生えた「競争」という意識

本田仁美-小栗有以 対談前編

本田仁美(ほんだ・ひとみ)写真左
2001年生まれ、栃木県出身。AKB48チーム8 栃木県代表/チームA兼任。2018年から2021年4月までIZ*ONEとして韓国でも活動。AKB48のニューシングル『元カレです』でセンターを務める

小栗有以(おぐり・ゆい)写真右
2001年生まれ、東京都出身。AKB48チーム8 東京都代表/チームB兼任。2018年「Teacher Teacher」でセンターに抜擢。ファースト写真集『君と出逢った日から』(小学館)が発売中

──2014年にそれぞれ12歳でチーム8に加入してから約8年、おふたり共大きな成長を遂げたと思いますが、実感はありますか?

本田 昔は本当に子供だったから、たくさんの方にご迷惑をおかけしました。いたずらもたくさんして、たとえばメンバーのお風呂のカーテンを急に開けたり(笑)。今、自分が同じことをされたら、みんなみたいに優しい反応をできる自信がないです。ゆいゆいも一緒にやってたよね。

小栗 ほかにも、寝ているメンバーの顔にアイライナーでいたずら描きする人もいました。それを許し合える仲のよさというか、最初は競争する意識もなかったし、ただの友達同士というか、学校の青春みたいに楽しんでました。徐々に中野郁海ちゃんや坂口渚沙ちゃんたちが選抜に選ばれていくうちに、あれ、競争して選ばれていく感じなのか……?と気づいて。

本田 歌割りの順番とか、いろいろな部分で差がついていくのがわかっていくんだよね。同じチーム8のメンバーたちが選抜に入るのを見て、自分もテレビに出演したり、大きな会場でライブできる可能性があるかもしれないと感じるようになりました。

──日本と韓国でそれぞれ違った道を辿りながら、AKB48のセンターに辿り着いたおふたりですが、自分が変わっていく転機となった瞬間があると思います。

小栗 チーム8は各都道府県の代表メンバーがいて、私は東京代表だったから、プレッシャーも大きかったけど、最初は特に目立つようなことはなかったんです。自分なりにがんばっているうちに、ありがたいことに「2万年にひとりの美少女」って言ってもらえるようになったり、先輩のれなっち(加藤玲奈)さんにユニットに選んでいただいたり、少しずつチャンスをいただけるようになって。

そのうちに、かわいがっていただいてたさっしー(指原莉乃)さんやまゆゆ(渡辺麻友)さんが卒業して、「自分もAKB48を支えなきゃ」という気持ちになって、センターを経験してさらに「自分に何ができるか」をもっと深く考えるようになったと思います。

本田 私はやっぱり韓国に行った経験が大きいですね。今までとはまったく違う視点で勉強することがたくさんあって、「これはAKB48に持ち帰りたい」と思うことが本当に多かったです。

髪の色を変えた理由、変えない理由

──韓国のグループは「人物の魅力を際立たせるために曲と演出がある」ように感じます。MVも人物がメインで、衣装や振り付け、楽曲は人物の魅力を引き出すためにある。K-POPの場合、「楽曲をどう表現するか」がパフォーマンスの目的で、メンバーはそのためにいる、というイメージが強いです。

本田 そのとおりだと思います。メイクや髪の毛の色や衣装、ダンスの動きまで、毎回コンセプトに合わせていました。

──歌やダンスのスキルを上げたり、メイクや髪型を変えて垢抜けていくことがアイドルにとっての「成長」である一方で、拙さや幼さ、変わらないことが魅力となる側面もあります。「髪色は変えないでほしかった」という人もいたと思うのですが、どう感じましたか?

本田 そういう方もいました。でも新しいことに挑戦して、新たに好きになってくれる方もいるはずだと思います。「ひぃちゃんってこんなのも似合うんだ」って発見してくれる方が増えたらうれしいです。そもそも、誰かのためだけに私がいるわけじゃないですから。髪の色に限らず、まわりの声に左右され過ぎず、自分のやりたいことをやるのが一番だと思っています。

小栗 そういえば、ひぃちゃんが帰ってきてから、髪の毛の色が明るいメンバーが増えた気がします。

──色を変えてみたかったけど、自分だけやると目立つから避けていた人がいたのかもしれませんね。

本田 もし誰かのきっかけになれていたら、うれしいですね。

小栗 私も、今までと少し違うイメージを見せたいなと思ったことがあって。今回のシングル、ひぃちゃんがセンターの曲がクールな感じだったので、色を変えてみようかなと思ったんですけど、いろんな人から「一度も染めたことがない髪は大事だよ」って言われて。まずはイメージを変えるために、バッサリ切ってみました。だからまた別の機会に、色も変えてみようかなって思います。

それを寂しく思ってしまう方もいると思うんですけど、時代や流行りとしても、髪を染めている人も増えてますし。また、ぱっとイメージを変えるときの隠し玉として持っておこうかなって。もしやるとしたら……ピンクとか、かわいいかな?

本田 まずは普通に明るい茶色が見たいけど……写真集のイベントで金髪ギャルメイクしてたよね? あれ、すごくかわいかったから、ブロンドもいいんじゃないかな。


「練習は嘘をつかない」という達成感

──レッスンやパフォーマンス、ファンとのコミュニケーションなど、さまざまな部分で、それぞれが成長したと感じることを聞かせてください。まずは本田さんが「AKB48に持ち帰りたい」と感じたのはどんな要素だったのでしょうか。

本田 一番強く感じたのは、下準備の大切さです。振り付けを覚えて終わりではなくて、1曲ごとに質を上げるための時間をたっぷりかけるんです。それをやることで、振りを間違えるかも、どうしよう……という不安がまったくなくなって、視線の配り方や表情など、表現に思考を向けることができる。自信を持ってステージに立てるようになるんです。

レコーディングも、すごくこだわっていて。正確に発音ができるように、一音だけを練習したこともありました。今までとは違う練習法を知ることもできて、全体的に自分と向き合う時間が増えたように感じます。

──「根も葉もRumor」では、数カ月にわたって練習を重ねたそうですが、その意識を反映することができた実感はありますか。

本田 曲を押し上げていく段階で、すごく丁寧にやれた実感はあります。振り付けの構成でも、それぞれの動きを見せやすいように、5人だけ、3人だけのパートに分けて踊るようになっていて、今までにはなかった見せ方で。下準備がしっかりできたと思います。

小栗 シングルを出せるのが久しぶりだったし、メンバーたちもみんな「待ってました!」って感じで熱量が高かったんです。

レッスンを始める前に筋トレをして、ひぃちゃんを筆頭に、踊った動画をスローで見て、間違ってるところを確認して、数人ずつで踊って、確認して……。これだけ徹底して極めていく経験は初めてで、メンバー同士の絆も深まったし、今までもこんなふうにできたらよかったのかもなって思いました。

本田 あの動きはダンスの上手い下手は関係なくて、全員が横一線で、みんなで新しいスポーツを習った感じでした。それでもダンスが苦手な子を含め、みんながどんどん上達していくのが目に見えてわかるので。大きな達成感があったし、「練習は嘘をつかない」という言葉が頭に浮かびました。

インタビュー後編

AKB48 59th Single『元カレです』

価格:1,700円(税込)
発売日:2022年5月18日(水)

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森 ユースケ

(もり・ゆーすけ)1987年生まれ。東京都出身。毎日ウルトラ怪獣のTシャツを着ているライター/編集。インドネシアの新聞社勤務、国会議員秘書、週刊誌記者を経て現職。近年は企業のオウンドメディア編集も担当。オリックス・バファローズファン。