「自分に嘘をつかないで」卒業を決めた乃木坂46・北野日奈子が挫折と迷いの末に見つけたもの

2022.2.8

文・編集=山本大樹 撮影=前田 立


1月31日。北野日奈子は、今年4月いっぱいでの乃木坂46からの卒業を発表した。2013年にグループの2期生として加入し、気づけば9年。アイドルとしての挫折や大切な仲間との別れも経験し、それでもなお、乃木坂46という大切な居場所を守るために「徹底的にメンバーに寄り添う」と心に決めた。

2月8日に発売される2nd写真集『希望の方角』(白夜書房)には、前作『空気の色』からおよそ3年、紆余曲折を経て大人になった彼女の、どこまでも自然体な姿が映されている。

このインタビューは、卒業発表の5日前に行われた。1st写真集発売から3年間での変化と成長、2期生との絆、後輩たちへの思い。そして、北野が今回の撮影期間を通じて見つけた「自分らしさ」とは──。

アイドルとしての迷いと、「寄り添う」という決断

──前回の写真集発売が2018年でした。そこから今日に至るまでの3年間は、北野さんにとっても、乃木坂46というグループにとっても激動の時期だったと思います。この3年間、北野さん自身の中にはどんな変化がありましたか?

北野 グループの中での役割もすごく変わったな、って思う3年間でした。2018年に休養から復帰してからはアンダーで活動して、その時期に「日常」(2018年)でセンターを任せてもらって。そのあと『Sing Out!』(2019年)では十四福神に選んでもらったりもしたので、自分が前に出てグループを引っ張っていくのが役割のひとつだったと思うんです。でも、そこから3期生がすごく成長して、4期生も新しく加入して、一方で先輩の卒業もつづいて……っていう流れの中で、自分の役割は選抜に入って「北野日奈子です」って主張していくことじゃないのかもしれない、別の役割があるかもしれないと思い始めました。 

──それはどういう役割ですか?

北野 これからの乃木坂を一生懸命築いていこうとしてくれている後輩たちにとって、乃木坂46っていう場所を安らげる環境にしてあげたい、というか。後輩たちに寄り添っていくのが自分の役割なのかもしれないって思いながら、この1年くらいを過ごしていました。 

──大きな決断ですよね。

北野 裏方……っていうほどでもないですけど、アイドルとして「自分、自分」じゃなくなることは正解なのかどうかって迷いはありました。でも、そうやって活動していきたいっていう姿勢をファンの方にも伝えてきたので。「どこにいてもずっと見てるよ」って声をたくさんかけてくれたので、そこを貫いて、みんなに寄り添える先輩でいることができたのかなとは思います。 

──ほかのメンバーの「居場所」を作る役割を北野さんが担おうとしているのは、ファンの人たちもきっと感じていたと思います。

北野 ふふ、そうですね。そういうことを考えていたら、いろんな物事に対して少し俯瞰で見れるようになった気がします。それまでは自分のことばっかりというか、「選抜に入りたい」っていう気持ちがすごく強くて、そういう気持ちでいろんなことに挑戦してきたんです。でもそういう考え方になってからは「誰か困っている子はいないかな?」とか「グループに対してできることはないかな?」って常に考えるようになって。そうしているうちに乃木坂46っていうグループのことを客観的に見れるようになったし、自分自身のこともそうやって見れるようになってきて。そういう部分では、先輩として、大人として成長できたんじゃないかと思います。

「支えてきてよかった」って、きっと思ってもらえる

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