宮下のアイデアも小説に取り入れて
──ご自分で読み返してみて、初めての小説は満足できる出来になりましたか?
みちお ラスト、一番大きい魔物を倒すシーンがあるんですが、それはたぶん、今まで誰も見たことのない倒し方だと思います。似ている倒し方はあっても、たぶん新しいところにいるはず。自分で言うのもなんですけど、魔物がデカければデカいほど強いという世界観なので、SF映画にしてもおもしろいと思うんですよね……。
──大きければ大きいほど強いという設定はおもしろいですね。
みちお どんどん大きくなっていくのってバカっぽいポイントなのに、意外とやってる人がいなかったなと思って。ロボットアニメも好きだから、その影響かもしれません。いろんなロボットの大きさ比較を見て「ダンバインって7メートルくらいなんだ」「ガンダムは18メートルなんだ」「ダイターン3デカ過ぎじゃない?」とか思うのが好きで。
──その好きな要素が小説に入っている。
みちお はい。宮下草薙の宮下(兼史鷹)くんに小説について話していて、「大きければ大きいほど強い世界で」と話したら「それめっちゃいいですね」と言ってくれて。ラストの戦闘シーンはそのとき宮下くんがアイデアを出してくれて、その要素も入っています。宮下くん、そういうのを考えるのが得意な人なんですよ。
みなさん、合体好きですもんね?
──小説には合体要素もあるようですが……。
みちお はい! 合体マニアなんです、僕。最初のほうに合体するポイントがあって、最後のラスボスと戦うシーンにも合体があるんで、楽しみにしていてもらえたら。みなさん、合体好きですもんね?
──(笑)。トム・ブラウンの漫才といえばやはり合体だから、サービスとして合体の要素を入れたのかと思っていました。
みちお いえいえ、全然サービスとかじゃなくて、ただ好きで。僕らの漫才をみなさんが知ってるなんて、そこまでおこがましいこと言えないですよ。僕が合体マニアというだけなんです。
──合体のどんなところが好きですか?
みちお たとえば鬼と天使が合体した場合、聖なるものになるのか、悪いものになるのか、それとも中間を取り入れた最強になるのか。角が生えたまま羽も生えているのか。そういうことを考えるのがすごく好きです。
──なるほど。
みちお 『ザ・フライ』という映画で、ハエと人間が交わってハエ人間になるのを観て衝撃を受けたのが合体に興味を持った最初だと思います。合体にもいろいろあるんですよね。ドラクエのスライムが合体してキングスライムになるという「同じものが合体して大きいものになる」パターンも好きですし。
車が合体してロボになるとか、どういうことだよ!?と思いますし、ゲーム『女神転生』で、妖精と蛇のようなのが合体して蛇の要素を取り入れた妖精になるようなのもおもしろいなと。要素と要素を取り入れ合うっていうのがなんか好きで。
──お話を聞いていて、本当にお好きなのが伝わってきました。
みちお 合体について考え過ぎて、「そういえば僕たちもそうだよな」って。お父さんとお母さんが合体して、そうやって命が紡がれていくんだ」というのは勝手に、壮大に考えてます。
──まさかここで命の真理に触れることになるとは。
みちお 考えすぎて変になってるんですよ。