トム・ブラウンみちお「なけなしの90円を使った」Web小説にどハマりしたきっかけ

トム・ブラウンみちお

文=釣木文恵 撮影=長野竜成 編集=鈴木 梢


Web小説、特に「異世界転生モノ」が好きと公言し、自ら異世界ファンタジー小説も執筆したトム・ブラウンみちお。Web小説との出会いや、小説以外のエンタテインメントのこと、最近の空き時間の過ごし方についても聞いた。

なけなしの90円を貸し漫画に使った

──みちおさんはWeb小説が大好きと伺いました。まず、みちおさんがWeb小説を読むようになったきっかけから教えていただけますか?

トム・ブラウンみちお
トム・ブラウン みちお 1984年12月29日生まれ、北海道札幌市出身

みちお 5年前くらいのある日、お金がなくて財布に90円しか入ってなくて。「何か食べないと」と思ったのに、なぜかTSUTAYAに入ってしまったんです。ふとマンガレンタルの棚を見たら、おすすめコーナーに『転生したらスライムだった件』があったんですよね。それを何も考えずに借りました。

転生したらスライムだった件
『転生したらスライムだった件』漫画:川上泰樹/原作:伏瀬/キャラクター原案:みっつばー/講談社

──なけなしの90円をマンガレンタルに。

みちお はい。そしたらめちゃくちゃおもしろくて。それが異世界転生モノとの出会いです。すぐ2巻を借りに行きたかったけど、もう財布の中は0円で、無理で……。調べてみて『転スラ』は投稿型のWeb小説サイトから生まれた作品だと知りまして。そこで、同じ投稿サイトのランキングで「圧倒的1位!」と書かれていた『無職転生〜異世界行ったら本気出す〜』を読むことにしたんです。それはもうおもしろくて! これがお金がなくても読めるんだ!とうれしくて、一気に読みました。

──普段から、食事よりもエンタテインメントを優先するタイプなんですか?

みちお 普段はめちゃくちゃ食べ物のほうに行くんですけど、なぜかそのときは「それよりも何かを得たい」と思ってしまって。お腹じゃなくて脳に食べ物を与えたかった。

Web小説の構成のような人生を

──それまで、小説は読んでいましたか?

トム・ブラウンみちお

みちお 最初に読んだ小説は、赤川次郎さんの『ふたり』です。そこからあまり読んでなかったんですけど、僕、四畳半におじさんふたりで住んでたことがあって。

──四畳半におじさんふたり。

みちお 先輩とふたりで、ひとり二畳ずつ、独房よりもキツい状況で暮らしていまして。先輩が本好きで、「これ読んでいいぞ」と言われたので、部屋に置いてあった本を読んでいました。乙一先生の作品とか、東野圭吾先生の『手紙』とかを読んで、「文字だけなのにおもしろいんだ」と思いました。乙一先生の叙述トリックみたいなものとか、初めて知るグロさみたいなものとかがおもしろかったですね。

──ではそれ以来、自分から求めて読むようになったのがWeb小説。

トム・ブラウンみちお

みちお そうですね。最初のうちは、書籍化されている、ランキング上位の作品を読んでいました。書籍化されているということはプロにも見つかっているし、ランキング上位ということは読者もおもしろいと思っているはずだと。あと、つづきがすぐ読めないのは嫌だから、完結しているもの。『無職転生』のあとは『八男って、それはないでしょう!』読んで、『盾の勇者の成り上がり』、『この世界がゲームだと俺だけが知っている』……。

無職転生
『無職転生 ~異世界行ったら本気だす~』理不尽な孫の手/MFブックス

──そんなに鮮明に読んだ順まで覚えているんですね。

みちお 最初のほうは特に覚えてますね。異世界転生モノを読んでいくなかで、『落ちこぼれ☆1魔法使いは、今日も無意識にチートを使う』にぶつかって。これは転生ではないファンタジーだったんですよ。そこで「あ、転生じゃなくてもおもしろいんだな」と当たり前のことに気づきました。そこからは転生モノにこだわらず、どんどんおもしろいものを読んでいくようになりました。

落ちこぼれ☆1魔法使いは、今日も無意識にチートを使う
『落ちこぼれ☆1魔法使いは、今日も無意識にチートを使う』右薙光介/アルファポリス

──たくさん読んでいくと、好きな作品の方向性も定まってくると思いますが。

みちお 今おもしろいなと思っているのが『ヘルモード~ やり込み好きのゲーマーは廃設定の異世界で無双する』という小説で。前半はフリで、中盤からガーッとおもしろくなっていく作りなんです。でもフリの部分もちゃんと興味が持てる内容になっている。自分もそういうネタをやりたいと思いますし、人生もそうでありたいですね。そう思います。

みちおは出前館のスーパーゴッド会員

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釣木文恵

(つるき・ふみえ)ライター。名古屋出身。演劇、お笑いなどを中心にインタビューやレビューを執筆。