トータルテンボス「息子がきっかけでもいい」。晴空くんとの親子共演を拒まない理由
芸歴24年を数えるトータルテンボス。2006年スタートの47都道府県ツアー以来、昨年コロナ禍で休止を余儀なくされるまで、毎年全国ツアーを行っていた。11月に単独ライブ『背広の合う二人』を控えるふたりは今、漫才にどのように向き合っているのか。
大村は息子・晴空(はるく)くんとのテレビ出演も増えている。それがふたりに与える影響や、歳を重ねたからこその藤田の変化を聞いた
【前編】トータルテンボス「お客さんは7人」「当時は口だけだった」……『M-1』優勝より難しい“笑いの本質”を考える
ルミネ出番の合間に野球指導者のオンライン講習
——大村さんは最近、息子の晴空(はるく)くんとの親子共演が注目を集めていますね。
大村 狙ったわけじゃなく、本当にひょんなことからオファーが来るようになって、ありがたいなと受けていたらどんどん増えていって。コンビより親子のオファーが多いんじゃないか?となったとき、ちょっと違うなと思った時期もありました。でも藤田が「それはそれで全然いいじゃん」と言ってくれたんですよね。ただでさえ僕ら、テレビにバンバン出ているわけではなかったので。知名度というのは、薄れていくじゃないですか。
藤田 代謝が激しいからね。
大村 「今はテレビの時代じゃない」なんて言われつつも、まだテレビってすごく大きいじゃないですか。そんななかで寄席に出ていくと、僕らを知ってくれている人って30代以上が中心で。EXITや和牛やミキが出演して、若いお客さんが多いときに劇場に出ると、「あ、知らない」みたいな空気ってあるんですよ。「その対策として、自分がいなくても出てくれてたほうがありがたいんだよ」と藤田が言ってくれた。だから需要があるのなら親子でもがんばっていこうと思っていますね。
藤田 大村が息子と出てるおかげで、取り残されずギリ耐えてる。助かってますよ。大村親子をきっかけに「じゃあ今度はネタ番組にコンビで」と新たに呼んでいただくこともありますし。マイナスはまったくない、プラスしかないと思います。
——一方藤田さんは、少年野球のコーチとして息子さんを教えていらっしゃるとか。
藤田 僕は全日本野球協会の指導者ライセンスを持ってるんですよ。普段は一般の方たちに混じっていち保護者、パパコーチとして少年野球の練習に行くんです。同じチームのパパ仲間とか指導者の方もずっと一緒だから慣れてくれていて。それが、区のグラウンドを使うときなんかにまわりのチームがざわざわして、チームの保護者の方が「あ、忘れてましたけど藤田さんって有名なんですよね」とか言ってくださる。それは打ち解けてくれてるんだなあってありがたいですし、楽しいですよ。
大村 ある日、ネットニュースで「元プロ野球選手が全国の少年野球指導者に向けたオンライン講習をやった」という話題が流れてきたんですよ。早稲田大学の小宮山悟監督とか、千葉ロッテマリーンズの吉井理人コーチとかが教えてくれるのを、一般の指導者がお金を払ってオンラインで聞くもので。ひと通り講義が終わって「質疑応答の時間に真っ先に手を上げたのがトータルテンボス藤田だった」と書かれてた。
——そんなニュースが(笑)。
大村 しかもその講習があった日、僕らルミネtheよしもと3ステージの日だったんですよ。つまり藤田はルミネの出番の合間に受講してたんです。「そんなことしてたの!?」と思って(笑)。
藤田 ルミネの楽屋でオンライン受講してました。出番のときだけ聞けなくて、出番から戻ったらまた聞いて。
大村 すげえよ。キングコングの西野(亮廣)に憧れて、野球専門のオンラインサロンもやってるんだよな。
藤田 憧れてはいないんだよ。会社が「やってくれ」っていうから。
大村 相当儲けてるんじゃないですか? 西野は7万人会員いるっていうじゃん。お前は何人集めたのよ?
藤田 40人だよ!
大村 でも西野は月額1000円だから7万人も集まったのかもしれないよね。お前のサロン、値段が高過ぎたんじゃない?
藤田 500円だよ! 毎月2万円入ってくる。
大村 笑っちゃうんですよねー、こういうのも。
藤田 全然会員が増えないんすよ。野球好きのおじさんが40人だけ。
大村 しかも、みんなお前より野球に詳しいんだろ?
藤田 そう、いろんなところの指導者が集まってる。まったく知らない人になら技術指導できるんですけど、会員みんな俺より知識が上。だからなんにも言えないんです。
——(笑)。でもお子さんのために始めた活動が、オンラインサロンのほかにもWEBでコラムを書かれるなど、次第に広がっているのはいいことですね。
藤田 そうですね。芸人としての活動が充実しているからこういうことができているのかもしれません。余裕がなかったら手が回らないと思うんですよ。お笑い芸人としてやりたいことを全部やらせてもらっているので、それ以外の活動もできるんだなと思います。
※記事初出時、藤田さんの指導者ライセンスについて「日本野球連盟」と表記しておりましたが、正しくは「全日本野球協会の指導者ライセンス」でした。お詫びして訂正いたします。
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