9月30日、見取り図の全国ネット初冠番組『見取り図の間取り図ミステリー』が放送された。
3時間以上にもわたった収録の直後、見取り図に<冠番組とそのほかのテレビへの向き合い方>、この番組のきっかけともなった<コンビ名の由来について>、そして、今最もファンが気になっているであろう<漫才・『M-1』への想い>を聞いた。
昼夜問わず大忙しの彼らが、今一番向き合っていることとは──。

目次
人気絶頂の見取り図。冠番組オファーは相当数「来ている」

──ついに全国ネットの冠番組。怒涛の冠ラッシュですね。
リリー いやいやいや。
盛山 そんなそんな。かまいたちさんに比べたら。
──かまいたちさんもすごいですが、見取り図さんも正直、今かなりの数の冠番組オファーが来ているのではないですか?
盛山 どうなんですか? マネージャー。
マネージャー いただいています。
盛山 おぉ(笑)。でもまあ、改編期ですし来てたらうれしいですね。
──さまざまなオファーが来るなか、どういった基準でお仕事を選ばれているんでしょう?
盛山 劇場は必ず。でも今は、テレビもインターネットもいろんなメディアをオールマイティーにですね。
──あまりNGは出していない?
リリー 僕は、難しい話題はNGですね。政治とかはわかんないから、そういうのに出ても叩かれるだけだと思いますし。
──ワイドショーのコメンテーターなどのお仕事?
盛山 やばいですよそれは。ちなみに僕、このあと『ワイドナショー』(フジテレビ)の収録行くんですよ……。『間取り図ミステリー』の収録中も、それ頭によぎってましたもん(笑)。もしかしたらダンマリ決め込むかもしれないです。
“見取り図”の前は、“リアル乳首ファイターズ”

──この番組は読売テレビの「プラチナイト」という枠ですが、関西の方からすると聞きなじみはいかがでしょう?
盛山 正直あまりないんですよね。
──関東では、『笑神様』や『月曜から夜ふかし』、過去には『有吉の壁』だったりと、人気番組の枠という印象が強くあるんです。このまま人気が出れば、『有吉の壁』のようにゴールデンでレギュラー化ということも。
盛山 『見取り図の間取り図ミステリー』いけます?(笑)。でも、ゴールデンっぽくていいよな。間取り図は老若男女が興味ありますからね。
──この番組は、“見取り図”というコンビ名をつけていなければ生まれなかった企画だと思いますが、今までコンビ名から派生していったお仕事はありましたか?
リリー コンビ名からのは初めての仕事やな? 初めて“見取り図”にしてよかったと思いました。
──改めて、コンビ名の由来を教えてください。
盛山 NSCのときに毎回適当にコンビ名書いてたら、先生に「コロコロ変えるな」と怒られて、最後に書いてたのが“見取り図”だったんです。一日早く怒られていたら“リアル乳首ファイターズ”でした。

──(笑)。それはそれで、番組が来そうですね。
リリー なんの番組が来るんですか?(笑)
盛山 “リアル乳首ファイターズ”で来る番組、ろくな番組じゃないでしょ(笑)。適当に考え過ぎて、“床”とか“エテ公”とかのときもありました。最後の“見取り図”は確かリリーが出したよな?
リリー ほんまに響きだけで書きましたね。
目標は、冠番組ばっかり持つこと

──リリーさんは先日noteで、「自分たちの番組は、ゲストのことを考えて疲れてしまう」とおっしゃっていましたが、本日はいかがでしたか?
リリー でも、今日はやりやすかったですね。児嶋(一哉)さんも(山之内)すずちゃんも優しくて、竹内(由恵)アナウンサーさんもいい意味で意地悪なところもあったりして。
盛山 なんか、僕だけに意地悪でした(笑)。
──盛山さんは、冠番組とゲスト出演する番組とではどんな違いを感じていますか?
盛山 テレビは全部一緒ではありますけど、冠はやっぱり気合い入りますね。レギュラーになりたいし、自分らの番組としてできるということは、ちょっと意識が違うかもしれないです。ゲスト出演のときもですけど、テレビを盛り上げたいです。まずはゲスト稼働をいっぱいがんばらないとダメですもんね。いきなりゼロから冠番組はないですから。ゆくゆくは冠番組ばっかり持ちたいです。冠番組ばっかりって、かっこよくないですか?
リリー 売れ切ってる人はみんなそうよな。
盛山 千鳥さんもだし、有吉さんの名前ついてる番組どんだけあります?
リリー 天下ですよ。
盛山 あと、かまいたちさんね。『アメトーーク!』(テレビ朝日)でも言ってたけど、“かまいたち”ってワードがすごい番組名にしやすいですよね。『かまいガチ』(テレビ朝日)とか『かまいちょぱ』(GYAO!)とか、もじりやすい。
──確かに。でも、今回は見取り図さんもそうじゃないですか。
盛山 “間取り図”ね。もしかして僕たちって、物件の番組しか来ない?(笑)。見取り図ってほかにないやろ。でも、言いようですからね。
リリー お笑いの見取り図、とかね。
──もしかしたら、不動産のCMなどのお仕事も。
盛山 おぉ~、いいですね! そんなんやりたいですね。僕らしかいないですよ。

自分たちの世代で、バラエティの毛色を変えたい

──今回ゲストでお越しいただいたアンジャッシュ児嶋さんとは、初共演ではないですよね?
盛山 何度か共演させてもらってますけど、こうやってガッツリ少人数では初めてです。優しくておもしろい方で、むっちゃくちゃやりやすかったです。縁の下の力持ち。でも、そこまで関係性が築けてないので、「大嶋さん」とか名前イジリはできなかったですね。
リリー まだ早いですね。
盛山 そんなんはよくない。そこまでの関係性ではない先輩にそんなイジリをして、そこらへんの大学生みたいに思われても(笑)。僕らは恐れ多いです。あと何度か共演させていただいたら言わせてもらいたいよな。でもあれも、何パターンもあるよな……。藤本(敏史)さんなんて「児嶋」って言ってますからね。
──何周も回り過ぎて(笑)。
盛山 そうそう(笑)。「児嶋だよ……いや、合ってるんだよ!」って(笑)。
──今回、児嶋さんは相当やりやすかったとのことですが、ほかの先輩で、自分たちの番組にいてほしいと思う方はいらっしゃいますか?
盛山 先輩でしたら、アンタッチャブルの柴田(英嗣)さん。『ラヴィット!』(TBS)でご一緒させてもらっていて、すごくいい兄ちゃん。兄貴として接してくれるんです。事務所も違うのに何しても許してくれますし。
──リリーさんはいかがですか?
リリー 柴田さん以外ですか?
盛山 しばひで以外や。
リリー 柴田英嗣さんのこと、しばひでさんって言うなや。先輩の名前出すのはちょっと恐れ多いですね。さらば(青春の光)とか、ニューヨークとか、近い期で番組をやるのが夢ですね。もちろんかまいたちさんとかも一緒に仕事していきたいですけど、一個、同期でね。
盛山 毛色変わっていいと思うんですよね。『霜降りミキXIT』(TBS)の真逆みたいなことを。いや、ていうか『霜降りミキXIT』をやりたいです。混ぜてくれへんかな?
リリー 加入?
盛山 加入のかたちでいいです。ちょっとずつ出番を増やしていってくれれば……。バイトやん(笑)。
寂しいけど、メディアはニュー時代突入

──以前『芸人雑誌volume3』(太田出版)の取材では、「自分たちのやりたいことで冠番組を持ちたい」という野望をリリーさんからお聞きしましたが、盛山さんの野望も教えてください。
盛山 バラエティがいいですね。くだらんことを思いっきりやってるような。それこそ大阪で『ろくでなしミトリズ』(大阪チャンネル/GAORA)という番組をやらせてもらってるんですけど、ああいう雰囲気のことをやらせてもらえたら楽しいだろうなと思います。

──トーク番組などではなく、ある程度動きのあるような番組ですね?
盛山 そうですね。くだらんことをしたいです。「塩を作ってみよう」とかなんでもいいんです。みんなが深夜にコソコソ観るような。自分が好きなバラエティってそうだったんで。
──今は、YouTubeやそのほか配信サービスなど、たくさんのメディアが錯綜していますが、個人的には、まだまだテレビが一番大きなメディアという印象です。テレビに出ている人=売れている人という認識が強いです。
盛山 まだまだ世間もそうかなと思うんですけど、そうでもないですか?
──まわりの20代では、テレビを持っていない人もちらほらいます。
盛山 多いですよねぇ……。僕の体感ではまだまだ、テレビに出ている人=売れている人って世間の人は思ってると思ってましたけど……でも、地元のツレおっさんばっかやな。若い人の感覚では違うんか。
リリー 寂しいよな。
盛山 寂しいな。ほんまにニュー時代突入ですね。
見取り図は、完全に『M-1』モード全開


──現状の見取り図さんは、単独ライブも控えていますし、『M-1グランプリ2021』にもエントリーされるなど、漫才の取り組みはもちろん、新しい環境で新しいお仕事もどんどん増えていますよね。プライベートの居住も含め慌ただしい毎日かと思いますが、この忙しい日々で、今一番大変なことはなんですか?(単独ライブは9月16日に終了。取材は9月11日に行った)
盛山 う~ん……移動?(笑)。移動とアンケート……今は特に単独前なんで、ネタ作らんとか。
リリー 一番大変なのは『M-1』決勝に行くことですよね。
盛山 長い目で見ればな。一番難しくて、一番叶えたいことなんで。
──今、ネタを作ったり合わせる時間って……。
盛山 なかなか厳しいですね……。でも、作っていきますし、『見取り図寄席』っていう全国回らせてもらっているライブで新ネタもコソコソやってたんで、作ってはいるんですよ。まだまだブラッシュアップしていきます。完全に『M-1』モードなんで。
──それがお聞きできてうれしいです。さまざまなお仕事が増えるなかで、今の見取り図さんがどこに一番力を入れているのかというところは、ファンの方も気になるところだと思っていました。
盛山 エントリーするまで、ずっとゴニョゴニョ言ってたもんな? 『M-1』について明言してなかったです。
──隠していたわけではなく、おふたりの中ですらも出場自体が確定していなかった?
盛山 でも、去年の『M-1』が終わった瞬間に、次も出るとは思っていました。
リリー 出る出ない以前に、もうまわりに『M-1』の話しかされないんで。
盛山 今は次のフレーズで「家探し」の話をめちゃくちゃされてます。いろんな番組で家探させてもらって、もうほんま、詐欺師みたいになってるんで(笑)。ありがたいですけどね?
──いろんな不動産でさんざん車を走らせてもらって、結局決めない……みたいなことですよね(笑)。
盛山 そうなんです。でもリリーはもう決まったりしてて、『家-1』は落ち着いてきました。だからまた『M-1』のためにやっていきます。







