超特急・松尾太陽、ソロ活動1周年を迎えて考える次のフェーズ

2021.9.8
松尾太陽

文=坂井彩花 撮影=大橋祐希


2020年、ミニアルバム『うたうたい』を引っさげてデビューした松尾太陽が、9月8日に1stアルバムをリリースする。タイトルは、『ものがたり』。Omoinotakeやカメレオン・ライム・ウーピーパイ、OHTORA等を作家陣に招いた色彩豊かな一枚だ。

長髪もバッサリとカットし、心機一転。9月2日にデビュー1周年を迎える彼に、今の胸中を聞くと共に『うたうたい』について語ってもらった。


リアルな自分を見せるフェーズになった

——ずいぶんバッサリと髪を切られましたよね!

松尾 超特急が10周年なので、ツアー(BULLET TRAIN ARENA TOUR 2021 SPRING 『Hoopla!』)に合わせて髪を切ろうと、2021年に入った時点で決めていたんです。それに、今年はソロでの東名阪ツアー(※)やフルアルバムのリリースもあり、大きな一歩を踏める大事な1年。見た目がガラッと変わると、気持ちもスッキリしますしね。

※※9月13日追記:新型コロナウイルス感染症の情勢を鑑み、予定していたツアーの全公演は中止となりました

——9月2日にはソロデビュー1周年を迎えるわけですが、この1年はいかがでしたか。

松尾 僕にとっては、長く感じたかな。仕方のないことですけど、予定していたイベントは中止になったし、表に出せないままフェイドアウトしたワクワクもあった。どうにかしたいけど、どうにもできないので歯がゆかったですね。

——アーティスト一人ひとりの動き方が試されたような年でもありましたよね。

松尾 いろんなアーティストさんが「自粛期間で準備をした」ってお話をしていますけど、2020年上半期の僕は何も準備をできませんでした。今までの人生で、こんなにも活動の隙間が空いたことがなくて、どうやって時間を使ったらいいかわからなかったんです。そのときの後悔があったので、2021年の上半期は黙々と作業をして、新しいものを見出そうと試行錯誤を重ねてきました。“失ったものを取り戻す”みたいな気持ちで動いていた部分はあるかな。新たにパソコンも購入して、制作や勉強も始めています。

——スマホのボイスメモで作詞・作曲をされていた松尾さんが、いよいよDTMをスタートされたんですね。

松尾 今までアナログな作り方しかしてこなかったので、まだまだ慣れないことばかりですけどね(笑)。こういう機材を使って楽曲を世に送り出している方が大多数だから、どんなものか知っておきたいですし、単純にめちゃくちゃ勉強になります。

——“勉強”とは、どのようなことをしているんですか。

松尾 自分がよく聴いている曲や世間でバズっている有名な曲のオマージュを作ったりしています。それによって、限られた音数でどうやってトラックを構築しているのか、どのようなコードの組み合わせで展開しているのかを研究しているんです。ずーっと音楽の自由研究をやってるみたい(笑)。

——EBiDANは、ご自身で制作をされる方も多いから心強いですよね。

松尾 僕より先にDTMを始めていた子もたくさんいますけど、「追い抜いてやろう」って気持ちは正直ありません。自分のスピードで成長できればいいかなって。それで、ある程度の基盤を整えられたら、大きな一歩を踏みたいですね。

——“大きな一歩”ですか。

松尾 クレジットが全部自分名義の作品を作れるくらいになりたいんです。簡単なことじゃないですけど、挑戦することに意義があるかなって。

——TikTokにギターの弾き語りを上げていたのも、挑戦のひとつですか。

松尾 今までは水面下で動くようなことが多かったんですけど、もったいないと思い始めてきたんです。頭の片隅で考えていることとか毎日のように楽器を弾いていることとか、共有をしないと応援してくれる人には伝わらないわけで。何をやっているかわからない人って、どう応援したらいいかわからないじゃないですか。

それだったら、準備段階から全部をオープンにして、少しずつ上がっていく様子を見せられたらいいなって。正直なところ、まだまだ未熟だから曲を作っている自分を見せるのも恥ずかしい。でも、そんな僕も含めて応援してくれるのが、今いてくださるファンのみなさまだと思うので。覚えたものや吸収したもの、これから吸収したいものとか、少しずついろんなSNSを通して伝えていきたいですね。

——YouTubeの更新が減っているのも、作り込んだものを見せていくより、リアルな自分を見せるフェーズになったからだと。

松尾 そうですね。だから、レコーディングの記録も毎回動画で撮っているんですよ。一部始終だけでも「こういうふうにやってるよ」って、みんなに届けられたらいいなと思って。いつどこに出せるか、わからない状況ではあるんですけどね(笑)。Vlogみたいにしたいと思って、動画の編集もがんばってます!

——DTMも動画編集も始めてだと大忙しですね。寝る暇がないんじゃないですか。

松尾 ついつい没頭しちゃうんですよ(笑)。興味がないことって、どれだけのめりこもうとしても集中力がつづかないけど、好きなことだったら眠気だって吹っ飛んじゃう。没頭できている時点で「少なくともハマってるんだな」って思います。今まで趣味という趣味がなかったのですが、ここ最近になって“何かを作ること”が趣味なんだと気づきました。

「みんな物事に決着をつけたがるけど、僕は無理やり終わらせなくてもいいような気がする」


この記事の画像(全4枚)


関連記事

この記事が掲載されているカテゴリ

ライター_坂井彩花

Written by

坂井彩花

(さかい・あやか)1991年、群馬県生まれ。ライター、キュレーター。ライブハウス、楽器屋販売員を経験の後、2017年にフリーランスとして独立。『Rolling Stone Japan Web』『Billboard JAPAN』『Real Sound』などで記事を執筆。エンタテインメントとカルチャーが..

QJWeb今月の執筆陣

酔いどれ燻し銀コラムが話題

お笑い芸人

薄幸(納言)

「金借り」哲学を説くピン芸人

お笑い芸人

岡野陽一

“ラジオ変態”の女子高生

タレント・女優

奥森皐月

ドイツ公共テレビプロデューサー

翻訳・通訳・よろず物書き業

マライ・メントライン

毎日更新「きのうのテレビ」

テレビっ子ライター

てれびのスキマ

7ORDER/FLATLAND

アーティスト・モデル

森⽥美勇⼈

ケモノバカ一代

ライター・書評家

豊崎由美

VTuber記事を連載中

道民ライター

たまごまご

ホフディランのボーカルであり、カレーマニア

ミュージシャン

小宮山雄飛

俳優の魅力に迫る「告白的男優論」

ライター、ノベライザー、映画批評家

相田冬二

お笑い・音楽・ドラマの「感想」連載

ブロガー

かんそう

若手コント職人

お笑い芸人

加賀 翔(かが屋)

『キングオブコント2021』ファイナリスト

お笑い芸人

林田洋平(ザ・マミィ)

2023年に解散予定

"楽器を持たないパンクバンド"

セントチヒロ・チッチ(BiSH)

ドラマやバラエティでも活躍する“げんじぶ”メンバー

ボーカルダンスグループ

長野凌大(原因は自分にある。)

「お笑いクイズランド」連載中

お笑い芸人

仲嶺 巧(三日月マンハッタン)

“永遠に中学生”エビ中メンバー

アイドル

中山莉子(私立恵比寿中学)
ふっとう茶☆そそぐ子ちゃん(ランジャタイ国崎和也)
竹中夏海
でか美ちゃん
藤津亮太