お笑い芸人による音声コンテンツが楽しめるラジオアプリGERA(ゲラ)が2020年4月7日にリリースされて、1年以上が経過した。GERAのプロダクトオーナー恩田貴大が、ラジオ業界の先輩であるニッポン放送エンターテインメント開発部のプロデューサー・石井玄に、GERAの今後と音声コンテンツの未来について相談する対談。
後編の今回は、番組を終わらせないためにファンやパーソナリティを巻き込んでできる取り組みを、石井が過去の経験を振り返りながら解説する。
目次
グッズはパーソナリティ本人たちが愛せないと意味がない
恩田 番組グッズはどうやって作ってますか? 石井さんが企画されているグッズは、ついつい買いたくなるものが多いと思いまして。

石井 グッズは僕、パーソナリティから学んだんですよ。以前、星野源さんが番組(『星野源のオールナイトニッポン』)前に打ち合わせをしている姿を見たことがあって。あとで聞いたら、ひとつのCDの特典を決めるためにじっくり話し合ってた。
オードリーさんも、ライブグッズひとつでも確認に入ってくれるし、スタッフとオードリーさんで話したときも細部まで気にしてくれていたから、みんなこだわってくれるんだなと感じて。この「自分たちが作った」って感覚は、番組にも出るからすごく大事なことなんだよね。
恩田 『オードリーのオールナイトニッポン』のラスタカラーのグッズも、『春日語カレンダー』とかも、番組で話されているものはつい買っちゃいますよね。
石井 ああいうのはご本人たちがおもしろくしてくれてるから、タネだけ渡してる感じだね。
恩田 やっぱりタネはしっかり渡すんですね。
石井 作る段階からパーソナリティにも「グッズを作りたいんです」って話をして、一緒に作っていく。番組スタッフとパーソナリティがおもしろがってくれるものが一番いいから。
恩田 確かにそうですね。
石井 スタッフ主導でグッズが売れたとしても、番組のパーソナリティをやっている本人たちがグッズに興味ないと、特段意味がなくなっちゃう気がして。ただ金儲けをしてるだけっていうか。リスナーが「これ欲しい、おもしろい」って思ったら番組にプラスだし、リスナーもうれしい。みんなが満足できるものを作るために、パーソナリティもリスナーも巻き込んでみんなで作ったほうがいい。
恩田 確かに……。
石井 今はさらに、そのグッズをネット、SNSでどう広げていくかみたいな実験もしてる。
恩田 パーソナリティやリスナーによって、広め方とかグッズの刺さり方も違いますか?
石井 たとえば菅田将暉さんがリスナーと一緒に作ったパーカーであれば、菅田さんも番組(『菅田将暉のオールナイトニッポン』)の中でグッズのよさを話してくれるし、菅田さんが着たらカッコいいから、SNSにその写真を載せるだけでじゅうぶん。リスナーだけじゃなく、ファンの女の子や、菅田さんに憧れている男の子まで買ってくれたりする。最終的に、番組を聴いてるはずのない中国のファンの方も買ってくれて。
でも逆に、佐久間さんのときは微妙だった。普通のおじさんが「これカッコいいでしょ」みたいな感じで着てても、あんまり売れない(笑)。「あー、これいいね」ってちょっと俯瞰で言ってもらったほうがよかったりする。っていうことを、本人に着せて写真撮ってSNSに載せたあとに気づくっていう(笑)。
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