峯田和伸、人生を都合よく表現できる“SNS社会”に問う。「世界と個人の距離が変わってきた」

2021.7.10
峯田和伸

文・編集=佐々木 笑 撮影=松木宏祐


SNSの発展により変化していった、“世界と個人の距離”、“芸能人の神格化”について、銀杏BOYZ・峯田は日々疑問を感じている。

『物語なき、この世界。』という舞台に出演する峯田。このタイトルの意味することはなんなのか。人生という物語は、昨今、どのようなかたちで存在するのか──。

峯田和伸

“物語の創造”を違う目線で見る、三浦大輔の視点

峯田和伸
峯田和伸(みねた・かずのぶ)。1977年生まれ

──『物語なき、この世界。』作・演出の三浦大輔さんの動画コメント内に、<「人ひとりいて人生があれば そこに物語が存在する」ということ自体が 僕は綺麗ごとのように思えて「物語というのはこの世界には存在しない」ということを描いてみようかな>とありました。正直に申し上げると、私にはこの文章の意味を理解することが難しかったです。率直に、どういう意味だろう?と。

僕もわかんない。ただ、日に日にでき上がっていく台本を読んで、三浦さんの伝えたいこともだんだんわかってきたというか。なるほどなぁ、すごい見方だなぁって思うんですよね。

今回、僕が売れないミュージシャン役で、岡田(将生)さんが売れない役者役、ふたりは高校時代の同級生なんだけど、当時はそこまで関わりはなかった。そんなふたりが歌舞伎町でバッタリ会うところから始まるんですけど……いろんな出来事が起きていくんですね。

これを「運命だよね」「俺らすごいよね」となるところを、本当にそうなのか?って。もっといろんな人が関わってて、いろんな見方があって、世界っていうのはもっと高くできてて。そういう、今までの物語の創造を違う目線から見てみよう、という視点があると思います、三浦さんは。

僕、三浦さんのお話が無条件に好きってくらいファンで。何がおもしろいって、三浦さんが作る物語とか会話とかって、一直線じゃない。こんなとき人はこういう動きをする、こういうことをやっちゃうとか、それを今回はまた違う角度で。だから演じててすごいおもしろいですね。本ができるたびにすごいなぁと思います。

峯田和伸

ミュージシャンに、現実なんていらないんですよね

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