蛙亭の下ネタ哲学、「エロ」で人間の哀しみを描き「マイナスの感情からネタを作りたい」



めちゃくちゃキモくて切ない時間

――中野さんが演じるキャラクターは、岩倉さんからはどんなふうに伝えているんですか?

岩倉 しゃべる内容とかは中野さんが考えてくれるので、基本的には「ちょっと大人しい人」とか「すごいしゃべる陽気な人」くらいしか伝えてないです。

中野 あと、昔からよく出てくるのが「無敵のヤツ」。めちゃくちゃダサいのに誰になんと思われてもいいヤツ。ミスを恐れない、無敵のヤツ……そういう人になりたいなって思いますね(笑)。ああいうふうになれたらめっちゃ楽しいんだろうなあって。「ダサい」とかを超越した、1個上のステージに行ってる人ですね。

岩倉 無敵のヤツ、おもれえよな。

中野 そこは、引き出しが増えてきたかもしれない。

岩倉 ふふふ(笑)。

蛙亭・中野
中野周平(なかの・しゅうへい)1990年生まれ、岡山県出身。趣味は絵を描くこと、映画鑑賞、神聖かまってちゃん。単独ライブの際には毎回、自らポスターのイラストを描いている

――「無敵のヤツ」を演じる中野さんの演技も素晴らしいですよね。

中野 ダサい人とかヤバい人の引き出しはいくつかあるんですけど、逆にヤンキーとかイケてる男の役は得意じゃないですね。

岩倉 中野さんに見合った役というか、うだつの上がらなそうな、女性にモテないけど強気みたいな、そういう中野さんの見た目から想像つく人をイメージしてネタは書いてます。

中野 岩倉さんからネタをもらった段階でめちゃくちゃおもしろいんですけど、たまにめっちゃキツい下ネタを僕が言わなきゃいけないときとかは緊張しますね。

岩倉 ははは(笑)。

中野 まあ岩倉さんを信じて言うんですけど。

蛙亭・中野
中野演じる「無敵のヤツ」が登場する、『マッチングアプリ』のコントの1コマ。前髪を伸ばしているアピールをする男性

――中野さんご自身にも、蛙亭さんのネタのようなエロくて哀しい経験があったりするんですか?

中野 どのレベルですか? 僕はなんでもいいんですけど……。

――記事になっても大丈夫なレベルでお願いします。

中野 僕、誰にも負けないくらい早漏なんで、10秒くらいで終わったりするんですよ。だから、行為が終わったあとの「え? 終わったの?」っていう彼女の顔と、そのあとの僕のおどけた返事。これはめっちゃ切ないですよ。

岩倉 なんて返すの?

中野 何事もなかったかのように「普通だけど」みたいな感じで振る舞ったあとに、僕がおもしろ3文字を言うんですよね。

岩倉 なに?

中野 ……「おでん」とか。

岩倉 きめえ(笑)。

中野 そういう、めちゃくちゃキモい時間があるんですよ。あの時間は切ないですね。

悲しい感情をおもしろいネタに変えられたら一番いい

蛙亭インタビュー
コンビそろって「神聖かまってちゃん」のライブに行ったこともあるという

――おふたりとも「神聖かまってちゃん」が好きなんですよね。

岩倉 はい。かまってちゃんの音楽って、哀しい感情とかマイナスの感情を歌ってるけど、がんばろうってなれるんで。

中野 ボーカルのの子さんがまずひとりで曲を作って、バンドメンバーに伝える前にYouTubeに出したりするんですよ、もう初期衝動だけみたいな感じで。音源とかライブもいいんですけど、言いたいこと全部言っててかっこいいなって思いますね。

岩倉 出囃子が「砲の上のあの娘」っていう曲なんですけど、初めて聴いたときに「あんなに悲しい感情をこんなかっこよく歌えるのか」って思って。かっけえ、って思いました。もう「あの悲しい感情をかっこよく歌にできて、みんなに届けたら勝ちやん」って思って。自分もネタ作るんだったら、悲しい感情をおもしろいネタに変えられたら一番いいかなって思います。かまってちゃんはそれをしてるんで、かっこいいと思います。

――確かに、神聖かまってちゃんが歌っている哀しみとか、ある種の暗さみたいなものは、蛙亭さんのネタにも共通する部分があるのかもしれません。

岩倉 だから、これからもマイナスの感情からネタを作っていけたらなと。哀しみとか、切なさとか、暗い感情からネタを作りたいなと思います。

蛙亭インタビュー

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山本大樹

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山本大樹

(やまもと・だいき)編集・ライター。1991年生まれ、埼玉県出身。明治大学大学院にて人文学修士(映像批評)。編集プロダクション勤務を経て、2019年に独立。現在『クイック・ジャパン』外部編集・ライターのほか、『BRUTUS』、『オードリーとオールナイトニッポン』シリーズ、『三四郎のオールナイトニッポ..

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