平子祐希「家庭の柱になるためには、夢であった芸能を捨てて構わないや」真剣愛妻『今日も嫁を口説こうか』

2020.11.14


傷だらけの裸に腰みの一枚で

――本の中では、相方である酒井さんとの出会いにも触れられています。コンビを維持していくのに気をつけていることはありますか?

平子 いや、そこはないっすねえ。相方との関係だって恋愛と同じで、体の相性みたいなところだと思うんで。服脱ぐか脱がないかが違うだけで。一切気は遣ってないですし、遣ってもくれないですし(笑)。

――アルコ&ピースは、ラジオで熱狂的に支持を得ていたり、『勇者ああああ』という番組を持っていたりと、たくさんの若手芸人さんの中でも、若干特殊な立ち位置にいるように見えます。

平子 ジャンルが確立されてないな、というのは本当に自分でも思います。これを悩みとして捉えていいのか、喜んでいいのかもわからない。僕も酒井も特別なところが何もないから、ただただ溺れて手足をばたつかせながら、目の前のものを掴んでいるだけなんですよね。

「相方との関係だって恋愛と同じ」
「相方との関係だって恋愛と同じ」

――『勇者ああああ』は、ライブシーンで活躍する若手芸人の皆さんの姿を楽しめる貴重な場でもあると思います。自分たちがリーダーとなって彼らをフックアップしていこうという意識はどの程度ありますか?

平子 あ、ゼロですね。なーんにも考えてないです。単純に、ゲストのみんなが僕らをナメて肩の力が抜けているから、のびのびやれているっていう。かといって反響がついてくるかというとそうでもないですし……。むしろ気に入らないですよ、何のびのびやってるんだ、緊張しろよって(笑)。

――おふたりは、ある程度戦略的に活動されているのかと思っていました。

平子 いやいや、もがいている様を見ていただいているだけです。ただ、こないだも相方としゃべったんですけど、芸能界で何年も食えている人なんて、バケモノしかいないんですよ。その中で、僕と酒井なんて本当に一般的な人間で。一般枠では一番売れてるよな、って。

――一般枠。

平子 たぶん、トップですね。一般人が芸能界に入った中ではトップ走れてんじゃないのかなって。その面での自画自賛はあります。行く現場行く現場、まわりはガッチガチの鎧の装備のなか、なんの武器もない、腰みの一枚の無課金の状態でやってますから。

「行く現場行く現場、何の武器もない、腰みの一枚で」
「行く現場行く現場、なんの武器もない、腰みの一枚で」

――経験を積んだり、番組を持ったりということでは装備は増えないものですか?

平子 むしろ、経験を積んで判断能力を身につければつけるほど、自分がいかに裸なのかが、頭のてっぺんからつま先まで見渡せるようになるんです。

――幻想の鎧が見えなくなっていく?

平子 そう、どんどん消えていって。芸能界って本当にそういう人間はめったにいないんで、僕らはそのあがきを見せるしかないのかな、って割り切ってます。皆さんがもともとある程度の装備を持ち合わせた上で努力や経験を重ねているなかで、僕らはもう遅いです。

――でも、その状態で芸能界をくぐり抜けてだいぶ経ちましたね。

平子 確かによくやれてるとは思います。毎年、首の皮一枚で「今年もなんとかつながってたね」って。

――今後もそんな状態のまま、大きな野望を秘めたりもせず?

平子 みんなが食べ残した米粒を拾って、首にくっつけて。それでなんとか首の皮が切れてないふりして。ダンボールで鎧作って。肩車して大きい人に見せて。スイミーみたいなもんですよ。それは酒井とふたりで、うなずき合いました。こっから先も、一生傷だらけの体に腰みのなんだろうなって。

「酒井とふたりで、うなずきあいました」
「酒井とふたりで、うなずき合いました」

平子祐希

ひらこ・ゆうき 1978年、福島県生まれ。いくつかのコンビを経て2006年、酒井健太とアルコ&ピースを結成。『THE MANZAI 2011』『THE MANZAI 2012』において2年連続で決勝進出し、一躍有名に。ラジオ番組『アルコ&ピース D.C.GARAGE』(TBSラジオ)が大きな支持を受け、「ラジオスター」と呼ばれることも。レギュラー番組『勇者ああああ〜ゲーム知識ゼロでもなんとなく見られるゲーム番組〜』(テレビ東京)はこの10月より、深夜から土曜22:30〜へと昇格。

『今日も嫁を口説こうか』(扶桑社)。愛妻家として知られる平子祐希(アルコ&ピース)が綴る、妻との出会い、そして結婚14年目の今も変わらず妻と愛し合う秘訣。誰も止める者のいない書籍という媒体で、平子節が炸裂する

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釣木文恵

(つるき・ふみえ)ライター。名古屋出身。演劇、お笑いなどを中心にインタビューやレビューを執筆。

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