早稲田はよしもと、明治は人力舎…? お笑いブームの最先端、“大学お笑いサークル”の魅力を聞く



お笑いサークルはいつからあるのか?

落研の話が出ましたけど、ひと昔前までいわゆる「お笑いサークル」ってなかったんじゃないかと思うんです。だからお笑い志望の人が、落語には興味がなくても落研に入っていた。創価落研出身のナイツやエレキコミックもそうですし、福岡大の落研出身の博多華丸・大吉などですね。

でも、いつのころからか「お笑いサークル」ができた。その始まりにとても興味があるんです。

僕は最近、大学のクイズサークルの歴史を取材していたんですけど、クイズサークルは70年代後半の視聴者参加型クイズ番組ブームと『アメリカ横断ウルトラクイズ』の放送が始まったあたりからでき始めて、番組の人気と共に爆発的に増えたそうなんです。

それでお笑いサークルの場合、僕の勝手な見立てでは『ボキャブラ天国』ブーム(1996年前後~)のころにでき始めて、『M-1グランプリ』で一気に増加したんじゃないかと。わかる範囲で調べてみると、早稲田の「WAGE」(小島よしお、かもめんたるら)が1997年創設で、現存するサークルの中では1998年創設の「LUDO」が歴史が長いのかなと。

落研や早稲田の「寄席研」、同志社の「喜劇研究会」を除いた「お笑いサークル」の中では、「LUDO」と、マヂカルラブリーの村上さんも活躍していた法政の「HOS」(1999年創設)が“老舗”というイメージでした。

同志社大の「喜劇研究会」では、カズレーザー(メイプル超合金)さんと東ブクロ(さらば青春の光)さんがコンビを組んでいたことで有名ですけど、調べてみると俳優の生瀬勝久さんも在籍していたらしいんです。

「喜劇研」が最初からいわゆる「お笑いサークル」色の強いサークルだったのか、あるいは、かつては喜劇=演劇がベースだったのかが気になります。

昔はわからないんですけど、私のころは完全にお笑いサークルでした。関西は個々の大学で活動しているイメージで、大きな大会に出てこなかったんですよ。そもそも東西の交流があまりなかった。だけど、4年くらい前から「喜劇研」が『NOROSHI』に出場し始めました。

全部のコンビがめちゃくちゃウケて、関東の人たちはまったく知らない状態だったので、荒れに荒れたんです。

各サークルから複数のチームがエントリーして、そのうち1チームでも決勝に上がればいいみたいな感じなんですけど、「喜劇研」は数組しかエントリーしてないのに、そのほとんどが上がっちゃう、みたいな。

めちゃくちゃおもしろい! というのも、クイズサークルもまったく同じような歴史があるんです。最初はやっぱり東西の交流がほとんどなくて、関東の大学だけで大学生クイズ王を決める大会(『マン・オブ・ザ・イヤー』)をやっていた。

でもあるときから、京都の立命館と名古屋大が参加し始めると、彼らが上位を独占してしまったんです。東西のライバル意識はあったんですか?

私たち関東側にはそんなになかったんですけど、大阪勢にはあったんじゃないですかね。関東には絶対に負けないっていう。

それもまったく同じだ(笑)。

関東はどちらかというと仲よし感が強いんですけど、「喜劇研」は自分たちのライブで順位をつけて公開したり、けっこうバチバチにやったりしています。「喜劇研」と早稲田の「寄席研」が仲よしなのはそういうところにもあるのかもしれません。

「新しいお笑い」に出会える大学シーン、注目の芸人は?


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