岡崎体育×岸田繁「東京へ引っ越したらヤバい」音楽は生活圏から生まれる

2020.1.17

文=鈴木淳史 撮影=森 好弘


岡崎体育と岸田繁はどちらも、京都府の出身。同郷のふたりには、どんな音楽的な共通点があるのだろうか。そもそも、生まれ育った場所と音楽性にはどんな繋がりがあるのか。そしてなぜ岸田は、デビュー当時に東京に引っ越したのか。

2017年に収録されたインタビューで、ふたりが「音楽と土地」を語り合った。

この記事は、『クイック・ジャパン』vol.132(2017年6月発売)に掲載されたインタビューを転載したものです。


岸田繁から見た岡崎体育とは

――単刀直入ですが、岡崎さんのことをどう評価されましたか?

岸田繁(以下、岸田) 何か、昔から知ってるような顔で、あんまし初めて会った感じもせえへんね。鴨川のやつやったかな?(※ MV『鴨川等間隔』) 多分2年前ぐらいですかね。曲がええなと思いまして。ええと言っても、メロディーがええとか、プロダクションがええとか、ええ曲を語る時っていろんな良さがあるんです。そこで言うと、どれもめちゃくちゃええとは思わなかった。

けども、バランスがちょっと変わってた。その感覚が俺は面白かったんですよ。こういう顔の人がこういう曲を、こういうアレンジでやってるっていうのが。でも、打ち込みとかも細かいこともやってるもんね。おしゃれじゃない細かいこと。意識高い系の打ち込みの人はいるやんか。ああいう人のこだわりと全然ちゃうとこをこだわってるよね。

岡崎体育(以下、体育) 確かにそうですね。

岸田 それがすごいええと思った。ちょっとしたコードのエスプリいうんですかね。ちょっと面白いこと言う時だけ「フワン」みたいになったりとか、音楽のトリックがあるんですよ。そういうのを上手いことやらはるな思て。みんなが笑うドリフみたいなことをやってんなと。ドリフの世代やないと思うけど。

体育 世代ではないですね(笑)。

岸田 名前やキャラが立つようにやってるし。いろんな曲を作ってるけど、俺には音楽を作ってる感じが主軸になってるように聴こえたから。それで結構感動したんです。以上、今日のインタビューは終わりです。

体育 早かった! 小泉首相ばりの言葉をもらいましたけど(笑)。

岸田 「痛みに耐えて、よく頑張った。感動した!」な。

京都と宇治の関係性と音楽への影響

――岸田さんは去年の夏、『岸田日記Ⅱ』(#99)で京都のイメージについて書かれていました。岡崎さんの京都的なイメージというのはいかがですか?

岸田 ないよ。宇治やもん。

体育 いつも僕を虐げはるんですよ! そのブログでも宇治を下に見はるんです。

岸田 別に宇治が嫌いとかやなくて、みんな「京都らしさ」とか「京都的」とか言い過ぎなんです。京都って、市内でもいろいろあるしね。他府県の人が、そういうのを言いすぎるとイラッとする。

俺は京都でも北区という洛外の人間やから、そういうのを知らん人が「京都やねぇ」言ってきたら「そうどすぇ」みたいな。わざと真ん中の人のふりをするねんけど。

――宇治市は京都市の南にありますね。岸田さんは「一般のイメージ上での京都は上京区、中京区、下京区、東山区の洛中だ」と書かれていました。ひとくくりにするなと。

岸田 「京都といえばくるりやな」みたいなことを言われがちやけどな。もちろん、それで得してる部分もあるけど、逆に京都のイメージを歪めてしまった部分もあるし。同級生のコイズってやつが三条で「SIMPO」ってスタジオやってて、そいつが「お前らのせいで、最近の若い学生バンドとかの曲は大体シュワシュワする飲み物飲んで、電車かバスに乗ってどっか行きよんねん」って言われて。

そういうの言われてイヤな気持ちになってる時に、すごい宇治に詳しいわけやないけど、体育君の音楽は大久保や城陽とかの感じが出てると思った(※大久保は宇治市内。城陽市は宇治市の南に隣接している)。あの辺に親戚や友達とか多いけど、なかなかフォーカスされることないやんか。

「京都らしさ」や「京都的」という虚像とは全然違う。京都やけどイズミヤとか近鉄電車とかゲーセンとか、そういう生活の中が見えてくる感じがした。それがかっこいいなと思いました。

体育 基本的に京都の人から宇治は下に見られる。実際、音楽業界でも同じような見え方があると思うんです。「しょせんコミックソングやろ!」みたいな。僕は京都市に住んでる人たちを見る感覚で、メジャーで活躍してるような第一線の人らを斜めに見る傾向があるんで。ヒエラルキーの下から噛みつきにいくスタイルは多分、宇治から生まれた文化であったり、自分なりの発信の仕方かなと思いますね。

岸田 それはええと思います。だから、あなたの曲を聴いていたら優しい気持ちになれるんですよ。俺は感動してるんですけど、なんぼでも褒められるから、悔しい気持ちもあんねんけど。「感情のピクセル」もええなと思いました。

普通に俺、あのジャンル苦手で絶対聴きたくないんですよ。でも、あの曲はめっちゃ好きになりました。もう会う人会う人にあのビデオを観せてる。「うんぱっぱのぶんぶん」とかいう歌詞すらいいんですよね。

幼稚園や小学校の時にいじめとかあって、当たり前のように大人が「みんな仲良くしなさい」とか言うじゃないですか。でも今、大人が同じようなあかんことをしてるけど、みんな気付いているけど気付いていないふりみたいな感じになってる。そこにモノを言う曲ってないなと。それを一番シンプルに言うてる曲ですよね。心洗われました。

音楽スタイルにおける、土地に根を下ろす大切さ


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鈴木淳史

(すずき・あつし)1978年生まれ。兵庫県芦屋市在住。 雑誌ライター・インタビュアー。 ABCラジオ『よなよな・・・なにわ筋カルチャーBOYZ』(毎週木曜夜10時~深夜1時生放送)パーソナリティー兼構成担当。雑誌『Quick Japan』初掲載は、2004年3月発売号の笑い飯インタビュー記事。

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