ジャニーズが牽引するコロナ禍のYouTube。テレビ復権のチャンスは今秋の新サービスか?

2020.5.27
QJWeb「YouTubeトレンド座談会」(6月号)

文=原 航平 編集=田島太陽


無観客ライブ配信やリモート収録の動画、映画や演劇の新作がYouTube上で発表されるなど、このコロナ禍においてYouTubeシーンにも大きな変化があった。千原ジュニア、小籔千豊、フットボールアワーが新しくチャンネルを開設するなど、大物芸能人の参入もいっそう加速しつつある。

そこで今回も、YouTubeとテレビを横断して活躍する放送作家やプロデューサーたち4名に集まってもらい、YouTubeの最新トレンドを語り合う座談会を開催。『エガちゃんねる』『しもふりチューブ』『四千頭身公式チャンネル』など今話題のチャンネル関係者が勢ぞろいし、リモート収録の特性を活かした動画への言及から、“テレビ復権のカギ”となる話題にまで話は及んだ。

取材はZoomによる遠隔で行われた

藤野義明(ふじの・よしあき)/画像左上
1978年生まれ、神奈川県出身。TVやYouTube等のプロデューサー・演出・ディレクター。『エガちゃんねる』(YouTube)のほか、『さまぁ~ず×さまぁ~ず』(テレビ朝日)『あいつ今何してる?』(テレビ朝日)『7.2 新しい別の窓』(AbemaTV)、過去には『『ぷっ』すま』『内村プロデュース』『がんばれ!エガちゃんピン』などを担当。

谷田彰吾(たにだ・しょうご)/画像左下
クロスボーダークリエイター・放送作家。株式会社Wednesday取締役。TVクリエイターギルド 株式会社VVQ代表取締役。テレビでは『プロ野球戦力外通告』『バース・デイ』(共にTBS)。YouTubeでは過去に『中田敦彦のYouTube大学』。現在はWednesday社でMr.都市伝説 関暁夫、上原浩治、よしお兄さん、神田伯山、はなわ、イガリシノブなど、20チャンネル以上をプロデュースする芸能人YouTubeレーベル・DMLを運営
ツイッター:@wednesdayshowgo

白武ときお(しらたけ・ときお)/画像右下
1990年生まれ、京都府出身。放送作家・YouTube作家。『しもふりチューブ』(YouTube)、『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』(日本テレビ)、『霜降り明星のあてみなげ』(静岡朝日テレビ)、『みんなのかが屋』(YouTube)などを担当。
ツイッター:@TOKIOCOM
メール: [email protected]

ダンプ(だんぷ)/画像右上
1996年生まれ、北海道出身。morr株式会社執行役員。コンテンツプロデューサー・放送作家。四千頭身の作家も務める。『四千頭身公式チャンネル』『丸山礼チャンネル』『土佐兄弟の青春チャンネル』、『中川翔子の「ヲ」』などタレント、企業、YouTuberのチャンネルを10以上担当。SNSコンサルやテレビ番組の作家としても活動。
LINE:morishin_3569

勢いが止まらない芸能人のYouTube参入

本日はリモートでの座談会となりますが、お集まりいただきありがとうございます。コロナ禍によって激変するYouTubeシーンについて、今回もYouTubeとテレビの最前線で活躍するみなさんに議論を交わしていただければと思います。

昨年末の『クイック・ジャパン』vol.147での座談会にもご参加いただいた谷田さんに加えて、今回は藤野さんとダンプくんにもお声がけさせていただきました。谷田さんは芸能人YouTubeを20組以上プロデュースしている方で、藤野さんは『エガちゃんねる』のスタッフさんです。

『エガちゃんねる』は藤野さん総指揮の下って感じですよね。大人気チャンネルの裏話、たくさん聞きたいことがあります!

総指揮は江頭さんで、それをサポートさせてもらってる感じですね。よろしくお願いします! おかげさまで『エガちゃんねる』は、4月15日にチャンネル登録者数200万人を突破しました。ただ、これまで出した動画の1/3くらいは広告の審査が通らず収益化されてないんですが(笑)。

(笑)。毎回、広告がつくかつかないか、動画を出す前にGoogleとの攻防戦が繰り広げられるんですよね?

GoogleのAIには、肌の露出が多かったり、危険番組と目をつけられてるからなのか弾かれることが多くて、そこから人力の審査をリクエストして、また落とされたりとか。

最近だと「お尻から粉を飛ばして絵を描いた回」は人力審査でアウトですね。100万回再生いったんですけど、収入は0です。まあそりゃそうか、という感じですが、江頭さんは「何でダメなんだ!」と言ってます(笑)。

バンク尻ー/BANKSIRY

江頭さん(笑)。そこが『エガちゃんねる』の魅力でもあるけど。

その攻防も楽しみながらやってますけどね。ダンプくんははじめましてなんだけど、YouTube界のドンか何かなの?(笑)

いや、そんなすごいあれではないです……。

ワタナベエンターテイメントの養成所出身で、今は四千頭身とか有名YouTuberの企画・プロデュースをやってるんだよね?

そうですね。テレビやYouTubeに限らずいろんなコンテンツのコンサルとかをやらせてもらってます。

新世代って感じがして頼もしいね。

それではさっそく、3月〜5月のYouTube関連トピックについてお話を聞いていきたいと思います。もともと芸能人のYouTube参入はここ数カ月で大きく増えてきている印象でしたが、やはりこのコロナの影響でその勢いは加速していますか?

圧倒的に加速しましたよね。テレビの収録ができない、営業やイベントがないっていう今の状況だと、タレントさんも暇を持て余す状況になったので、切り替えてYouTubeを始める人が多かったと思います。

今までの流れだと、カジサックさんや(オリラジエンタルラジオ)中田さんの影響で芸人さんが次々参入してきて、そのあと川口春奈さんのような女優さんも入ってきた。次の流れでいうと、今後は歌手やアーティストさんも参入してくるんじゃないかと思ってます。

コロナの影響をもろに受けてしまった職業のひとつですね。ツアーやライブがなくなってしまったから、ファンに向けてもその代わりというか。もともと始めたいと考えてたけど尻込みしてた人も、飛び込んでみるいい理由づけにはなりましたよね。

やっぱりまだ、タレントさんがYouTubeを始めるのは勇気がいる。数字もハッキリ出ますし。大物タレントさんを中心に様子見してた人も多かったなかで、コロナがやって来た。何もできない状況が強制的に勢いを加速させてくれた部分はあると思いますね。その最たる例が、実はジャニーズじゃないかと思っていて……。

コロナ禍が変えたジャニーズのネットへのスタンス

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原 航平

(はら・こうへい)ライター/編集者。1995年生まれ、兵庫県出身。映画好き。『リアルサウンド』『クイック・ジャパン』『キネマ旬報』『芸人雑誌』『メンズノンノ』などで、映画やドラマ、お笑いの記事を執筆。 縞馬は青い

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