武知海青(THE RAMPAGE)プロレス第2戦直前!先輩レスラー上野勇希&MAOが語るデビュー戦の裏側

2024.9.28

協力=DDTプロレスリング

文・編集=竹田磨央 撮影=いわなびとん 編集=田島太陽


9月29日、武知海青(THE RAMPAGE)のプロレス第2戦にあたり、タッグパートナーを務めるのがDDTプロレスリング所属の上野勇希とMAOだ。人気ユニットThe37KAMIINA(サウナカミーナ)のメンバーで、今のDDTを牽引するふたりに、プロレスラー武知海青について、さらにはLDHのファンや今のDDTへの想いなど、ゆるく熱く語ってもらった。

『Quick japan Presents DDT Special Guidebook 2024』

「武知海青って変な子だよね〜」2.25デビュー戦のウラ話

上野勇希(うえの・ゆうき)1995年、大阪府生まれ。2016年デビュー。近年では俳優としても活動している。
MAO(まお)1997年、宮城県生まれ。2015年デビュー。ハードコアバンド「Dos Quatro」のベーシストとして音楽活動もおこなっている。
MAO(まお)1997年、宮城県生まれ。2015年デビュー。ハードコアバンド「Dos Quatro」のベーシストとして音楽活動もおこなっている。

MAO 武知海青って変な子だよね〜。

上野 変な子よな〜。ほんまに変な子。デビュー戦のときも「緊張します!」って言いながらニヤニヤしてたし。

MAO ずーっとニヤニヤしてたね(笑)。

上野 別にそれも否定はしないですけど。

MAO そんな我々に言われるくらい変なやつなんですよ。

MAO上野 『スポ男』またやんの!?

上野 パフォーマー界の室伏広治だ。強すぎて、そのうち出禁になるんじゃないの(笑)。

MAO 前回放送時は煽り番組から見てたんですけど、つくづく「武知海青はいいプロレスラーだな〜」と思いましたね。プロレスラーという肩書き背負って運動神経が一番いいところをバーンと見せつけてくれて。「やっぱプロレスラーすげえ!」って思っちゃったもんね。俺もレスラーなのに(笑)。

MAO いや〜実は心配してたよね。

上野 興行自体がいつもと勝手の違う部分もあって、何が起こるかわからない状態だった。

MAO まず、武知海青のファンの人たちは、第1試合から来てくれないんじゃないかと思ってたし、海青が出てくるまで座席でずっとこんな感じ(足を組んでスマホをいじるジェスチャー)だったらどうしようとか

上野 実際にボクシングやほかの格闘技だと、目当ての選手だけ見て帰る人は普通にいるからね。心配はしたけど、最終的に僕らができることはプロレスしかないからって開き直りつつ……でもやっぱり心配で。

MAO 大会が始まる前にいつもサイン会やってるんですけど、この日は異様な雰囲気で。僕がファンにサインをしているのを、初めて後楽園ホールに来たであろう海青のファンたちが遠巻きに見ててさ。「あの人サインしてるけど誰なんだろう……」的な視線を感じて、なんか怖くて(笑)。

上野 ちっちゃいライオン持ってる子たちね。

上野 そうそう、がおね。

MAO いろいろと心配で、第1試合の様子を見に行っちゃったもんね。そしたら、思いのほか盛り上がってたんだよ。客席も満杯だったし。

上野 超満員の後楽園ホールはテンション上がりましたね。正直、プロレスをちゃんと見てくれるのかどうかもわからなかったから、第1試合から見てくれてる! と思ってうれしかった。

MAO この界隈めちゃめちゃ民度高いぞ! と思ったよね。

上野 みんなのエンタメを吸収しようとする能力の高さに驚きました。

MAO ドン引きさせようと思っていたのは、本当の話で。あえて場外乱闘して、目の前で殴り合いしてやろうと決めてた。でも大誤算だったのは、LDHのファンは熱い殴り合いが好きだったということ。よくよく考えたら『HiGH&LOW』というすばらしい映画がありますからね……。ドン引くどころかめっちゃ盛り上がって応援してくれて、本当にうれしかったな。

上野 試合から帰ってきて控室のドアをバーンと開けた瞬間に「武知ギャルズにモテてきたぜー!」って叫んでたもんな。

MAO そうそう。あの瞬間生まれたの「武知ギャルズ」というワードは。

上野 今の“チーム”のイントネーション、めっちゃ『HiGH&LOW』ぽかったな。

MAO (笑)

上野 そう! LDHっぽい!(笑)

上野 そうでした。MAOさんの試合が大盛り上がりしたあとだし、海青の出番をみんな待ってたわけだから、会場のテンションは最高潮だった。試合が始まると、海青の一挙手一投足にキャー!キャー! ってものすごい声が上がって。

MAO ひとつ下の階が控室なんだけど、すさまじい歓声が聞こえるから最初は隣の東京ドームにK-POPの人でも来てるんじゃないかって話してた。でも「違う! これ上の声だ!?」ってなって。マジで地鳴りしてたよね。

上野 してた、してた。

MAO あんな歓声は今まで聞いたことなかった。

上野 プロレスのお客さんとは、声の出し方の質が違うんですよね。その声を聞いたら、楽しんでくれているんだなと伝わってきた。お客さんたちが、ただ海青しか見てない感じだったら、「なんやねん! ドン引かせてやろうか!」とマイナスのモチベーションになった可能性もあるけど、そうじゃなくて、ちゃんと試合自体を前のめりになって見てくれているのがわかったから、僕も自然とテンションが上がりました。だから気持ちよかったですね。

MAO でも、海青が逆エビ固めを決められてるときの、ファンのリアクションはおもしろかったよね。上野・勝俣(瞬馬)のサウナお兄さんチームは、あえて海青を助けなかったんですよ。そしたら「なんで助けないのよー!」って声が(笑)。

上野 わはは。あえてですからね! あえて!

あえて助けなかった逆エビ固め(写真提供:DDT)
あえて助けなかった逆エビ固め(写真提供:DDT)

「ここまで相性がいいと思わなかった」LDHとプロレスの邂逅

上野 そうなんです。会場にもめっちゃ来てくれるんですよ。

MAO 地方興行にも武知ギャルズがいっぱいいて。5月にTHE RAMPAGEが宮城のセキスイハイムスーパーアリーナで公演をしていて、偶然DDTも宮城大会があったんだけど、なぜかこっちに来てるTHE RAMPAGEファンもいて。ライオンつけたファンに「こっち来ちゃいました!」なんて言われたから、「あっち行けよ!」って(笑)。

MAO “がお”をぶら下げながら来ちゃってさ。

上野 あと、LDHファンでDDTも好きになってくれた子たちは、WRESTLE UNIVERSE(※DDTの試合を見ることができる動画配信サービス)をめちゃくちゃ堪能してくれてる。サイン会に来て「昔のあの試合見ました!」と報告してくれるんですよ。僕が忘れてるくらいの試合も見ていて、すごい。

MAO めっちゃディグる気質があるよね。バックボーンを追いかけるのが好きなのかもしれないし、だとしたらプロレスとも相性がいいはずだと思います。

MAO プロレスはやっぱりお客さんと一体感を作ってなんぼだというところがあるので、そこはLDHのライブエンタテインメントにも通じる部分かもしれないですね。何かの記事で読んだんだけど、LDHは昔と今だと客層がかなり変わったらしい。昔はマイルドヤンキーと呼ばれるような層が多かったけど、今は『HiGH&LOW』みたいなものが好きで、メンバー同士の人間関係を含めて楽しむファンが大勢いると。

そう考えると今のLDHとDDTだからこそ、こんなに盛り上がることができたのかなと思いますね。時代の流れというか、タイミングというか。正直、ここまで相性がいいとは思わなかったし、意外だったけど。

上野 僕はこの相性のよさがなぜなのか、いっぱい考えた結果「プロレスはおもろいんだ」というところに還りました。やっぱりプロレスっておもろいよなって。あとはもう、海青ががんばったから。プロレスのリングは人がこんなにがんばれる場所なんだ、がんばってる人を見られる場所なんだってことを、海青がファンや世間に伝えてくれたことがめちゃくちゃでかいと思います。

MAO これで海青がしょぼかったら本末転倒だし、ファンもプロレスを見続けようとは思ってくれなかったと思う。本当にね、海青はめちゃめちゃすごかったのよ。

先輩レスラーから見たプロレスラー武知海青の真価

(写真提供:DDT)
(写真提供:DDT)

MAO 僕は映像でしか見てないけど、入場シーンでだいぶ引き込まれましたね。あの豪華なガウンを着負けしないってすごいよ。ガウンに負けない雰囲気がちゃんとある。それって、彼がLDHで培ってきたものだし、最初からプロレスラーとして突出したものを持っているということだから。

上野 たくさんのステージに立ってきた人間だから、「今から人前に立つ」という意識に入り込む力が違う。これはやっぱり、若手選手には持てない部分です。本当に入場ゲートを出た瞬間から、雰囲気が仕上がってたよね。

MAO 正直あの入場だけで何人か追い抜いちまったんじゃないかっていう……。

上野 あと、僕が思う海青のいいところは、悔しいとか痛いとか怖いとか、試合中の感情が顔や体にちゃんと直結していて、素直に表現できるところ。やっぱり悔しさとか怖さって、隠そうとしちゃうものなんですよ。僕は若手に「悔しいならその悔しさをちゃんと出さなきゃ」って言うんですけど、これがけっこう難しい。海青はちゃんと感情を滲ませることができるし、そこが一番すごいところだと思います。

MAO ちゃんと闘志があって、それをしっかり表現できるのがいい。多分すごい負けず嫌いでしょ、あの子。

上野 そうだね。

MAO 芸能人がデビューするときって大概分かりやすくプロレスラーぽい振る舞いをしたり、キャラクターを乗せたりするんだけど、海青にはそれが必要なくて、最初からプロレスラーだった。そういうところもさすがだなと思いました。

第2戦目の見どころ「空気の読めない相手です」

上野 タッグパートナーとしては、思いっきりやってくれたら、僕らは海青を引っ張るし、合わせることもできるし問題ないんです。ただね、心配なのは2戦目だってこと。

MAO そうそう。2戦目って、実は難しいんだよね。

上野 1戦目はナメられないようにしようね、というのがあった。パフォーマーだからとか、芸能人だからってナメられないように、プロレスラーとしてちゃんとリングに立とうというのが目標だったし、結果的に僕たちの予想以上のものが出せた。ベスト中のベストだったと思います。でもそうなると、次はチームとしても1戦目を超えなくちゃいけない。

MAO 2戦目はご祝儀がないからね。デビュー戦はだいたい盛り上がるんですよ。お客さんも優しい目で見てくれるし、がんばってりゃそれでいい。じゃあ次はどうするのか。この遥かに上がりきった期待値を、どうしてくれんだっていうね。そう考えると、2戦目のほうが緊張するかもね。でもそこは、我々の阿吽の呼吸とキャリアでカバーしますので。サウナお兄さんたちはこういうの本当に得意なんでね! 特に僕は調和・共存の人間ですから。

上野 まかせてください!

上野 チーム力でいったら、僕らもThe37KAMIINAとしてやっていますから負けないと思います。ただ、今回やっぱりクリス・ブルックスがいるのがヤバい! でも、これがいい!

MAO こういうときのクリスが一番怖い! もしかしたらクリスは武知海青のことをゆるキャラの類と思ってる可能性もあるし。

上野 かわいいからね。

MAO クリスの“ゆるキャラぶっ殺リスト”に入ってるんじゃないかっていう(笑)。危惧しているのはそこです。気が使えないんで、クリスは。さすがに2戦目の相手を頭から落とすのはちょっと……とか、考えないので。

上野 でも2戦目の相手としては相応しいと思う。海青に対して上がりきった期待を超える瞬間があるとしたら、それはクリスと対峙したときでしょうね。あとは正田も頼むよって感じです。1戦目の対戦から見ている僕としては、「ここで正田がいかなアカンよ」と。ここは先輩として思うところですね。

上野 僕は「人間」だと思ってます。プロレスと出会う前の僕は、世の中には必ず“正解”があるんじゃないかと思っていたんです。何をするのにも正解があって、たとえば「おはよう」の言い方にすらベストがあるんじゃないかって。誰かと食事に行っても「あの言動はどうだったかな」とか、会話にも正解があったんじゃないかとか、そういうことを考えるタイプでした。

でもプロレスって、リング上に起こることに正解がないというか、これが正しいとか間違っているとかがないんですよ。勝つか負けるか、お客さんが楽しんでくれているかどうか、ただそんなことのためだけに闘ってる。そんな人間たちを見ていると、いろんなことが何でもいいんだなって思えてくる。“正しさ”みたいなものを意識しなくても、見る人は何かを感じ取ってくれる。“人間味”と言い換えることもできるかもしれない。

プロレスって人間の中身が見えちゃうんですよ。それは闘っているレスラーだけじゃなくて、見ているお客さんも自分の中に“人間”を見る瞬間があると思います。だからプロレスは人間だなって。

MAO 僕は生身の人間による究極のエンタテインメントだと思ってます。今後AIがいろんなエンタメに参入してくると思うけど、プロレスだけは絶対にどの部分を取っても入り込めない。生身の人間と人間がぶつかって、汗かいて、ときに血を流すからこそ生まれる熱量というものは、今後どんなにAIやテクノロジーが発展しても再現できないと思う。唯一無二のものだと思います。

アニメなんかとも違って、最終回が決まっていない。プロレスって終わることがないんで。ライブとも違って、同じセットリストも存在しない。見に行くたびに違うものしか与えられないし、同じものは2度と見られない。そう考えると、やっぱり生身による究極のエンタテインメントなんだろうなと思いますね。


『Quick japan Presents DDT Special Guidebook 2024』

武知海青(THE RAMPAGE)を表紙に、コスチューム姿の撮り下ろし写真を多数掲載したスペシャルブック。デビュー戦を振り返りながら、メンバーとのエピソードや憧れのレスラーについて熱く語るロングインタビューも実施している。

さらに、武知海青デビュー戦でゲスト解説を務めた松井利樹(BALLISTIK BOYZ)の対談企画、DDT所属選手の撮り下ろしインタビューも掲載。

「QJストア」のほかに、9月29日(日)に開催される『DRAMATIC INFINITY 2024 ~3時間スペシャル~』の会場と「DDT ONLINE STORE」で販売。それぞれ違う特典(武知海青の撮り下ろし写真を使用したミニカードなど)がセットとなっている。

「QJストア」ではサイン(プリント)入りポストカードがセット。

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QJストア特典ポストカード
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タイトル:『Quick japan Presents DDT Special Guidebook 2024』
仕様:A4判/並製/フルカラー/40ページ(本文36ページ)
価格:2,000円(税込)
発売日:2024年9月29日(日)
販売:DDTイベント会場/DDT ONLINE STORE/QJストア
特典:会場販売:B8サイズカードA
   DDT ONLINE STORE:B8サイズカードB
   QJストア:サイン(プリント)付きポストカード
   ※いずれも武知海青の撮り下ろし写真を使用


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竹田磨央

(たけだ・まお)編集者・ライター。株式会社ハガツサ所属。編集担当書籍に『HiGH&LOW THE FAN BOOK』(サイゾー)など。『日刊サイゾー』『TVfan』『Forbes JAPAN』等で編集・執筆を担当。https://takedama.edire.co/

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