PSYCHIC FEVER、海外での経験を重ねて作り上げたライブスタイル「その国ごとのカルチャーを学ぶのはすごく大事」

2024.11.11
PSYCHIC FEVER

文=新 亜希子 撮影=菅原麻里 編集=梅山織愛


デビュー直後から活動の拠点をタイへと移し、半年間「武者修行」を行っていたPSYCHIC FEVER(サイキックフィーバー)。今、世界で急拡大している“T-POP”(=タイポップス)の熱を肌で感じた彼らの活動も、現在、東南アジア諸国やヨーロッパ、そして来年にはUSツアーが決定するなど世界へと広がっている。

デビュー当初から掲げている「世界に通用するグローバルアーティスト」という目標に着実に近づいている彼らの歩みを、T-POPの動向を注視している『Quick Japan』も注目。

タイのプロデューサー・NINOが手がけた新曲「TALK TO ME NICE feat .TAMP」(11月4日リリース)の話やこれまでの活動について、さらに彼らから見たT-POPシーンについて話を聞いた。

PSYCHIC FEVER
(サイキックフィーバー)2019年に結成し、2022年7月にデビューした7人組グループ。同年9月から約半年間、活動拠点をタイに移して武者修行を行い、日本はもちろん世界に通用するグローバルアーティストを目指し、“ビルボードチャートグローバル1位”の目標を実現するべく、挑戦を続けている

新たな表現に挑戦した新曲

「TALK TO ME NICE feat. TAMP」

JIMMY 実は、NINOさんが「BEE-PO」や「Love Fire」の制作で日本に来ていたタイミングで作った曲なので、僕らはゼロの状態から作っているんです。初めて聞いたとき、「TALK TO ME NICE」という言葉がすごく耳に残ったし、お客さんもそうなんじゃないかと思います。

中西椋雅(以下、中西)   たくさんのフェスやイベントに出させていただくなかで、僕たちのことを知らない方も楽しめるような楽曲を作りたい思いがありました。ご一緒したTAMPさんはさまざまな言語が話せる方で、一緒に制作もして、お互いの強みを出し合うことができたと思いますし、新しいPSYCHIC FEVERをお見せできたらいいなと思っています。

渡邉廉(以下、渡邉)   僕は、けっこうああいう表現が得意なんですよ。

 僕も得意ですけどね。

一同 (笑)

半田龍臣(以下、半田)   たしかに(剣は)一発合格だった。

 「俺がやらな、誰がやる」の気持ちで、最初に撮りました(笑)。ダンスは僕たちの武器なので、それによって楽曲を表現するのは難しいことではないんですが、監督から「叫ぶ」という案が出たときは、戸惑ったところはあります。でも「叫び」は、気持ちの昂ぶりを表す最大の表現方法だと思うし、それを全員がMVで出しきることができました。

渡邉 振り付けも勢いがあってスピーディで、見ているだけで汗をかくくらい、熱さが伝わる作品になっています。

JIMMY 監督も新しくご一緒する方でしたし、振り付けは、椋雅くんのアイデアでJunna Yagiさんにお願いしました。「Just Like Dat feat. JP THE WAVY」も経て、グループのイメージが固まってきた時期だからこその新たなトライになったし、USツアーも決まって、本当にいいタイミングでリリースできることがうれしいです。ファンのみなさんは「リリースするまで長くない?」と思っているかもしれないですけど(笑)。

ライブでの反応が今の僕たちを形成している

PSYCHIC FEVER
左から、JIMMY(ジミー/2000年2月26日生まれ、愛知県出身)、小波津志(こはつ・こころ/2000年11月9日生まれ、沖縄県出身)、中西椋雅(なかにし・りょうが/1998年6月8日生まれ、兵庫県出身)

中西 僕らはどこに行くにも、緊張よりもうれしさが勝ちます。『Japan Expo Paris 2024』には、フランスだけじゃなくヨーロッパのいろいろな国の方が来ていて、初めて僕たちを観る方がたくさんいらっしゃいましたし、僕たちも初めて観ていただくし、お互いに勢いがあるからこそすごくいいライブができたと思っています。

小波津志(以下、小波津) 僕らがデビューして、タイで初めて出たイベントが『バンコク日本博』だったので、テーマソングを歌わせていただいたことはすごくうれしかったです。NuNewさんとは以前にも一度、お会いしたことがあって、レコーディングで久しぶりにお会いしました。印象は変わらず、本当に優しい方で……。とてもきれいで、かわいらしさもあって、歌うと溶けるような優しい声で。どういうふうにNuNewさんとかけ合おうかを、ひたすらずっと考えていたレコーディングでした。短い時間だったんですけど、すごく内容が濃くて。合間には日本語とタイ語を教え合ったりして、とても素敵な方だなと改めて思いましたし、ご一緒できたことは本当にいい思い出になりました。

半田 『サマソニ』は、日本でもずっと出たかったフェスだったので、まさかタイで初めて開催される『サマソニ』に、初日のトップバッターとして出るなんて……。緊張していたんですけど、いろんな国のアーティストが集まったフェスに出て、たくさんのパフォーマンスを見せていただいて、すごく勉強になりましたし、楽しかったです。なんだか、初心を思い出したような気持ちです。

JIMMY 以前はバンコクの方と、日本から来てくださる方が多かったんですが、いろいろな場所から来てくださる方が増えたなって感じます。今回のバンコク公演はツアーの集大成でもあったので、チェンマイから来てくださった方や、中国から来てくださった方もいました。僕たちも、初めて会う方がたくさんいらっしゃるとすごく楽しいし、その人たちの反応でセットリストを変えたりして、挑戦しがいがあります。毎回のライブが刺激になるなって感じです。

WEESA 最初のころは、なかなか曲を聴いてくれる人が増えなくて悩んだこともありましたけど、聴いてくれる人が急に増えたというよりは、毎週のようにイベントに出て、そこでいろんなものを感じて、何時間も話し合って試行錯誤して、今の僕たちが形成されていったんじゃないかなって思います。数を重ねるたびにお客さんが一緒に歌ってくれたり、踊ってくれたりするようになりました。

PSYCHIC FEVER
左から、WEESA(イーサ/2004年2月26日生まれ、愛知県出身)、渡邉廉(わたなべ・れん/2000年2月8日生まれ、神奈川県出身)、(つるぎ/1997年4月9日生まれ、兵庫県出身)、半田龍臣(はんだ・りゅうしん/2001年12月1日生まれ、神奈川県出身)

JIMMY 「Choose One」や「BAKU BAKU」はリードソングということもあって、知ってくださっている方も多かったんですけど、「Spark It Up」が意外でした。次のアルバムの移行時期でもあって、ちょっとずつセトリ落ちするかなと思っていたころに、タイでめちゃめちゃウケがよくて。で、ガンガンやりましたね(笑)。

「Spark It Up」

 チャンスがあればこじ開ける(笑)。

JIMMY タイのみなさんのおかげで「Spark It Up」が息を吹き返すという(笑)。あの曲には、めちゃめちゃ助けられました。

WEESA ラテンっぽい感じが合ってたのかな? 暑い国だからか、ノりやすい曲が人気な感じがする。

JIMMY タイではノリやすい曲がウケると、情報としては聞いていたんですよ。とはいえまさか……と思ったら、ちゃんとウケた。学んでおいてよかったです。その国のことやカルチャーを学ぶのって、やっぱりすごく大事だと思いました

一同 あります!

JIMMY イベントに出たときには、観たいアーティストはもちろん、新しいアーティストがいないかを観に行きます。『サマソニ』だと、BODYSLAMさんのときに、WEESAと一緒に最前までブァーって行きました。レジェンドバンドですし、パフォーマンス力と一体感がすごすぎて、衝撃を受けて。ステージ上にいる全員がかっこいいし、裏でもすごくナイスな方たちで、リスペクトしています。

半田 僕は、やっぱりF.HEROさんのヒーロー感みたいなものに圧倒されます。ステージに出た瞬間、空気が変わるんです。来た!って、自然と声が出ちゃう。また一緒に、ステージに立たせていただきたいなと、より感じました。

タイでのスタートは間違いじゃなかった

PSYCHIC FEVER

 武者修行に行った2022年は、PSYCHIC FEVERに化学反応を起こせる要素がとにかく欲しかった時期でした。T-POPがこれからさらに来るんだろうなという規模や熱もすごく感じていましたし、実際に行ってみたらもう、ワクワクしかなくて。フェスもどこも満員で、めちゃくちゃ盛り上がっていて、至るところで音楽をやっていて……想像していたとおりの熱で。やっぱり現地に行かないとわからないことってあるんですよね。こう作って、ここで熱が生まれて、それがどういうかたちで広がっていくのかを実際に見て、可能性と熱を感じました

中西 僕たちはデビューして1カ月後ぐらいにタイに行ったので、ある意味、そこが本当のスタートなんです。僕たちだけの初めてのイベントやライブを海外でできたことは、僕たちの強みになったと思っています。反応がめちゃくちゃリアルなんですよ。盛り上がる曲はめちゃくちゃ盛り上がるけど、そうじゃないときもはっきりしている。それを受けて、音源の尺を変えたり、リミックスしたりして、「ライブだからこそ聞けるバージョンがある」ことが、PSYCHIC FEVERのスタイルになったし、魅力にもつながったと思います。

小波津   タイの音楽って、幅広いですよね。ヒップホップもあれば、昔の日本を感じるような楽曲もあるし、バンドもある。幅広い音楽が身近にある場所であることは間違いないので、最初に行った国がタイであったこと、東南アジアのマーケットからスタートしたことは、間違いではなかったと感じています。

JIMMY タイで2年目となる『Rolling Loud』も11月に行われますし、MILLIさんやSPRITEのような若いラッパーもいて、ヒップホップはますます注目されていくのかなと感じてます。僕もタイに行く前から、タイのラッパーは知っていたんですよね。「SHIBUYA」って曲を出しているYOUNGGUやYOUNGOHMの曲を、WEESAや廉とかラップが好きなメンバーに共有して、やばいね!とか言ってて。

渡邉 その一方で、チルな曲もすごくいいんですよね。ファンの方と一緒に歌って、音楽の力で人の心を動かしていて、すごいなと改めて思います。

小波津 うん。あと、タイのバラードやR&B楽曲って、本当にすごくいいんですよ。僕も、歌詞の意味を知りたくてタイ語を勉強し始めたんですけど、やっぱり好きなのは、Jeff SaturさんとNont Tanontさん。Jeffさんは、椋雅くんと一緒にライブを観に行かせていただいて、すごく感銘を受けました。『BIG MOUNTAIN MUSIC FESTIVAL』のときにごあいさつをさせていただいたんですけど、もっともっと自分たちのレベルを上げて、いつか並んでステージに立てたら最高です。

 もちろんです。僕たちは、世界がホームだという感覚でいます。そのためにも、PSYCHIC FEVERの輪を広げていけるようにがんばっていきます。

世界をホームに。今は2.5合目

PSYCHIC FEVER

中西 セットリストやロゴも決まっていますし、大枠は決まってきました。

JIMMY リサーチしていると、「Just Like Dat feat. JP THE WAVY」のほかに、意外と「BEE-PO」が人気みたいで。プロモーションでロサンゼルスに行かせていただいたときには「Love Fire」が人気だったし、NINOさんと一緒に作った楽曲の人気が高いんです。「Love Fire」を、アメリカの方が日本語で歌ってくれているのにはすごくびっくりしました。

半田 リリースしてすぐに広まったわけじゃないし、海外からという感じでしたね。それも、ファンのみなさんの拡散によってという感覚です。

中西 どこか懐かしさのある2000年代風のサウンドで、ダンスもまねしやすく、幅広い世代の方が聞きやすい……いろいろな要素がつながったんだと思います。

剣 僕らの突破口になりました。「『Just Like Dat feat. JP THE WAVY』を聴きました」って言われてフランスに行ったときも、「パフォーマンスしてください」って言われたのは「BEE-PO」だったり(笑)。僕たちに興味を持ってくださるきっかけになった曲だと思います。

半田 扉を開いてくれる曲

 フェスで歌うとすごく喜んでくださる方もいますし、ファッションも2000年代を意識したので、 パフォーマンスするときに緑のスタジャンを着るとすごく喜んでいただけるんですよ。エンタテインメントとして楽しんでいただいてるなと感じました。自分で見ても、あのジャケ写いいなって思いますからね(笑)。

「Just Like Dat feat. JP THE WAVY」

小波津 それはないかもしれません。結成当初から夢見ていたグローバルでの活動を通して、今はただ、僕たちの楽曲を聴いてくださるみなさん、応援してくださるみなさんに音楽を届けたいと思っています。

WEESA え…ひゃく…10中ですか?

渡邉 (笑)。100でもいいよ、10のほうがわかりやすいかな?

WEESA 10だと…2とかじゃないですか?

中西 わかる。俺も!

半田 うん、5は行ってない。

WEESA いや、やっぱり2.5にします。スペインに行くこととか、いろいろ決まっていることを考えると、2.5あたり。USツアーを完走したら、4。で、その過程でもしももっと曲を聴いていただけることがあれば、5になるかもしれない。感覚的な話ですけどね。ただ、10になることはないと思います。

中西 10になったら終わりよな。終わっちゃうし。

WEESA 完成することはないと思うので。

 うん。2.5、いいと思います!

「TALK TO ME NICE feat .TAMP」
2024年11月4日(月)リリース
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新 亜希子

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新 亜希子

(しん・あきこ)エンタメ系ライター。音楽・アイドル・映画を中心に、インタビューやレポート、コラムやレビューを執筆。『シネマトゥデイ』『リアルサウンド』『日経エンタテインメント!』ほか。

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