『M-1』新王者・令和ロマン「ネタをやる環境としてよくないからこそ…」。メイクも変えた優勝への戦術

2024.1.20
令和ロマン

文=浜瀬将樹 撮影=長野竜成 編集=梅山織愛


2023年、結成6年目で『M-1グランプリ』を制した令和ロマン。

1stラウンドでは不利といわれるトップバッターとなったが、観客を引き込む漫才で高得点を叩き出し、最終決戦に進出。そして、2本目では「爆笑が、爆発する。」の大会キャッチコピーにふさわしい“爆発”を起こして19代目の王者となった。

そんなふたりの優勝の裏には、“実力”や“運”だけでなく、徹底的に『M-1』を分析した上での“戦術”があった。審査員や客席だけでなく、テレビ映りまで意識した令和ロマンの『M-1』対策とは。

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髙比良くるま(たかひら・くるま/1994年9月3日生まれ、東京都出身)と松井ケムリ(まつい・けむり/1993年5月29日生まれ、神奈川県出身)によるコンビ。慶應義塾大学のお笑いサークル「お笑い道場O-keis」で出会い、コンビを結成。7回目の挑戦となる『M-1グランプリ2023』で優勝


“ツレ”との仕事以外は『M-1』のために

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髙比良くるま(以下、くるま) 正月公演でひととおり劇場を回れたんですけど、みんながすげぇうれしそうに拍手してくれるんですよ。「よかったな」と思いました。神保町よしもと漫才劇場も、ルミネtheよしもともそうですけど、なにより大阪ですよね。大阪は全然違うなと思いました(笑)。『M-1』の視聴率も、大阪だけまったく違うじゃないですか。

「俺ら大阪出身だっけ?」と思うくらい「おかえりー!」って、凱旋みたいな扱いになっているし、ちょっと道を歩けば「チャンピオンおめでとう!」「がんばってね!」と声をかけてもらえるし……。もう“寅さん”みたいな感じでしたね。なに?あの時間(笑)。あの街はやっぱりおもしろい。お笑い好きすぎタウンだ。

松井ケムリ(以下、ケムリ あと、なんばグランド花月って、舞台に出るとき、芸人さんによってはうしろのスクリーンにコンビ名と功績が出るんですけど、そこに初めて「『M-1チャンピオン』令和ロマン」と書かれていて、うれしかったです。

くるま 『M-1』中心でやらせてもらっていました。SNSやテレビよりも『M-1』でしたね。全国の劇場でネタを叩かせてもらって……今があると。「えー。エンタツ・アチャコ師匠に始まり……吉本興業の最高傑作はやはり漫才ですね」。

ケムリ あれ? (中田)カウス師匠?

くるま 「今、ノリに乗っているコンビ、令和ロマンです。どうぞ!」

ケムリ 『漫才のDENDO』(カウス主催のイベント)みたいに呼び込むなよ。

くるま 僕らオーディションにいっぱい行って……とかもしてこなかったんで、テレビはそんなにお声がかからなかったんですけど、大学の友達や同期、先輩が声をかけてくれた番組とか、CMに出させてもらって、本当に地元の“ツレ”とだけ仕事をする、ヤンキーみたいな仕事の仕方をしていました。あとはずっと『M-1』をやっていましたね。

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決勝の舞台で緊張しているように見える理由

くるま 前から「『M-1』はネタ番組だ」というのは考えていて。何度かネタ番組に出させていただいたこともあるんですけど、ピンマイクなのか、ガンマイクで追うのか、サンパチマイクが生きているのか、生きていないのかとか、今回、ネタ番組で培ってきた“ある程度の経験値”を活かした感じはあります。やっぱり劇場ではないんで、単純に環境としてはよくないんですよ。「環境が整っていないからこそ、◯◯しないとな」という感じでした。たとえば、客席にはでかいカメラがあるので「カメラのうしろの人は見えていないよな」と思って、リハーサルではいろいろな席に座って、どこからどこが見えるか、見えないか、を確認しました。

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髙比良くるま

くるま あと、俺が下手(客席から見て左側)に行き過ぎると、視界の端に審査員さんが見えるし、上手(客席から見て右側)に行きすぎても今田(耕司)さんたちがいるので、どれだけお笑いに慣れているお客さんでも気が散っちゃうじゃないですか。うしろ(のセット)がチカチカしているのもそうですけど、とにかく舞台上にノイズが多いんですよ。だからノイズを減らそうとは思いました。

ケムリ そうなんだよな。そのとおり。

くるま メイクもやってもらったんですけど、通常のメイクより黒めに塗ってもらって大黒にしました。うしろがキラキラしすぎていて、生で見ると白く飛んじゃうんですよ。だから、ほかの方は実物より白く見えたと思う。「これが実際の緊張よりも、より緊張して見えるトリックか!」とも思いました。

メイクさんも『M-1』の特殊な舞台でのメイクなんて慣れていないので、実際(客席から演者が)どう見えるかはわからないと思うんです。俺がさらに黒くとお願いしたときも「黒くないですか?」と言われたけど、「いやいや、これでお願いします」って言いましたし。(決勝中)直しもなかったんですけど、俺とヤーレンズの出井(隼之介)さんだけは、ちょいちょいメイク直しをしていました。

ケムリ 僕の場合は、まずヒゲを太く、長くしました。

ケムリ そうですね。セットの光で飛んじゃうかもしれないから、毛足を長くして、濃くしました。

くるま ヒゲをイジるツカミはやりたかったんで、普段の劇場よりも見えづらいなと思って。

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松井ケムリ

2024年の『M-1』に向けて

くるま 本当に人それぞれですね。「あそこ(決勝の舞台)で『出る』って言ったのいいな!」と言ってくれる先輩もいるなか、真空ジェシカの川北(茂澄)さんとか、9番街レトロの京極(風斗)さんとか、近い人は「出ないでくれ」と言う人もいて。素敵じゃないかの柏木(成彦)さんに至っては、目も合わさず「ほんまに出るんやな。よかった。勝ち逃げされるの嫌いやねん」って言ってました。

ケムリ マンガに描きたいくらい魅力的なキャラクターすぎる(笑)。

くるま フースーヤの田中(ショータイム)さんは、(胸の前で両手を組み合わせて)「よっしゃ。また戦えるな!」って。

ケムリ それはウソだろ(笑)。情熱キャラなの? 僕としては、出ること自体が「やぶさかではない」の逆の「やぶさか」ですね。そんなに出たくないです(笑)!

くるま 今は「優勝おめでとう!」みたいな空気になっているし、それはどうしようもないので、とりあえず一回受け入れます。これからメディアの露出とか取材を経て、夏ぐらいに、どんな俺たちになっているのか、まだわからないので、それをもとにネタを作っていくことになると思います。今までのものを使えるかどうかもわからないと思うんですよ。なので、ケムリ先生がボケになる可能性も全然ある。衣装とか見た目も含めて、(これまでと)同じで出たらダメだし、そこは自分なりに違うようにしていきたいです。

くるま そうですね。寄席は“やりやすくなった”んですけど、まだ(今の時点で)ライブシーンのお客さんの前にはちゃんと立てていないんで、そこがどう変わるのか、今はまだわからないです。

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浜瀬将樹

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浜瀬将樹

(はませ・まさき)1984年生まれのライター、インタビュアー。お笑い、ドラマ好き。移動中に深夜ラジオ聴くのが癒やし。

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