四千頭身の「3人漫才」は何がすごいのか

四千頭身

文=かんそう 編集=鈴木 梢

写真提供:ワタナベエンターテインメント
(左)都築拓紀(つづき・ひろき)1997年3月20日生まれ。茨城県出身。
(中央)後藤拓実(ごとう・たくみ)1997年2月6日生まれ。岩手県出身。
(右)石橋遼大(いしばし・りょうだい)1996年9月13日生まれ。東京都出身。


トリオ芸人となれば、大抵はコントを主にする。なぜなら、漫才をしたら「ひとりが余る」から。3人で漫才をするというのはなかなか難しい。ところが「3人漫才」の形に革命を起こしたトリオがいる。四千頭身だ。

あらゆるエンタメやカルチャー、事象についての“感想”を綴るブログ『kansou』を運営するかんそうが、四千頭身の漫才は何がすごいのかを具体的に3つのネタを用いながら解説する。


「ふたりの漫才」からの変化で笑いが増幅されていく

四千頭身。向かって左から都築拓紀、後藤拓実、石橋遼大。弱冠22、23歳のトリオだが実力は折り紙付きで、特に後藤はすべてのネタづくりを担当し、そのローテンションツッコミは「アメトーーク!『ツッコミ芸人が選ぶ このツッコミがすごい!!』」にて博多華丸・大吉の博多大吉先生に「はじめて見たとき衝撃でした」と言わしめるほど。今回はそんな新進気鋭の芸人・四千頭身の「漫才」について改めて考えたい。

そもそもトリオ漫才というのはものすごく難しいと思う。たとえばボケふたりに対してツッコミひとりという役割の場合、どうしても「ひとりが余る」という状況に陥りやすい。ひとりがボケているとき、もうひとりは手持ち無沙汰になってしまい、結局ふたりとひとりで分離してしまい、3人でやる意味が薄くなってしまう。

そのためひとりが軽いボケ(小ボケ)で流れを作り、もうひとりが落とす(大ボケ)というパターンに固まりやすく、その繰り返しに終始してしまいネタに「幅」を持たせられない。だからトリオ芸人のほとんどは漫才ではなくコントを主としている。「演劇」「芝居」の要素が強いコントなら人数の利を活かすネタが作りやすく、シーンによってひとりが登場しなくても違和感が生じづらい。

しかし、四千頭身はそのデメリットを逆に利用する。「あえて余りを作る」ことでそれを伏線にして「3人でしかできない笑い」を作り出す。

たとえば、「1回クイズ」というネタがある。都築が「10回クイズの1回バージョンを考えてきたからやろう」と提案し出題していくが、後藤が「1回だけ言わされても洗脳始まってないから意味ない」と困惑しながらツッコんでいくというネタ。

このネタの異常性は「序盤は後藤と都築ふたりだけで漫才をする」というところ。この間、右にいる石橋はひと言も発しない。話を振ることもなく、完全に無視して進んでいく。開始から2分後、ようやく石橋が口を開く。

「混ぜて」

これだけで爆笑が起きる。「ひとり余っている」ということが完璧なフリになっている。そして今度は石橋が都築に1回クイズを出題するのだが、単純に問題の難易度がべらぼうに高く都築はまったく答えられない。「ただのクイズとして成立してる」と困惑する後藤。都築は「石橋みたいな問題を出せばいいのか」と再び後藤に問題を出すのだが、それもどこかおかしく、さらに後藤を困惑させる。1回クイズ自体はスタンダードなネタなのだが、「ふたりの漫才」から「3人の漫才」になることでさらに笑いが増幅されていく。

「あえてひとり余る」だけじゃない、3人漫才のバリエーション


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