バンドとしてさらなるアップデートを果たした「ホワイトノイズ」
前述したとおり、ヘビィなギターフレーズで始まる「ホワイトノイズ」だが、楽曲全体の印象は極めてポップ。幅広いリスナーが自然に楽しめるアレンジやメロディには、このバンド一流の技術とセンスがしっかりと織り込まれているのだ。
鋭利でラウドなリフ、サイケデリックな弦の響きを軸にしたイントロは約20秒。<街を切り開くような排気音が/足元で唸っている 猛スピードで進む>という冒頭のフレーズが聞こえてきた瞬間、楽曲は一気に明るいポップネスを放ち、歌詞とリンクするように疾走し始める。ヴァースは基本、ギターとドラムで構成。さらにアルペジオやストリングス、ピアノなどが楽曲に彩りを加え、1分10秒を過ぎると同時にサビのメロディが響き、「ホワイトノイズ」は最初のピークを迎える。
そして2分40秒過ぎ、巧みな転調から大サビの<ヒーローぶって笑っていた>というラインが高らかに鳴らされる。その直後はもちろん、ギターソロ。メロディアスにしてダイナミックな速弾きは言うまでもなく、この楽曲のクライマックスだ。
Aメロ、Bメロ、サビ、大サビ、ギターソロという極めてオーソドックスな構成ながら、細かい仕かけをバランスよく取り入れ、斬新かつ刺激的なポップチューンへと導く。「ミックスナッツ」「Subtitle」でも強く感じたが、「ホワイトノイズ」においてもOfficial髭男dismは、ソングライティング、アレンジ、演奏のすべてにおいて、さらなるアップデートを果たしていると言っていい。
『東京リベンジャーズ』の世界ともリンクした多面的な魅力
テレビアニメ『東京リベンジャーズ』“聖夜決戦編”と「ホワイトノイズ」の歌詞の親和性にも注目してほしい。“東京卍會”と“黒龍(ブラックドラゴン)”の戦いを軸にした“聖夜決戦編”。タイムリープとバトルを融合させた構成と登場人物たちのリアルな描写で幅広い支持を得ている『東京リベンジャーズ』だが、最新シリーズでは物語がより複雑に絡み合い、善と悪の価値観が揺らぐようなストーリーが展開される。
「ホワイトノイズ」の歌詞も単純な勧善懲悪ではなく、人それぞれに異なる考え方や正義感を見据えながら、それでも希望を持ちつづけて生きる“自分”の姿を描いている。そのことを象徴しているのが<ヒーローぶって笑っていた/あなたの絶望を 抱き締めるまで負けない>というフレーズ。この曲の歌詞はおそらく、白か黒に分けられない、複雑極まりない社会を生きるすべての人に刺さるはずだ。
ヘビィメタルを取り入れた音楽性、ポップバンドとしてのセンスが存分に発揮されたアレンジとボーカル、そして、『東京リベンジャーズ』の世界とリンクしつつ、普遍的なテーマを織り込んだ歌詞。「ホワイトノイズ」の多面的な魅力をぜひ、じっくりと堪能してほしいと思う。
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