さらば氷川きよし──活動休止前ラスト『紅白』の演出に込めた「死と再生」のメッセージ

さらば氷川きよし──活動休止前ラスト『紅白』の演出に込めた「死と再生」のメッセージ

※トップ画像=氷川きよし『甲州路【Aタイプ】』より
文=原田イチボ@HEW 編集=森田真規


2022年12月31日に放送された『第73回NHK紅白歌合戦』をもって、歌手活動の一時休止期間に入った氷川きよしことKiina。同番組でのパフォーマンス後には「また必ず帰ってきます!」と笑顔を見せたが、いつ戻ってくるのかはまったくわからない。

本稿では、2021年12月に初めて訪れた氷川のコンサートでそのパフォーマンスにすっかり魅了されてしまったエンタメライターの原田イチボ氏が、『紅白』でのパフォーマンスを振り返り、そこで披露された「限界突破×サバイバー」という楽曲を分析をしつつ、いちファンとしてKiinaの未来に思いを馳せた──。


「また必ず帰ってきます!」と笑顔で手を降った『紅白』

氷川きよしことKiinaが、2022年末をもって活動休止に入った。休止前最後のステージとなる『第73回NHK紅白歌合戦』では、ゴールドの衣装を着て「限界突破×サバイバー」を歌唱。紅組白組の区分から外れた特別枠での出演ということで華やかなドレス姿を見せてくれるのではないかと期待していたため、多少残念な気持ちはなきにしもあらずだったが、フェニックスの上で歌うド派手な演出を観ているうちに、そんな残念さは霧消した。

景気がよい! そしてパフォーマンスを終えたKiinaは、「また必ず帰ってきます!」と笑顔で手を振った。こまめに更新していたインスタグラムは、『紅白』のリハーサルを終えたことを報告する投稿を最後にストップしており、実にさっぱりした幕引きだった。

Kiinaにとって特別な一曲「限界突破×サバイバー」

近年の代表曲である「限界突破×サバイバー」とは、Kiinaにとってどんな意味を持つ一曲だったのか? 実はポップス路線自体は活動のごく初期に始まっている。「演歌だけを歌っていても気が詰まるだろう」という所属事務所の配慮により、デビュー翌年の2001年、河村隆一プロデュースの『きよしこの夜』をKIYOSHI名義でリリースしている。

KIYOSHI名義の楽曲はほかにもあるが、なかなかポップスではヒットに恵まれずにいた。しかし『きよしこの夜』から15年以上経った2017年、『ドラゴンボール超』主題歌の「限界突破×サバイバー」が大当たり。活動年数を重ねたKiinaの「もっと自分らしさを出したい」という思いと、殻を破ってチャレンジする歌詞がぴったりハマり、世界最大のアニソンイベント『Animelo Summer Live(アニサマ)』に初出演するなどして新規ファンを一気に獲得した。「限界突破×サバイバー」は高齢のファンからも好評で、「もっとロックを歌って!」といった声が届いているという。

同楽曲をきっかけに、ポップスアルバムをリリースしたり、全曲ポップスのコンサートを開催するなど、Kiinaの活動の幅は大きく広がった。きっと休養明けはさらにバラエティ豊かな楽曲を聞かせてくれることだろう。これまでとは違ったテイストのアーティストが楽曲提供する機会も増えるはずだ。

Kiina×大森靖子=令和の「歌は我が命」


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原田イチボ@HEW

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