氷川きよしから「kiina」へ。そこに込められた譲れない想い「どんな区分も関係ない。ありのままに生きればいい」

氷川きよし『Happy!/森を抜けて』

※トップ画像=氷川きよし『Happy!/森を抜けて』より
文=原田イチボ@HEW 編集=森田真規


2021年12月、『NHK紅白歌合戦』に22年連続出場を決めた“演歌界のプリンス”こと氷川きよし。14日・15日に東京国際フォーラム ホールAで開催された『氷川きよしスペシャルコンサート2021 ~きよしこの夜 Vol.21~』の会場では、「kiina」のロゴが入った帽子を被り熱唱する氷川の姿があった──。

「kiina」とは、新生・氷川きよしを象徴する呼び名「kii」とナチュラル(natural)をかけ合わせた新たな愛称。多くの女性たちの心を掴むkiinaの魅力はどこにあるのか? 初めて訪れたコンサートで「あれからkiinaのことばかり考える日々」になってしまったというエンタメライターの原田イチボ氏が、ビギナー目線でkiinaの魅力に迫る。

【関連】「私、このまま生きていってもいいんやな」つづ井さんが語った自虐の向き合い方と、最近の「ない話」


ピンヒールを履いたエナメル衣装のkiinaがバイクにまたがり歌い出す

気がつけば、氷川きよしは「kiina」になっていた。フェミニンな服装に身を包んだ写真をSNSにアップし、インタビューなどで「私は私」ときっぱり宣言する。そんな“演歌界のプリンス”の大胆な脱皮に興味が湧いて、行ってきました。12月14日・15日に東京国際フォーラム ホールAにて開催された『氷川きよしスペシャルコンサート2021 ~きよしこの夜 Vol.21~』。話の種に一度は観てみるか程度の軽い気持ちだったはずなのに、あれからkiinaのことばかり考える日々です。

氷川きよしスペシャルコンサート2021~きよしこの夜Vol.21~ 12/14(火)・15(水)開催!

自分が訪れたのは、14日の夜の部公演です。公演の前半は、和服姿で演歌を歌い上げていきました。「『きよしのズンドコ節』って初めてちゃんと聴いたけど、こういう歌詞だったんだ~」という発見がありつつ、母親への愛情をしっとり歌い上げた『母』では、客席の高齢女性たちの想いがひとつになっているのを感じる。皆さんハンカチでそっと目元を拭っていらっしゃいました。

氷川きよし / きよしのズンドコ節【公式】

そして、中盤。ここからが「氷川きよし」ではなく「kiina」パートということか。ゴージャスな紫のドレスで登場し、「女も男もない」と言い切る『紫のタンゴ』、漫画家・ヤマザキマリの初作詞曲「生まれてきたら愛すればいい」とつづけて披露しました。

この「生まれてきたら愛すればいい」が大変よかった。自分はひねくれた性格であるため、ポジティブなメッセージを直球で投げかけられても、あまり刺さらないことが多い。しかし、圧倒的な歌唱力によって、「愛すればいい」「私は私」と、まさにそのとおりの生き方を体現している人に伝えられたら、もう一も二もなく信じるしかない。ちょっとやそっと斜に構えたところで、とんでもない説得力になぎ倒されるだけ。

歌で抱きしめられている、肯定されている……と余韻に浸っていたら、画面のスクリーンに「kiina」とネオン調の文字が突然ビカビカ光り、ピンヒールを履いたエナメル衣装のkiinaがバイクにまたがって再登場。急に景気がめちゃくちゃいい!

近年のアンセム「限界突破×サバイバー」も聴くことができて、大満足の2時間半でした。同楽曲はおばあちゃんたちにとってもブチ上がり曲らしく、いくつものペンライトが高らかに突き上げられていた。きっとコロナ禍以前のコンサートでは、「フッフー!」という声援も上がっていたのでしょう。

ありのままに生きればいい


この記事の画像(全9枚)


この記事が掲載されているカテゴリ

Written by

原田イチボ@HEW

(はらだ・いちぼ)1990年生まれ。編集プロダクション「HEW」所属のライター。アイドル、プロレス、BL、銭湯サウナが好き。HEW

CONTRIBUTOR

QJWeb今月の執筆陣

酔いどれ燻し銀コラムが話題

お笑い芸人

薄幸(納言)

「金借り」哲学を説くピン芸人

お笑い芸人

岡野陽一

“ラジオ変態”の女子高生

タレント・女優

奥森皐月

ドイツ公共テレビプロデューサー

翻訳・通訳・よろず物書き業

マライ・メントライン

毎日更新「きのうのテレビ」

テレビっ子ライター

てれびのスキマ

7ORDER/FLATLAND

アーティスト・モデル

森田美勇⼈

ケモノバカ一代

ライター・書評家

豊崎由美

VTuber記事を連載中

道民ライター

たまごまご

ホフディランのボーカルであり、カレーマニア

ミュージシャン

小宮山雄飛

俳優の魅力に迫る「告白的男優論」

ライター、ノベライザー、映画批評家

相田冬二

お笑い・音楽・ドラマの「感想」連載

ブロガー

かんそう

若手コント職人

お笑い芸人

加賀 翔(かが屋)

『キングオブコント2021』ファイナリスト

お笑い芸人

林田洋平(ザ・マミィ)

2023年に解散予定

"楽器を持たないパンクバンド"

セントチヒロ・チッチ(BiSH)

ドラマやバラエティでも活躍する“げんじぶ”メンバー

ボーカルダンスグループ

長野凌大(原因は自分にある。)

「お笑いクイズランド」連載中

お笑い芸人

仲嶺 巧(三日月マンハッタン)

“永遠に中学生”エビ中メンバー

アイドル

中山莉子(私立恵比寿中学)
ふっとう茶☆そそぐ子ちゃん(ランジャタイ国崎和也)
竹中夏海
でか美ちゃん
藤津亮太

QJWebはほぼ毎日更新
新着・人気記事をお知らせします。