過去の「ウルトラマン」からの決別とリスペクト
考えれば考えるほど、所せましとマニアックなネタが散りばめられている。そこで気になることがある……それは今作が『シン・ゴジラ』の続編ではないかということだ。
実は1966年の『ウルトラマン』においても、1954年の『ゴジラ』に繋がる裏設定が存在している。1967年に出版された『怪獣大全集1:円谷怪獣のひみつ』(ノーベル書房)によると、科学特捜隊のムラマツキャップは、ゴジラの生態研究で知られる山根博士の助手をしていたことになっている。この裏設定があることを庵野が知っていないとは思えないため、直接的ではなくても、感覚的に繋がりをにおわせてくる可能性は高いだろう。
追い打ちをかけるように、米津玄師による主題歌「M八七」も発表となった。これもウルトラマンの故郷として知られる「M78星雲」が企画段階では「M87星雲」であったことに由来しているとしか言いようがない。
つまりカラータイマーを外すという行為は、これまでの『ウルトラマン』シリーズとは決別した別モノである証拠であり、当初の企画通りに諸事情が加わらないかたちで『ウルトラマン』が実現していたとしたら……という、「もしも~」な世界を描いているのだろう。
樋口真嗣と庵野秀明による、特撮マニアの目線での「成田亨のデザインのままに動くウルトラマンが観たい」という、純粋な想いとリスペクトの表れに感じられるのだ。
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