爆笑問題にハマるきっかけとして最もふさわしかった『あちこちオードリー』

あちこちオードリー爆笑問題

文=かんそう イラスト=たけだあや 編集=鈴木 梢


年末に放送された『あちこちオードリー』爆笑問題ゲスト回が最高だった。この回に限らず『あちこちオードリー』という番組の大きな魅力のひとつは、「ファンが知っている裏話をテレビで話してくれる」ことにあると思ってる。コアなファンでなければ、その芸能人を好きで追っていないと知り得ないようなエピソードをゲストが話し、それをオードリー(春日俊彰、若林正恭)がお茶の間に「この人はこんなにおもしろいんですよ」と深掘りして伝えてくれる。

その人の「根幹」にある話を聞くことで、それまでなんとも思ってなかった芸能人の印象が180度変わるのがこの番組のすごいところだし、それを可能にするオードリーのゲストに対する愛と懐の深さは感動すら覚える。

そして今回、おそらく芸能界でもトップクラスに「誤解されやすく」、オードリーが特に憧れている先輩芸人ということもあり、暴走や炎上だけでは図れない「爆笑問題」が本当はどういうコンビなのかが伝わる爆笑問題にハマるきっかけには最もふさわしい回だった。

爆笑問題はなぜ、オードリーやハライチなど芸人たちから愛されるのか

「太田光が変人で、田中裕二が常識人」は間違い

春日「太田ガチャ失敗の日だ」
若林「そういうテンションなら帰ってください」

暖簾をくぐるやいなや、アクリル板を破壊しようとする太田光を見たオードリーはそう言った。「太田ガチャ」、この言葉が爆笑問題、いや太田光という人間を表していた。爆笑問題を応援するというのはもはや「ひと昔前のパチンコ」に近いものがある。どんなに失敗しようが、一発当たったときの快感がデカ過ぎるのが太田光であり爆笑問題。一度ハマればその射幸心に充てられ永久にハマってしまう、大工の源さん以上の爆裂機が「CR爆笑問題」なのだ。個人的な話をすると、中学生時代に著書『爆笑問題の日本原論』(宝島社)とテレビ番組『号外!!爆笑大問題』(日本テレビ)に触れてから重度の爆笑問題狂になってしまった。助けてくれ。

そして今回、番組プロデューサーであり因縁の相手でもある佐久間宣行本人の目の前で「だいたい俺ここの佐久間って奴嫌いなんだよ、なんか偉そうだろアイツ。ラジオのDJかなんかやってさ、今のお笑いは自分が育てたみたいなこと言うだろ」と暴言を吐く太田光を見て「今日は大当たりの日だ」と確信した。

爆笑問題『クイック・ジャパン』vol.156表紙
爆笑問題の田中裕二と太田光(爆笑問題『クイック・ジャパン』vol.156表紙)

まず、大前提として爆笑問題は「太田光が変人で、田中裕二が常識人」という認識からして完全に間違っていることを覚えておかなければならない。大学の入試で試験監督に野次を飛ばす太田光、そんな太田光になんの躊躇もなく声をかける田中裕二、どちらも「等しくクレイジー」なのが爆笑問題だ。

特に、田中裕二に関しては「太田家のトイレのフタの上にウンコをして何も言わずに帰る(掃除はした)」に代表されるように、その人となりを知れば知るほど垣間見える「ナチュラルなヤバさ」に長年のファンですらもたびたび戦慄する。今回の放送で言えば、太田光が学生時代に友達がひとりもいなかったのに皆勤賞だったというエピソードを話したあとの「休めよ!」というツッコミを聞いて、最初はその切れ味の鋭さに爆笑したが、冷静に考えればがんばって学校に行こうとしている少年に対してこんな物言いはいくらなんでもヒド過ぎる。

よく太田光がテレビで暴走して炎上しているときにネットで「爆笑問題は田中でもってる」「やっぱり田中がいないと」などと評するコメントを見るが、正気ですかと言いたい。先日の選挙特番でも仮に隣に田中裕二が座っていたならば、太田光はさらにブーストがかかりあれ以上の暴走をしていただろう。田中裕二は太田光を絶対に止めない。太田光が暴走し終わったところにツッコみ「俺は止めましたよ」感を演出する。それどころか誘い水を出し、暴走を仕向けてるんじゃないかと思うことすらある。番組中盤で、田中裕二が太田光の暴走について「計画どおり」と言ったときの、『DEATH NOTE』の夜神月が裸足で逃げ出すレベルの悪顔が示すとおり、太田光という改造車にガソリンを注ぐのが田中裕二。

太田光の嘘のなさ

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かんそう

1989年生まれ。ブログ「kansou」でお笑い、音楽、ドラマなど様々な「感想」を書いている。