岩井秀人×森山未來×前野健太『なむはむだはむLIVE!』“ヘンな時間が存在する”という尊さ

2021.12.15


フレキシブルになるための実験室の趣

『なむはむだはむLIVE!』(2021年、音楽ライブ※編集版)
『なむはむだはむLIVE!』より

子供たちが「こわい!」と叫び、親たちが微笑む。この、ほとんど理屈を超えたピース=平和がもたらされたことは、ライブならではの幸福であった。

岩井秀人、森山未來、前野健太は誰がイニシアティブを取ることもなく、かといって、3人全員が主役、というような仰々しさもなく、入れ替わり立ち替わり、楽器を交換し、マルチなポジションで、役割を固定化せずに、それぞれの存在を循環させることのできる、生まれながらの運動体だった。

『なむはむだはむLIVE!』(2021年、音楽ライブ※編集版)
『なむはむだはむLIVE!』より

前野は音楽だけやっている人ではないし、森山も俳優と呼んでしまうとしっくりこないし、岩井は演劇というメディアに呪縛されていない。3人の才能の合作というよりは、さらにフレキシブルになるための実験室の趣が、いささかの前衛性も醸し出すことなく、伸びやかにそこには充満していた。

何かが押しつけられることのない、けれども、ヘンな時間が存在するという尊さ。

私たちには、パフォーミングアーツが必要だ。


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相田冬二

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相田冬二

(あいだ・とうじ)ライター、ノベライザー、映画批評家。2020年4月30日、Zoomトークイベント『相田冬二、映画×俳優を語る。』をスタート。国内の稀有な演じ手を毎回ひとりずつ取り上げ、縦横無尽に語っている。ジャズ的な即興による言葉のセッションは6時間以上に及ぶことも。2020年10月、著作『舞台上..

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